ノコギリシダ(Diplaziumディプラジウム)の仲間 2021年春
旅の同行の山崎厚氏に難しいDiplaziumディプラジウムの見分け方を教えていただきました。
※これらのノコギリシダの仲間に関する情報を頂ければありがたいです。連絡先
キノボリシダ
川沿いなどウエットな林内林床や岩上に生育。
川沿いなどウエットな林内に生育するキノボリシダ
キレハキノボリシダ
キノボリシダは人家の近くの川沿いの森で見られるが、キレハキノボリシダは深い森の渓谷沿い、ウエットな空気に包まれた森で見られた。林内の岩上に生育。
ウエットな林内の岩上に生育するキレハキノボリシダ
(1)キレハキノボリシダ、上部の耳状の羽片
(2)キレハキノボリシダ、羽片基部
ハンコクシダ
低山林内渓谷沿い、流れのそばのウエットな崖に生育。常緑性。葉の大きさは20~35㎝。葉柄~中軸・葉の裏側に毛を密につける。胞子嚢群は中間~中肋寄りにつく。
渓谷沿いのウエットな崖に生育するハンコクシダ
ヒロハノコギリシダ(小形)低山
屋久島では大きな個体は葉の長さは2m程度(ヘゴと同じくらい)になるが、幼形のまま胞子をつける個体(葉の長さ50㎝程度)が見られる。低山~中腹部まで見られる。
幼形のまま胞子をつけるヒロハノコギリシダ
ヒロハノコギリシダ(小形)屋久杉の森600~800m
屋久島中腹部の森に生育するヒロハノコギリシダ
屋久島中腹部の森に生育するヒロハノコギリシダ、葉柄基部
屋久島中腹部の森に生育するヒロハノコギリシダ、葉脈
(1)屋久島中腹部の森に生育するヒロハノコギリシダ、羽片
(2)屋久島中腹部の森に生育するヒロハノコギリシダ、葉身上部
ヒロハノコギリシダ
農耕放棄地が森に還りウエットな海岸林を形成。巨大なヒロハノコギリシダは2mを超えていた。
ヒロハノコギリシダ
ニセヒロハノコギリシダ
同行のDiplaziumなどのhybrid(ハイブリッド)に詳しい方に教えていただきました。海岸近くのかつての田畑の跡地、現在は植林されたスギや雑木が茂り森に還ってしまった。林床にはノコギリシダ(Diplaziumディプラジウム)の仲間が多数生育している。
ニセヒロハノコギリシダ
(1)ニセヒロハノコギリシダ、羽片
(2)ニセヒロハノコギリシダ、小羽片
ニセヒロハノコギリシダとヒロハノコギリシダ比較
(1)ニセヒロハノコギリシダ(左)とヒロハノコギリシダ(右)
(2)ヒロハノコギリシダ(左)とニセヒロハノコギリシダ(右)
シロヤマシダ
耕作放棄地が森に還りウエットな海岸林を形成。ほかのDiplaziumディプラジウム属の仲間とともに生育。
シロヤマシダ
ニセシロヤマシダ
低山、山裾の森や海岸近くの森に生育。
谷筋の畑のそば林内に生育するニセシロヤマシダ
(1)ニセシロヤマシダ、羽片
(2)ニセシロヤマシダ、小羽片
オキナワコクモウクジャク
山裾の人家の周りの森、谷沿いのウエットな林床。この季節葉が痛んでいてよい写真が撮影できなかった。また改めて撮影してみたいと思います。
オキナワコクモウクジャク
(1)オキナワコクモウクジャク、最下羽片
(2)オキナワコクモウクジャク、羽片
モッチョムシダか(ヒロハノコギリシダ×ニセシロヤマシダ)
ヒロハノコギリシダ・ニセヒロハノコギリシダ・ニセコクモウクジャク・ニセシロヤマシダ・シロヤマシダなどが生育する海岸林。外観の様子からはヒロハノコギリシダの血が入っていると思われる。残念なことに葉柄基部の鱗片の写真を撮影するのを忘れた。小羽片には短い柄があり基部は心形。胞子嚢群のつく位置からはニセシロヤマシダの血が入っていると思われる。片親がニセヒロハノコギリシダの可能性もある。
(1)(2)モッチョムシダか(ヒロハノコギリシダ×ニセシロヤマシダ)、葉身
(1)(2)モッチョムシダか(ヒロハノコギリシダ×ニセシロヤマシダ)、羽片・小羽片
(1)(2)モッチョムシダか(ヒロハノコギリシダ×ニセシロヤマシダ)、胞子嚢群
(1)(2)モッチョムシダか(ヒロハノコギリシダ×ニセシロヤマシダ)、胞子嚢群
アオイガワラビ
低山(標高150m)の谷沿いから中腹まで見られる。この季節、中腹(標高1000m前後)ではまだ芽立ちであったが、低山では葉を展開していた。常緑性。葉柄の棘のような突起が密生し黒褐色の鱗片をつける。葉の大きさは80~100㎝、光沢はなく、3回羽状に分かれる。裂片には浅い切れ込みが入る。胞子嚢群は中肋寄りにつく。
林内のウエットな斜面に生育するアオイガワラビ
(1)アオイガワラビ、昨年の葉
(2)アオイガワラビ、中軸
(1)(2)アオイガワラビ、葉柄の鱗片と密生する突起
(1)アオイガワラビ、小羽片および裂片裏側
(2)アオイガワラビ、胞子嚢群
標本2 低山に生育していた未成株
標高の低い森では、もう新しい葉が展開していた。
低山に生育していた未成株アオイガワラビ、展開したての葉
ホソバノコギリシダ
低山~中腹部まで普通にみられる。羽片の辺縁は羽状に切れ込まず鋭い鋸歯となる。
ミヤマノコギリシダ
標本1 中腹部
中腹部で観察。羽片の基部は耳状に膨らみ、辺縁の鋸歯は目立たない。
ミヤマノコギリシダ
(1)ミヤマノコギリシダ、葉先裏側
(2)ミヤマノコギリシダ、胞子嚢群
オオバミヤマノコギリシダ
標本1 低山(標高150m) 葉の大きさ120~150㎝、長大なシダである。
オオバミヤマノコギリシダ
標本2 中腹(700~800m) 葉の大きさ60㎝、低地のような長大な個体は観察できなかった。
オオバミヤマノコギリシダ
(1)オオバミヤマノコギリシダ、最下羽片
(2)オオバミヤマノコギリシダ、羽片
ヒロハミヤマノコギリシダ
標高600~900m、高木が茂る苔むす森でよく観察。
標本1
ヒロハミヤマノコギリシダ
(1)ヒロハミヤマノコギリシダ、葉身下部
(2)ヒロハミヤマノコギリシダ、葉身上部
標本2
(1)ヒロハミヤマノコギリシダ
(2)ヒロハミヤマノコギリシダ、胞子嚢群
標本3
(1)ヒロハミヤマノコギリシダ
(2)ヒロハミヤマノコギリシダ、葉身下部
ヒロハミヤマノコギリシダ×ミヤマノコギリシダ
中腹部屋久杉の森で観察。ウエットな林床斜面に生育。周辺にはミヤマノコギリシダが多く生育。葉身上部では羽片はそれほど切れ込まずミヤマノコギリシダの特徴が現れている。葉身下部の羽片は2回羽状に分かれヒロハミヤマノコギリシダの特徴が現れている。ヒロハミヤマノコギリシダの幼株あるいは切れ込みの深いミヤマノコギリシダの可能性も考えられる。
(1)ヒロハミヤマノコギリシダ×ミヤマノコギリシダ、葉身
(2)ヒロハミヤマノコギリシダ×ミヤマノコギリシダ、葉身下部
(1)(2)ヒロハミヤマノコギリシダ×ミヤマノコギリシダ、葉身裏側
ヒロハミヤマノコギリシダ×ホソバコギリシダ
ヒロハミヤマノコギリシダとホソバコギリシダの雑種と推定される。低山(標高150m)で観察。周辺にはホソバノコギリシダが生育。葉身下部の羽片にはヒロハミヤマノコギリシダの特徴が表れているが、葉身上部の羽片には鋭い鋸歯のあるホソバノコギリシダの特徴が表れている。
ヒロハミヤマノコギリシダ×ホソバノコギリシダ
(1)ヒロハミヤマノコギリシダ×ホソバノコギリシダ
(2)ヒロハミヤマノコギリシダ×ホソバノコギリシダ、葉身
(1)(2)ヒロハミヤマノコギリシダ×ホソバノコギリシダ、葉身の先
オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハノコギリシダヒロハミヤマノコギリシダ
低山(標高150m)に生育。周辺には大きなオオバミヤマノコギリシダ(120~150㎝)・ミヤマノコギリシダ・ホソバノコギリシダ・ヒロハミヤマノコギリシダが生育。周辺で観察されるオオバミヤマノコギリシダ同様長大なシダである。葉の大きさは120㎝程度。葉身下部羽片の基部小羽片には短柄が確認できる。胞子嚢群は裂片中肋に接して葉脈に沿ってつく。
オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハノコギリシダヒロハミヤマノコギリシダ
オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハノコギリシダヒロハミヤマノコギリシダ、葉身下部
(1)(2)オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハノコギリシダヒロハミヤマノコギリシダ、中軸および葉身
(1)(2)オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハノコギリシダヒロハミヤマノコギリシダ、最下羽片
(1)(2)オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハノコギリシダヒロハミヤマノコギリシダ、胞子嚢群
(1)(2)オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハノコギリシダ、胞子嚢群
オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハミヤマノコギリシダ
あるいはオオバミヤマノコギリシダ×ミヤマノコギリシダ
あるいはオオバミヤマノコギリシダ×ホソバノコギリシダ
低山(標高150m)に生育。葉の大きさは120~150㎝で長大なシダ。周辺にはオオバミヤマノコギリシダ・ミヤマノコギリシダ・ホソバノコギリシダ・ヒロハミヤマノコギリシダが生育。オオバミヤマノコギリシダによく似ているが胞子嚢群は葉脈に沿って湾曲せず直線的。
オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハミヤマノコギリシダ、葉身
(1)オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハミヤマノコギリシダ、葉身上部
(2)オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハミヤマノコギリシダ、葉身下部
(1)オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハミヤマノコギリシダ、最下羽片
(2)オオバミヤマノコギリシダ×ヒロハミヤマノコギリシダ、下部羽片
オワセシダ(ミヤマノコギリシダ×コクモウクジャク)ヒロハミヤマノコギリシダ×大形のDiplaziumディプラジウムとの雑種か
雑種と思われるが両親がわからない。ヒロハミヤマノコギリシダの面影は出ていると思う。オワセシダ(ミヤマノコギリシダ×コクモウクジャク)の可能性もある。葉身下部の小羽片長く伸び尖る。生育地周辺にはヒロハノコギリシダやコクモウクジャク、ミヤマノコギリシダ、オオバミヤマノコギリシダなどが生育。中~低山の林道沿いの斜面に生育。
(1)オワセシダ(ミヤマノコギリシダ×コクモウクジャク)、葉身下部
(2)オワセシダ(ミヤマノコギリシダ×コクモウクジャク)、胞子嚢群
ヒロハノコギリシダ×ミヤマノコギリシダとの雑種の幼株か
山地中腹部屋久杉の森で観察。中腹部(700m程度)で観察。ヒロハノコギリシダ×ミヤマノコギリシダとの雑種かもしれない。20~25㎝の小さなシダである。葉身裏面の写真を撮影し忘れたが、胞子嚢群はつけていなかったように覚えている。
ヒロハノコギリシダ×ミヤマノコギリシダとの雑種か、2回羽状に分かれる最下羽片
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