平坦なスギ・ヒノキ林林床に生育するミヤマシキミ雌株(手前)と雄株(奥)。2020年12月26日 御殿場周辺

富士山東南側山麓、御殿場周辺の森をみなさんで歩きました。今回は第3回目となります。季節がら夏緑性のシダは姿を消しイノデ類やオシダ属の仲間は葉が放射状に倒れているものも多く見られました。樹齢を経たスギ林の林床ではイノデ類やベニシダの仲間、オシダ属の仲間が中心に生育しています。観察会前に立ち寄った山で見られたシダも記載いたします。



イノデ 
御殿場周辺の森ではイノデをはじめアイアスカイノデ、アスカイノデ、イノデモドキ、チャボイノデ、ツヤナシイノデ、イワシロイノデなどが、広大なスギ・ヒノキ林の広く厚い樹冠の下の林床に生育し、その中のいくつかの種同士が雑種を形成しています。

平坦なスギ・ヒノキ林林床に生育するイノデ。2020年12月26日 御殿場周辺
平坦なスギ・ヒノキ林林床に生育するイノデ

イノデ、葉柄下部の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺 イノデ、葉柄下部の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)イノデ、葉柄下部の鱗片

イノデ、葉柄上部の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺 イノデ、中軸の鱗片と胞子嚢群。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)イノデ、葉柄上部の鱗片
(2)イノデ、中軸の鱗片と胞子嚢群




チャボイノデ 
葉柄は短く葉身はシャープです。特徴的な外観からそれとすぐにわかります。イノデモドキのシャープな葉の個体とは鱗片で違いが判ります。御殿場周辺の森では個体数はともかく広範囲に生育しています。場所によってはまとまって生育しています。

スギ・ヒノキ林林床に生育するチャボイノデ。2020年12月26日 御殿場周辺
チャボイノデ

チャボイノデ。2020年12月26日 御殿場周辺 チャボイノデ。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)チャボイノデ

チャボイノデ、葉柄の鱗片はよくねじれる。2020年12月26日 御殿場周辺 チャボイノデ、中軸の鱗片には粗い鋸歯が目立つ。2020年12月26日 御殿場周辺
チャボイノデ、葉柄の鱗片
チャボイノデ、中軸の鱗片





イワシロイノデ 
谷沿いのスギ・ヒノキ林林床に生育。少し小さな株である。標高の高いところや寒い地方では旺盛に生育する。ツヤナシイノデに比べると葉柄~中軸の鱗片がそれほど密ではなく、中軸の鱗片の幅は一般に狭いが、広いものもみられる。

イワシロイノデ、葉の光沢は乏しい。2020年12月26日 御殿場周辺
葉の光沢は乏しいイワシロイノデ

イワシロイノデ、葉柄にはまばらに鱗片をつける。2020年12月26日 御殿場周辺 イワシロイノデ、中軸にはまばらに鱗片をつける。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)イノデ、葉柄下部の鱗片





タカオイノデ(ツヤナシイノデ×アイアスカイノデ)
平坦なスギ・ヒノキ林林床に生育する。ゴテンバイノデ(イワシロイノデ×アイアスカイノデ)に比べ、鱗片は密につき、葉の表面は光沢があるものが多い。ほかの雑種でも見られることではあるが葉柄上部で2叉し2枚の葉をつけることがある。

スギ・ヒノキ林林床に生育するタカオイノデ。2020年12月26日 御殿場周辺
スギ・ヒノキ林林床に生育するタカオイノデ

タカオイノデ、葉は光沢がある。2020年12月26日 御殿場周辺 スギ・ヒノキ林林床に生育するタカオイノデ。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)タカオイノデ

タカオイノデ(ツヤナシイノデ×アイアスカイノデ)、葉柄下部の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺 タカオイノデ、葉柄上部の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)タカオイノデ、葉柄下部の鱗片
(2)タカオイノデ、葉柄上部の鱗片

葉身が2叉するタカオイノデ(ツヤナシイノデ×アイアスカイノデ)。2020年12月26日 御殿場周辺 タカオイノデ、葉柄と葉身との接する部分が2叉する。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)葉身が2叉するタカオイノデ

タカオイノデ(ツヤナシイノデ×アイアスカイノデ)羽片裏側。2020年12月26日 御殿場周辺 
タカオイノデ、羽片裏側





ゴテンバイノデ(イワシロイノデ×アイアスカイノデ)
詳しい方に同定していただきました。
葉はタカオイノデに比べると光沢が少なく、葉柄や中軸の鱗片がまばらな感じを受ける。
下の画像ではイワシロイノデではなくツヤナシイノデとゴテンバイノデ(イワシロイノデ×アイアスカイノデ)が接して生育していた。付近には、ツヤナシイノデ以外にイワシロイノデ、ツヤナシイノデとイワシロイノデとの中間のような鱗片をつけたイノデの仲間が生育していた。

ツヤナシイノデ(上)とゴテンバイノデ(下)の葉身。2020年12月26日 御殿場周辺 
ツヤナシイノデ(上)とゴテンバイノデ(下)の葉身

ツヤナシイノデ(上)とゴテンバイノデ(下)の葉柄。2020年12月26日 御殿場周辺
ツヤナシイノデ(上)とゴテンバイノデ(下)の葉柄

ゴテンバイノデ(イワシロイノデ×アイアスカイノデ)、葉。2020年12月26日 御殿場周辺 ゴテンバイノデ(イワシロイノデ×アイアスカイノデ)、葉裏側。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)ゴテンバイノデ、葉
(2)ゴテンバイノデ、葉裏側

ゴテンバイノデ(イワシロイノデ×アイアスカイノデ)、中軸の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺 ゴテンバイノデ(イワシロイノデ×アイアスカイノデ)、中軸の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)ゴテンバイノデ、中軸の鱗片

ゴテンバイノデ(イワシロイノデ×アイアスカイノデ)、羽片裏側。2020年12月26日 御殿場周辺 
ゴテンバイノデ、羽片裏側





ハタジュクイノデ(イノデモドキ×アイアスカイノデ)
葉柄下部の鱗片には栗色が入り、葉柄~中軸の鱗片には和紙を裂いたような鋸歯がある。個体によっては葉身下部で耳垂に優先して胞子嚢群をつける。
 ハタジュクイノデでは時々見かけられるが、小羽片が虫が食ったように未発達になることがある。これも雑種の株の特徴の一つである。現地では正常な葉のハタジュクイノデも見られた。

小羽片が虫が食ったように未発達になるハタジュクイノデ(イノデモドキ×アイアスカイノデ)。2020年12月26日 御殿場周辺
小羽片が虫が食ったように未発達になるハタジュクイノデ(イノデモドキ×アイアスカイノデ)

スギ・ヒノキ林床に生育するハタジュクイノデ(イノデモドキ×アイアスカイノデ)。2020年12月26日 御殿場周辺 ハタジュクイノデ(イノデモドキ×アイアスカイノデ)葉。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)スギ・ヒノキ林床に生育するハタジュクイノデ(イノデモドキ×アイアスカイノデ)
(2)ハタジュクイノデ、葉

ハタジュクイノデ、下部羽片のではイノデモドキに似て小羽片の耳垂に優先して胞子嚢群をつけることがある。2020年12月26日 御殿場周辺
ハタジュクイノデ、下部羽片の胞子嚢群の付き方
※掛け合わさるイノデモドキによっては耳垂に優先してつかないハタジュクイノデもみられる。

ハタジュクイノデ、葉柄基部の鱗片の中央に栗色が縞のように入る。2020年12月26日 御殿場周辺 ハタジュクイノデ、中軸の鱗片の辺縁は和紙を裂いたようにほつれる。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)ハタジュクイノデ、葉柄基部の鱗片
(2)ハタジュクイノデ、中軸の鱗片

ハタジュクイノデ、胞子嚢群は辺縁寄りにつき胞子嚢は弾けない。2020年12月26日 御殿場周辺
ハタジュクイノデ、胞子嚢群





スルガイノデ(チャボイノデ×アスカイノデ)
詳しい方に同定していただきました。
 現地では、同行の方がスギ・ヒノキ林床で1株生育しているのを見つけました。葉は濃緑色で光沢があり様子はアスカイノデに似ており、鱗片はチャボイノデのように巻き、胞子嚢群はアイアスカイノデに似て辺縁寄りにつきます。(撮影の角度・カメラにより多少色調が異なる。)

スギ・ヒノキ林林床に生育するスルガイノデ。2020年12月26日 御殿場周辺
スギ・ヒノキ林林床に生育するスルガイノデ(チャボイノデ×アスカイノデ)

スルガイノデ、葉身。2020年12月26日 御殿場周辺 スルガイノデ、葉柄の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)スルガイノデ、葉身
(2)スルガイノデ、葉柄の鱗片

スルガイノデ、羽片。2020年12月26日 御殿場周辺 スルガイノデ、羽片。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)スルガイノデ、羽片

スルガイノデ、葉柄の鱗片は細長く、巻いている。2020年12月26日 御殿場周辺 スルガイノデ、葉柄下部の鱗片(拡大)。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)スルガイノデ、葉柄の鱗片
(2)スルガイノデ、葉柄下部の鱗片

スルガイノデ、葉柄の鱗片は細長く、巻いている。2020年12月26日 御殿場周辺 スルガイノデ、葉柄下部の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)スルガイノデ、葉柄の鱗片
(2)スルガイノデ、葉柄下部の鱗片

スルガイノデ、葉柄上部の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺 スルガイノデ、葉柄上部の鱗片(拡大)。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)スルガイノデ、葉柄上部の鱗片

スルガイノデ、中軸下部の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺 スルガイノデ、中軸下部の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)スルガイノデ、中軸下部の鱗片

スルガイノデ、羽片裏側。2020年12月26日 御殿場周辺 スルガイノデ、胞子は飛散したためか胞子嚢は残っていない。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)スルガイノデ、羽片裏側

スルガイノデ、胞子嚢群は辺縁寄りにつく。2020年12月26日 御殿場周辺 スルガイノデ、胞子は飛散したためか胞子嚢は残っていない。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)スルガイノデ、胞子嚢群





フジオシダ(オシダ×オクマワラビ) 最下羽片が発達する個体
詳しい方に同定した頂きました。 
現地では葉の裏側も白っぽく葉脈もよくくぼんでいたのでフジクマワラビではないかと思ったがフジオシダであった。胞子嚢群をつける羽片は短縮せず枯れずに残っている。フジオシダの中には最下羽片があまり大きくならない個体もみられるが、この個体は最下羽片がよく目立った。

平坦なスギ・ヒノキ林林床に生育するフジオシダ。2020年12月26日 御殿場周辺
平坦なスギ・ヒノキ林林床に生育するフジオシダ

スギ・ヒノキ林床に生育するフジオシダ。2020年12月26日 御殿場周辺 フジオシダ葉身裏側、胞子をつける羽片は短縮しない。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)スギ・ヒノキ林床に生育するフジオシダ
(2)フジオシダ、葉身裏側

フジオシダ、最下羽片。2020年12月26日 御殿場周辺 フジオシダ、最下羽片裏側。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)フジオシダ、最下羽片
(2)フジオシダ、最下羽片裏側

フジオシダ、最下羽片の葉脈。2020年12月26日 御殿場周辺 フジオシダ、羽片の葉脈。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)フジオシダ、羽片表面

フジオシダ、胞子嚢群と中軸の鱗片。2020年12月26日 御殿場周辺
フジオシダ、胞子嚢群と中軸の鱗片





観察会前に立ち寄った森で見られたシダ
マンネンスギ
マンネンスギ。2020年12月26日 御殿場周辺 マンネンスギ、胞子嚢穂。2020年12月26日 御殿場周辺
(1)(2)マンネンスギ




コバノイシカグマ
コバノイシカグマ。2020年12月26日 御殿場周辺
コバノイシカグマ