毛呂の山を歩きました。このあたりに詳しい方が計画・案内してくださいました。いくつかの観察ポイントを巡るコースで、変化に富んだ自然環境でいろいろなシダを観察することができました。川沿いや、山の斜面にはところどころにチャートの崖が見られました。
羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ
イヌイワガネソウ(イワガネゼンマイ×イワガネソウ)の可能性もある
雑木林の林床に群生。葉脈は網状脈。羽片の葉縁が不規則にギザギザが見られたので雑種の可能性もあると思い胞子を観察した。胞子を観察したところ胞子数は60個程度確認できるが、胞子は正常なものにくらべると厚みが薄く少し押しつぶされている形状。胞子がややつぶれただけのイワガネソウなのか雑種(イワガネソウ×イワガネゼンマイ)なのかよくわからない。
参考:イワガネソウの胞子
胞子嚢1
羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、1つの胞子嚢を壊したようす
(1)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子上面
(2)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子側面
(1)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子上面
(2)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子側面
(1)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子上面
(2)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子側面
胞子嚢2
羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、1つの胞子嚢を壊したようす
(1)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子上面
(2)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子側面
(1)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子上面
(2)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子側面
(1)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子上面
(2)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子側面
(1)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子上面
(2)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子側面
(1)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子上面
(2)羽片の辺縁が乱れたイワガネソウ、胞子側面
オオバノハチジョウシダ
オオバノハチジョウシダを観察しました。オオバノハチジョウシダは有性生殖種ですが、フィールドではオオバノハチジョウシダの無融合生殖種(オオバノアマクサシダ)との区別に注意を要します。今回はちょうど胞子の成熟時期に当たり、胞子を観察することができました。葉の大きさはどちらも最大150㎝くらいまで大きくなりますが、オオバノハチジョウシダは①羽片の先端の頂小羽片が短く1~3㎝。②最下羽片後側第1小羽片はほぼ左右対称であまり裂片は欠けないなどが区別点になります。
(1)(2)オオバノハチジョウシダ
オオバノハチジョウシダ、胞子上面
オオバノハチジョウシダ、胞子側面
オオバノハチジョウシダ、胞子上面
オオバノハチジョウシダ、胞子側面
オオバノハチジョウシダ、胞子上面
オオバノハチジョウシダ、胞子側面
オオバノハチジョウシダ、胞子上面
オオバノハチジョウシダ、胞子側面
日陰に生育するミドリヒメワラビ
(1)(2)ミドリヒメワラビ
明るい所に生育するミドリヒメワラビ(ヒメワラビとの雑種ではないかと間違えそうになるミドリヒメワラビ)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)
明るい所に生育するミドリヒメワラビ。日陰に生育するミドリヒメワラビのように葉身はひょろひょろせず、羽片が混み合ってつき、葉の色も日陰に生えるミドリヒメワラビよりも黄緑色を帯び、ヒメワラビとミドリヒメワラビの中間的に見え、フィールドでは雑種ではないかと悩まされる。小羽片基部はヒメワラビが広い楔形に対しほぼ切形となる。葉柄に白粉無し。
夏緑性。葉の大きさは100~120㎝、鮮緑色~濃緑色、3回羽状複葉。小羽片は有柄(小さな小羽片無柄)基部はほぼ切形。胞子は60個程度確認、大きさ・形とも整い有性生殖種。
フィールドではときどき出くわすtypeである。普通、大きく育ったヒメワラビは大きな小羽片に短い柄ができるがその他の小羽片は無柄である。この個体は小羽片の柄が目立ち、葉柄表面は白粉を帯びない。一見、ミドリヒメワラビ似のヒメワラビに見える。アイヒメワラビ?かな(まだお目にかかっていない)と思ったが胞子を観察すると正常。興味深いシダである。
訂正:相模湖周辺でヒメワラビ・ミドリヒメワラビの胞子を観察し掲載内容の誤りに気づき訂正しました。もっとも、小羽片の基部がほぼ切形であることに気づけば胞子を観察しなくても正しく同定できました。2019年10月1日
参考:緑色が濃いヒメワラビ
明るい所に生育するミドリヒメワラビヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)
(1)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、羽片。
(2)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、葉柄基部
(1)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、中軸および羽軸上の毛
(2)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、小羽片上の毛
(1)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、胞子嚢群
(2)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、1つの胞子嚢を壊したようす
(1)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、胞子上面
(2)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、胞子側面
(1)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、胞子上面
(2)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、胞子側面
(1)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、胞子上面
(2)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、胞子側面
(1)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、胞子上面
(2)ミドリヒメワラビ(明るい所に生育する)ヒメワラビ(小羽片有柄・葉柄白粉無し)、胞子側面
羽片の幅の広いヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ
同行の方が滝の近くでタカネサトメシダに似たシダを見つけました。小羽片の幅がキヨタキシダのように広かったので変わっていると思ったと、見つけた方が案内してくださいました。毛呂の標高で生育しているものかふしぎに思いましたが滝を持つ渓谷の中なので生育していたものと考えられます。
ただ、胞子が成熟するこの季節、サトメシダの仲間に共通する包膜の辺縁のほつれは正確に確認できず、来年度の早い時期に若い包膜をかんさつする必要があります。胞子の観察から有性生殖種であることは分かりますが、メシダ属(ヤマイヌワラビの仲間)の胞子は似ているものが多いので胞子での同定は難しいように思われます。
特徴:夏緑性。有性生殖種。葉柄は葉身よりも長い。葉柄基部には褐色・披針形で辺縁はやや淡い色になる鱗片をつける。葉の大きさは40㎝。葉身は三角形に近く、2~3回羽状に分かれ、葉の質は薄く、淡緑色。胞子嚢群は中肋寄りにつき、包膜は短い棒形~三日月形で辺縁には鋸歯がある。
※タカネサトメシダやコシノサトメシダにも似ているが3回羽状複葉ではなく、包膜の辺縁のようすもわからないので羽片の幅の広いヤマイヌワラビに訂正いたします。
(1)(2)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ
(1)(2)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ
(1)(2)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ、葉柄基部の鱗片
(3)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ、葉柄基部の鱗片
(1)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ、羽片
(2)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ、小羽片
(1)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ、新芽の目立ち
(2)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ、羽片裏側
(1)(2)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ、包膜
(1)(2)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ、包膜
(1)(2)ヤマイヌワラビタカネサトメシダあるいはそのほかのメシダ属の仲間のシダ、1つの胞子嚢を壊したようす
ホソバシケシダ
鎌北湖周辺。湖沿いの平坦な山道の脇に群生。木漏れ陽が射すような明るい林床。葉身は披針形で12~18㎝と小さく、下部の羽片も2㎝×0.8㎝程度。
(1)(2)木漏れ日が入る明るい林内、山道沿いに群生するホソバシケシダ
ホソバシケシダ
(1)ホソバシケシダ、葉身
(2)ホソバシケシダ、最下羽片
(1)ホソバシケシダ、胞子上面
(2)ホソバシケシダ、胞子側面
(1)ホソバシケシダ、胞子上面
(2)ホソバシケシダ、胞子側面
シケシダ
木漏れ日が入る林縁の明るい土手に生育。雑種のタマシケシダの可能性もあったが有性生殖種であった。最下羽片は特に発達することは無い。葉の大きさは30~40㎝・幅は8~10㎝
オオホソバシケシダ(ホソバシケシダ×シケシダ)
鎌北湖周辺。ホソバシケシダに混ざって生育。ホソバシケシダの群生から披針形の葉を飛び出すように立ち上げていた。胞子は大きさ・形が乱れ雑種。葉はホソバシケシダに似て披針形であるが、シケシダの血が入るので葉は大きい。
(1)オオホソバシケシダ
(2)左からホソバシケシダ・オオホソバシケシダ・シケシダ
(1)オオホソバシケシダ、胞子上面
(2)オオホソバシケシダ、胞子側面
むかごを作り始めているホソバイヌワラビ
(1)ホソバイヌワラビ
(2)ホソバイヌワラビ、小羽片上の刺
(1)ホソバイヌワラビ
(2)ナガバノイタチシダ
そのほかの花など
詳しい方に教えて頂きました。
(1)シンジュ(ニワウルシ):ニガキ科 ニワウルシ属
(2)シンジュ(ニワウルシ)、冬芽
(1)シンジュ(ニワウルシ)、蜜腺(表側)
(2)シンジュ(ニワウルシ)、蜜腺(裏側)
(1)カラスザンショ:ミカン科 サンショウ属
(2)カラスザンショ、冬芽
(1)落葉広葉樹のミカンの仲間:カラタチ
(2)カラタチ、果実と三出葉
製作中
毛呂で見られたシダ(2019年9月7日)
科名 | 属名 | 種名 |
---|---|---|
ヒカゲノカズラ科 | コスギラン属Huperzia | トウゲシバ |
イワヒバ科 | イワヒバ属Selaginella | カタヒバ・イヌカタヒバ |
トクサ科 | トクサ属Equisetum | スギナ・トクサ |
ハナヤスリ科 | ハナワラビ属Botrychium | オオハナワラビ |
ゼンマイ科 | ゼンマイ属Osmunda | ゼンマイ |
コケシノブ科 | アオホラゴケ属Crepidomanes | ウチワゴケ |
ウラジロ科 | ウラジロ属Gleichenia | ウラジロ |
カニクサ科 | カニクサ属Lygodium | カニクサ |
コバノイシカグマ科 | コバノイシカグマ属Dennstaedtia | イヌシダ・コバノイシカグマ |
イワヒメワラビ属Hypolepis | イワヒメワラビ | |
フモトシダ属Microlepia | フモトシダ・ケブカフモトシダtype | |
ワラビ属Pteridium | ワラビ | |
イノモトソウ科 | イワガネゼンマイ属Coniogramme | イワガネゼンマイ・イワガネソウ |
タチシノブ属Onychium | タチシノブ | |
イノモトソウ属Pteris | イノモトソウ・オオバノイノモトソウ・アイイノモトソウ・オオバノハチジョウシダ | |
ホウライシダ属Adiantum | クジャクシダ | |
チャセンシダ科 | チャセンシダ属Asplenium | コバノヒノキシダ・トラノオシダ・トキワトラノオ・イワトラノオ・トキワシダ |
ヒメシダ科 | ヒメワラビ属Macrothelypteris | ヒメワラビ・ミドリヒメワラビ・アイヒメワラビか |
ミヤマワラビ属Phegopteris | ゲジゲジシダ・コゲジゲジシダ | |
ヒメシダ属Thelypteris | ホシダ・ハシゴシダ・ハリガネワラビ・アオハリガネワラビ・ ヤワラシダ・ヒメシダ・ミゾシダ | |
イワデンダ科 | イワデンダ属Woodsia | フクロシダ |
コウヤワラビ科 | コウヤワラビ属 Onoclea | イヌガンソク・ クサソテツ |
シシガシラ科 | シシガシラ属 Blechnum | シシガシラ |
メシダ科 | ウラボシノコギリシダ属 Anisocampium | イヌワラビ |
メシダ属 Athyrium | シケチシダ・ ホソバイヌワラビ・ ヤマイヌワラビ・ヒロハイヌワラビ・ ヘビノネゴザ・タカネサトメシダ | |
シケシダ属 Deparia | ホソバシケシダ・ セイタカシケシダ・シケシダ・フモトシケシダ・オオヒメワラビ・オオホソバシケシダ(ホソバシケシダ×シケシダ)タマシケシダ(シケシダ×フモトシケシダ) | |
ノコギリシダ属 Diplazium | キヨタキシダ・ノコギリシダ | |
オシダ科 | カナワラビ属 Arachniodes | オオカナワラビ・オニカナワラビ・ハカタシダ・コバノカナワラビ・リョウメンシダ |
ヤブソテツ属 Cyrtomium | ヤブソテツ・テリハヤブソテツ・ミヤコヤブソテツ | |
オシダ属 Dryopteris | クマワラビ・オクマワラビ・ベニシダ・トウゴクシダ・キノクニベニシダ・オオベニシダ・ミサキカグマ・ナガバノイタチシダ・オオイタチシダ(アツバオオイタチシダ・ツヤナシオオイタチシダ・アオニオオイタチシダ)・ベニオオイタチシダ・リョウトウイタチシダ・ヤマイタチシダ・キヨスミヒメワラビ | |
イノデ属 Polystichum | ツルデンダ・アイアスカイノデ・イノデ・イノデモドキ・ジュウモンジシダ・ヒメカナワラビ・オオタニイノデ(アスカイノデ×アイアスカイノデ) | |
ウラボシ科 | ミツデウラボシ属 Selliguea | ミツデウラボシ |
マメヅタ属 Lemmaphyllum | マメヅタ | |
ノキシノブ属 Lepisorus | ノキシノブ・ヒメノキシノブ |