あきる野市松尾-白岩の滝-麻生山-養沢鍾乳洞-上養沢を皆さんで歩きました。いろいろなスミレが咲く季節でした。イノデの仲間は新芽を展開していました。
シケシダの仲間
シケシダの仲間はやっと芽が出始めた式であった。
オオヒメワラビ
展開したばかりの葉には早落性の黒褐色の貼りつくような鱗片や多少開出気味の鱗片が見られる。
林内のウエットな谷筋に葉を展開するオオヒメワラビ
(1)オオヒメワラビ、葉柄上部~中軸にかけてやや開出気味につく鱗片
(2)オオヒメワラビ、葉柄下部の早落性の黒褐色の貼りつくような鱗片
イノデの仲間
この季節、新しい葉を展開したばかりで、種を同定するのはなかなか難しい。葉の色はすべて若草色。雑種の決め手の一つとなる胞子はまだ成熟していない。葉の形、鱗片の色や大きさと胞子嚢群の位置などを頼りに調べた。
ツヤナシイノデ
谷沿いのウエットな林床で観察。
ツヤナシイノデ
イワシロイノデ
ウエットな谷筋で観察。ツヤナシイノデよりもやや標高の高いところで見られたが、付近にはツヤナシイノデも生育していた。ツヤナシイノデに比べると鱗片は白っぽく、葉柄や中軸にまばらにつき小さい(細い)。両種が生えているところでは区別しやすいが、どちらかしか生えていない場合は同定が難しいことがある。
オンガタイノデ
ツヤナシイノデとサイゴクイノデの雑種と推定される。葉は展開したてで60~70㎝に達していた。葉柄下部の鱗片は大きく、中央に濃い栗色が入り、中軸の鱗片は丸っこい鱗片をつけツヤナシイノデの影響が表れている。葉身の途中から胞子嚢群をつけ始め、葉身下部の付き初めの胞子嚢群は小羽片の耳垂だけに規則正しくつきサイゴクイノデの影響が表れている。
オンガタイノデ(ツヤナシイノデ×サイゴクイノデ)
(1)オンガタイノデ(ツヤナシイノデ×サイゴクイノデ)、葉柄
(2)オンガタイノデ(ツヤナシイノデ×サイゴクイノデ)、葉身
(1)(2)オンガタイノデ(ツヤナシイノデ×サイゴクイノデ)、葉柄下部の鱗片
(1)オンガタイノデ(ツヤナシイノデ×サイゴクイノデ)、中軸の鱗片
(2)オンガタイノデ(ツヤナシイノデ×サイゴクイノデ)、中軸中上部の鱗片
(1)オンガタイノデ(ツヤナシイノデ×サイゴクイノデ)、葉身中部の鱗片と胞子嚢群
(2)オンガタイノデ(ツヤナシイノデ×サイゴクイノデ)、葉身下部付き始めの胞子嚢群
イタチシダの仲間
岩場が多く、岩上や岩壁ではいろいろなイタチシダの仲間が観察された。リョウトウイタチシダ、オオイタチシダ、イワオオイタチシダ、イヌイワイタチシダ、イワイタチシダなどが見られた。
リョウトウイタチシダ
山道沿いのところどころ岩が露出するような崖に生育。
リョウトウイタチシダ
(1)リョウトウイタチシダ、葉身上部
(2)リョウトウイタチシダ、葉柄基部の鱗片
イワオオイタチシダ
山道沿いの岩壁に生育。葉は狭い三角形、最下羽片後側小羽片は発達する。小羽片にはわずかに鋸歯がある。オオイタチシダの厚葉typeとよく似ていて区別に困ることが多いが葉身の形がシャープなこと、鋭い小羽片とその小羽片につく微妙な鋸歯で区別できる。
標本1 光沢の乏しい個体
山道沿いの岩壁に生育するイワオオイタチシダ
(1)イワオオイタチシダ、葉柄基部の鱗片
(2)イワオオイタチシダ、小羽片の微細な鋸歯
標本2 光沢のある個体
山道沿いの岩壁に生育するイワオオイタチシダ
イヌイワイタチシダ
山日沿いの岩壁に生育。葉身は非常にシャープな三角形、葉柄・中軸には開出下鱗片が密につく。イワイタチシダによく似るが以下の点で異なる。①葉は緑色で、弱い光沢がある。(イワイタチシダは白味を帯びた緑色で光沢無し) ②葉柄・中軸の鱗片は開出してつくがいろいろな向きにつく(イワイタチシダは軸に直角に開出し先端は上を向く)。
山道沿いの岩壁に生育するイヌイワイタチシダ
(1)イヌイワイタチシダ、羽片
(2)イヌイワイタチシダ、羽片裏側
ノキシノブの仲間
ノキシノブ、ヒメノキシノブ、クロノキシノブ、フジノキシノブなどが見られた。雑種も多いが難しい。
フジノキシノブ
葉の大きさは12~15㎝、基部も黒褐色を帯びず、光沢のない白緑色~黄緑色、葉の質は薄く柔らかい革質。胞子嚢群は円形で大きい。写真で葉の薄さ・柔らかさが伝わればよいが難しい。ノキシノブの仲間の観察は雨の翌日以降でないと葉を自然に展開している様子が観察しにくく難しい。フジノキシノブは葉質が薄いので空気が乾燥してくると巻いてしまいやすい。
標本1
山道脇の石組みに生育するフジノキシノブ