エダウチホングウシダの仲間 2021年春
①サンカクホングウシダ
渓谷沿いの斜面林床に生育。
渓谷沿いの斜面林床に生育するサンカクホングウシダ
②小形化したエダウチホングウシダ
中腹部、やや乾燥した林床。観察された小形のエダウチホングウシダの大きさには幅があり10~20㎝程度。低山帯や平地の林で観察されるものは30~45㎝ある。ヒメエダウチホングウシダとでも呼びたいが移行型が見られるように思う。
標本1 小形の個体。 葉の大きさは12㎝程度
中腹部、標高600~800mで観察。山を登る途中でもやや小型の個体が見られたり、生育場所の環境により外部形態が小形化しているのかもしれない。
小形化したエダウチホングウシダ、胞子葉
小形化したエダウチホングウシダ
小形化したエダウチホングウシダ、胞子葉裏側
標本2 やや大きい個体。葉の大きさは18㎝程度
小形化したエダウチホングウシダ
小形化したエダウチホングウシダ、胞子葉裏側
小形化したエダウチホングウシダ、栄養葉
③ヒメホングウシダか
山地中腹部で観察。ウエットな斜面に生育。観察された個体は葉の大きさは10㎝程度、黄緑色。栄養葉と胞子葉の形状は異なり、栄養葉では羽片の切れ込みが深く掌状。
④シノブホングウ×エダウチホングウシダか
シノブホングウシダとエダウチホングウシダの雑種の可能性がある。葉の大きさは25~35㎝。葉身下部羽片の基部の小羽片にはシノブホングウの特徴が表れている。シノブホングウシダと同じような乾燥気味の林床に生育。
(1)乾燥気味の林床に生育するシノブホングウ×エダウチホングウシダか
(2)シノブホングウ×エダウチホングウシダか、最下羽片
(1)(2)乾燥気味の林床に生育するシノブホングウ×エダウチホングウシダか、小羽片
⑤マルバホングウシダ
上部を樹木に覆われた海岸に続く道沿いのウエットではない土手に生育。胞子をつけた葉を立ち上げていることが多い。最下羽片だけが2回羽状になる個体も観察された。
標本1 海岸林
上部を樹木に覆われた海岸に続く道沿いの土手に生育するマルバチホングウシダ
(1)マルバチホングウシダ、葉身上部
(2)マルバチホングウシダ、葉身下部
(1)マルバチホングウシダ、中軸および羽片
(2)マルバチホングウシダ、栄養葉
標本2 最下羽片が2回羽状に個体。中~低山のウエットではない森
山に登り始める尾根筋というほどではないがウエットではない森の林床に生育する最下羽片が2回羽状になるマルバチホングウシダ
⑥シンエダウチホングウシダ
上部を樹木に覆われた海岸に続く道沿いの土手や深い谷の岩上に生育。小株で葉身下部で2回羽状にならない単羽状の個体はマルバホングウシダによく似る。
標本1 上部を樹木に覆われた海岸に続く道沿いの土手
上部を樹木に覆われた海岸に続く道沿いの土手に生育するシンエダウチホングウシダ
標本2 低山、深い渓谷の岩上
ウエットな渓谷内の岩上に生育するシンエダウチホングウシダ
標本3 小形の単羽状のシンエダウチホングウシダ
シンエダウチホングウシダと思うがマルバホングウシダかもしれない。
マルバホングウシダに似るシンエダウチホングウシダ
(1)マルバホングウシダに似るシンエダウチホングウシダ、葉身下部
(2)マルバホングウシダに似るシンエダウチホングウシダ、葉身上部
⑦ヒメエダウチホングウシダモドキかヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)
低地、山裾の疎林内やや明るい沢沿いに生育。胞子葉は10~15㎝。栄養葉は8~12㎝。羽片の幅は3~5㎜。普通地域に生育。生育確認場所は1地点。今回は栽培し胞子を観察するため採取を行った。胞子の様子が分かったら改めて掲載する。
以前詳しい方に、写真を見ていただいたとこと「ヒメエダウチホングウシダの雑種ではないか」とのコメントを頂きましたが、今回、胞子を観察し有性生殖種であることが確認されました。再度見ていただいたところ「日本産シダ植物標準図鑑の352ページにヒメエダウチホングウシダモドキという名前があります。これに該当するかもしれません。」とのコメントを頂きました。2021年8月
シイの落葉と同じ大きさのヒメエダウチホングウシダモドキかヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)
(1)(2)やや明るい林内の沢沿いに生育するヒメエダウチホングウシダモドキかヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)
(1)(2)ヒメエダウチホングウシダモドキかヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)、胞子葉
(1)(2)ヒメエダウチホングウシダモドキかヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)、胞子葉と栄養葉
(1)(2)ヒメエダウチホングウシダモドキかヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)、包膜
(1)(2)ヒメエダウチホングウシダモドキかヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)
(1)(2)ヒメエダウチホングウシダモドキかヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)
⑧不明なエダウチホングウシダの仲間
中腹部。葉の表面の葉脈がよく見えるエダウチホングウシダの仲間か。羽片の切れ込みで包膜がいくつにも分かれている。次回行く機会があればもっと詳しく撮影してみたい。
葉脈が見え羽片がいくつも浅く切れ込む不明なエダウチホングウシダの仲間
小形化したシシガシラ(左)と不明なエダウチホングウシダの仲間(右)
(1)(2)不明なエダウチホングウシダの仲間、羽片
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