釜無山石灰岩地帯 その3
釜無山の石灰岩地帯を歩きました。釜無山の周辺の山などを含めるとシダの観察は4回目になります。今回は一部未調査の範囲を歩きました。紹介するシダ以外にナヨシダ、オウレンシダ、クモノスシダ、コタニワタリ、タカネサトメシダ、ミヤマシダ、オシダ、シラネワラビ、ツルデンダ、イワシロイノデ、ホソイノデなどが見られました。
イッポンワラビ
標高1300~1600m、釜無山中腹部で観察(1300m以下でも生育していると思われるが歩いていない)。ウエットな谷筋の樹林下林床に普通に生育。
(1)樹林下林床に群生するイッポンワラビ
(2)イッポンワラビ、葉身
ウスゲミヤマシケシダ
1500m付近の明るい谷筋に生育していました。やや標高の低いところではハクモウイノデも見られました。
ミヤマシダ
釜無山中腹部~上部にかけて、樹林内では広くみられる。
葉柄には黒褐色・光沢のある鱗片が密につく。葉は鮮緑色~濃緑色。3回羽状に分かれる。包膜は小羽片や裂片の中肋寄りで包膜の辺縁には多少鋸歯がある。
(1)ミヤマシダ、葉柄下部の鱗片
(2)ミヤマシダ、胞子嚢群および裂片の葉脈
キタノミヤマシダ無毛typeかあるいはキタノミヤマシダとミヤマシダの雑種か
林縁の沢沿い。ウエットな斜面に生育。ミヤマシダよりも標高(およそ1800m以上)が高くなおかつ石灰岩地帯で観察。
観察されたシダは、ミヤマシダに比べ葉は①黄緑色~鮮緑色。②小羽片は長さの割に幅が広い。③裂片の辺縁には鋸歯がある。④包膜の辺縁は和紙を裂いたようにほつれる。ミヤマシダに似ているところは葉の裏側に毛が生えていない。
以前北岳で観察したキタノミヤマシダも葉の裏側の毛は生えていなかった。
キタノミヤマシダとミヤマシダの雑種かあるいはキタノミヤマシダ(無毛type)
(1)キタノミヤマシダとミヤマシダの雑種かあるいはキタノミヤマシダ(無毛type)
(2)葉身
(1)(2)裂片の脈
ミヤマベニシダ
カラマツなどの樹林下に群生あるいは散在して生育していました。
(1)ミヤマベニシダ、葉柄下部の鱗片
(2)ミヤマベニシダ、葉身
イワカゲワラビ
高地の石灰岩地帯の樹林下に生育。生育範囲は広いが石灰岩地帯に限られるようである。個体数は多く、明るい樹林下の大規模な群生地や林縁などに散在して広く生育する場所まで見られる。石灰岩地帯ではオシダやミヤマベニシダ、シラネワラビ、ミヤマシダなどよりも優勢種であった。
葉は光沢の乏しい淡緑色、外観は3回羽状に細かく分かれ大きなメシダ属を思わせるが、裏返して包膜を見ると円腎形でオシダ属であることにすぐに気づく。葉柄~中軸には膜質・淡褐色の鱗片が貼りつくようにつく。最下羽片の小羽片は上先につくことが多い。胞子嚢群は中肋寄りにつき、包膜の辺縁には鋸歯がある。
(1)明るい林床に広く群生するイワカゲワラビ
(2)樹林内に生育するイワカゲワラビ
(1)イワカゲワラビ、葉柄
(2)イワカゲワラビ、葉柄の鱗片
(1)イワカゲワラビ、中軸
(2)イワカゲワラビ、中軸の鱗片
エゾデンダ
日陰の岩壁に生育。
日陰の岩壁に生育するエゾデンダ
オシャグジデンダ
やや明るい岩壁に生育。この季節、葉は枯れ始めていた。
葉が枯れ始めているオシャグジデンダ
(1)オシャグジデンダ、葉身
(2)乾燥すると葉が巻くオシャグジデンダ
石灰岩地帯で見られた花など
(1)石灰岩上に生育するシロバナニシキウツギウコンウツギか
(2)シロバナニシキウツギウコンウツギか
※詳しい方に教えていただき訂正いたします。2021年6月28日
(1)石灰岩上に生育するイワシモツケイブキシモツケか
(2)イワシモツケイブキシモツケか
※詳しい方に教えていただき訂正いたします。2021年6月28日
(1)日本固有種のスグリ(樹高2m程度)
(2)石灰岩上に着生するスグリとバイカウツギ
(1)カラマツ林のウエットな林床に生育するヒメムヨウラン
(2)逆さを向くヒメムヨウランの花
(1)(2)イボタヒョウタンボクヒョウタンボク
※詳しい方に教えていただき訂正いたします。2021年6月28日
(1)林道沿いに生育する帰化植物(コウリンタンポポ)
(2)林道沿いに生育する帰化植物(ハイコウリンタンポポ)
(1)針葉樹林下の沢沿いに生育するクリンソウ
(2)ミヤママタタビの花