苔むした岩上に生育するミヤマノキシノブ。2021年8月24日 奥秩父 三峰周辺

 観察会の下見を兼ねて奥秩父の谷を歩いてきました。同行の方ともども初めて歩くところですがいろいろなシダに出会うことができました。この辺りは石灰岩地帯を含む中生代混在岩地帯で山を越えた南側は奥多摩に当たり同様な地質で成り立っています。
 2年前の台風19号の影響によるのか、道路は傷んでおり途中で通行止めでした。

ヤマクラマゴケ
渓谷内の切り立った岩壁・岩上に見られた。岩は黒っぽかったが石灰岩を含む地質と思われる。タチクラマゴケに似るがずっと小さく、葉の先に広披針形の胞子嚢穂を1~3個つける。一緒にミヤマウラジロやクモノスシダが生育している岩場も見られた。

胞子嚢穂をつけたヤマクラマゴケ。2021年8月24日 奥秩父 大血川
胞子嚢穂をつけたヤマクラマゴケ

切り立った岩壁に群生するヤマクラマゴケ。2021年8月24日 奥秩父 大血川
切り立った岩壁に群生するヤマクラマゴケ

ヤマクラマゴケ、胞子嚢穂。2021年8月24日 奥秩父 大血川 ヤマクラマゴケ、胞子嚢穂裏側。2021年8月24日 奥秩父 大血川
(1)ヤマクラマゴケ、胞子嚢穂
(2)ヤマクラマゴケ、胞子嚢穂裏側




フジシダ
渓谷内のウエットな岩壁や岩棚・岩屑の堆積のようなところに群生。今回は2地点で観察。

岩屑の堆積のようなところに群生するフジシダ。2021年8月24日 奥秩父 大血川
岩屑の堆積のようなところに群生するフジシダ

切り立った岩壁の岩棚のようなところに生育するフジシダ。2021年8月24日 奥秩父 大血川
切り立った岩壁の岩棚のようなところに生育するフジシダ




ミヤマウラジロ
一般に石灰岩地帯に生育するシダ。一緒にヤマクラマゴケが生育していることもある。
渓谷内のいくつかの岩場に生育。生育している岩場は黒っぽい岩であるが石灰岩を含む岩石と思われる。

渓谷内のするミヤマウラジロ。一緒にヤマクラマゴケ(左上)が生育していた。2021年8月24日 奥秩父 大血川

ミヤマウラジロ、葉の裏側。2021年8月24日 奥秩父 大血川




イワトラノオとクモノスシダ
どちらもチャセンシダ属で同行の方は雑種を探されていましたが見つかりませんでした。

イワトラノオとクモノスシダ。2021年8月24日 奥秩父 大血川





イワトラノオ(オオイワトラノオ)
標本1
石灰岩地帯の岩壁に群生。葉の大きさは25~35㎝(葉身は20~23㎝)。三回羽状に分かれる。裂片は浅裂する。胞子嚢群は裂片に1~3個つく。イワトラノオが特に大きく成長したものと考えられるが、小羽片下部の裂片には短柄が確認される。

イワトラノオ(オオイワトラノオ)。2021年8月24日 奥秩父 中津川

イワトラノオ(オオイワトラノオ)、小羽片。2021年8月24日 奥秩父 中津川 イワトラノオ(オオイワトラノオ)、小羽片裏側。2021年8月24日 奥秩父 中津川
(1)イワトラノオ(オオイワトラノオ)、小羽片
(2)イワトラノオ(オオイワトラノオ)、小羽片裏側

イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子数は60個以上確認。大きさ・形が整い有性生殖種。2021年8月24日 奥秩父 中津川 イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子数は60個以上確認。大きさ・形が整い有性生殖種。2021年8月24日 奥秩父 中津川
(1)(2)イワトラノオ(オオイワトラノオ)、1つの胞子嚢を壊したようす

イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子1上面。2021年8月24日 奥秩父 中津川 イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子1側面。2021年8月24日 奥秩父 中津川 イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子2上面。2021年8月24日 奥秩父 中津川 イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子2側面。2021年8月24日 奥秩父 中津川
(1)イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子1上面
(2)イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子1側面
(3)イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子2上面
(4)イワトラノオ(オオイワトラノオ)、胞子2側面



標本2 すべての胞子が不稔の個体
胞子が不稔の個体、葉。2021年8月24日 奥秩父 中津川 
胞子が不稔の個体、葉

胞子が不稔の個体、羽片裏側。2021年8月24日 奥秩父 中津川 胞子が不稔の個体、胞子嚢群。2021年8月24日 奥秩父 中津川
(1)胞子が不稔の個体、羽片裏側
(2)胞子が不稔の個体、胞子嚢群

標本1と標本2の比較、最下羽片や小羽片の間隔が異なっている。2021年8月24日 奥秩父 中津川
イワトラノオ(オオイワトラノオ)、標本1(左)と標本2(右)の比較





イワハリガネワラビ
渓谷の岩壁や岩場周辺の林床に生育。

岩場に生育する樹木の根元に生育するイワハリガネワラビ。右上はフジシダ。2021年8月24日 奥秩父 大血川
岩場に生育する樹木の根元に生育するイワハリガネワラビ

イワハリガネワラビ、胞子嚢群は中肋寄りにつき、包膜上には目立った毛はない。2021年8月24日 奥秩父 大血川
イワハリガネワラビ、胞子嚢群





イワイヌワラビ
石灰岩を含む岩石に好んで生育するのかもしれない。ウエットな空気に包まれた渓谷沿いのいくつかの切り立った岩壁に群生。フクロシダも一緒に生育していることがあり、遠目にはよく似ているので間違いやすい。

ウエットな空気に包まれた切り立った岩壁に生育するイワイヌワラビ。2021年7月29日 奥秩父 大血川
岩壁から垂れ下がるようにして生育するイワイヌワラビ

イワイヌワラビ、羽片。2021年7月29日 奥秩父 大血川 イワイヌワラビ、羽片。2021年7月29日 奥秩父 大血川
(1)(2)イワイヌワラビ、羽片

イワイヌワラビ、最下羽片。2021年7月29日 奥秩父 大血川 イワイヌワラビ、葉柄下部の鱗片。2021年7月29日 奥秩父 大血川
(1)イワイヌワラビ、最下羽片
(2)イワイヌワラビ、葉柄下部の鱗片

イワイヌワラビ、包膜は馬蹄形~三日月型で歪に膨らみ、辺縁は多少凸凹する。2021年7月29日 奥秩父 大血川 イワイヌワラビ、包膜は馬蹄形~三日月型で歪に膨らみ、辺縁は多少凸凹する。2021年7月29日 奥秩父 大血川
(1)(2)イワイヌワラビ、胞子嚢群および包膜





フモトシケシダ
森の中に生える中形のシケシダの仲間。観察された個体は最下羽片はそれほど発達していない。

林内、渓谷の流れのそばのやや開けた林床に生育するフモトシケシダ。2021年7月29日 奥秩父 大血川
渓谷の流れのそばのやや開けた林床に生育するフモトシケシダ

フモトシケシダ、葉柄基部の鱗片。2021年7月29日 奥秩父 大血川 フモトシケシダ、この個体は最下羽片は特に発達しない。2021年7月29日 奥秩父 大血川
(1)フモトシケシダ、葉柄基部の鱗片
(2)フモトシケシダ、最下羽片

フモトシケシダ、葉身。2021年7月29日 奥秩父 大血川 フモトシケシダ、葉身。2021年7月29日 奥秩父 大血川
(1)(2)フモトシケシダ、葉身

フモトシケシダ、胞子嚢群。2021年7月29日 奥秩父 大血川
フモトシケシダ、胞子嚢群





ナンタイシダ
渓谷沿いの岩場に生育。

渓谷沿いの岩場に生育に生育するナンタイシダ。2021年7月29日 奥秩父 大血川
渓谷沿いの岩場に生育に生育するナンタイシダ

ナンタイシダ、胞子嚢群の先には鋸歯がある。2021年7月29日 奥秩父 大血川
ナンタイシダ、胞子嚢群





イノデの仲間 ツヤナシイノデか
林内、渓谷沿いの岩場の薄い表土に生育。未成株で胞子をつけていなかったので名前が正確にわからない。

渓谷沿いの岩場の薄い表土に生育するイノデの仲間。2021年7月29日 奥秩父 大血川
渓谷沿いの岩場の薄い表土に生育するイノデの仲間





ミヤマノキシノブ
渓谷沿いの苔むした大きな転石上に生育。

渓谷沿いの苔むした大きな転石上に生育するミヤマノキシノブ。2021年7月29日 奥秩父 大血川
渓谷沿いの苔むした大きな転石上に生育するミヤマノキシノブ





ビロウドシダ
渓谷沿いの切り立った岩壁や道沿いの石組みに群生。
渓谷沿いの切り立った岩壁や道沿いの石組みに群生するビロウドシダ。2021年7月29日 奥秩父 大血川
渓谷沿いの切り立った岩壁や道沿いの石組みに群生するビロウドシダ





オシャグジデンダ
渓谷沿いの苔むした大きな転石上に生育。
渓谷沿いの苔むした大きな転石上に生育するオシャグジデンダ。2021年7月29日 奥秩父 大血川
渓谷沿いの苔むした大きな転石上に生育するオシャグジデンダ





オオクボシダ
観察された個体はウエットな水が滴る日陰の切り立った岩壁に生育。植物体全体に黒褐色(栗色)の毛をつける。胞子嚢群は各羽片の基部に1個並んでつく。

水が滴る岩壁にコケの仲間とともに生育するオオクボシダ。2021年8月24日 奥秩父 大血川 
(1)水が滴る岩壁にコケの仲間とともに生育するオオクボシダ

オオクボシダ、葉身裏側。2021年8月24日 奥秩父 大血川 オオクボシダ、葉身裏側。2021年8月24日 奥秩父 大血川
(1)(2)オオクボシダ、葉身裏側

オオクボシダ、栗色の毛および胞子嚢群。2021年8月24日 奥秩父 大血川 オオクボシダ、栗色の毛および胞子嚢群。2021年8月24日 奥秩父 大血川
(1)(2)オオクボシダ、栗色の毛および胞子嚢群





キレハオオクボシダ
ウエットな空気に包まれた日陰の切り立った岩壁に10株程度点在して生育。葉の大きさは6~10㎝。植物体全体に淡褐色の白っぽい毛をつける。羽片は5~8㎜で浅~中裂し、胞子嚢群は羽片に複数つくが、大きな葉では羽軸に沿って左右の裂片基部に並んでつく。

日陰の切り立った岩壁に点在して生育するキレハオオクボシダ。毛は白っぽい。2021年8月24日 奥秩父 大血川

キレハオオクボシダ、キレハオオクボシダ、羽片は5~8㎜で浅~中裂する。2021年8月24日 奥秩父 大血川 キレハオオクボシダ、羽片は浅~中裂し白い毛が生える。2021年8月24日 奥秩父 大血川
(1)(2)キレハオオクボシダ、羽片

キレハオオクボシダ、胞子嚢群。2021年8月24日 奥秩父 大血川 キレハオオクボシダ、胞子嚢群は羽軸に沿って左右の裂片基部に並んでつく。2021年8月24日 奥秩父 大血川
(1)キレハオオクボシダ、胞子嚢群
(2)キレハオオクボシダ、裂片の基部に並んでつく胞子嚢群



今後、少しずつアップしてまいります。報告が終了するまでは、記載した内容が随時変更されることがあります。