6月1日、古里駅から白丸駅まで歩きました。このころは、雨が降らず、ウエットな林内でない限り、シダは乾燥で委縮しているものが多く、観察が難しいものも見られました。ただ、この季節はイノデの観察にはちょうど良い時期で、雑種も見つけやすく、いろいろ興味深いものが見られました。もっとも、イノデの雑種をゆっくり観察するには時間が足りませんでした。チャンスがあれば、あらためて来年にでも時間をとってゆっくり見て回りたいと思います。
アイイノモトソウ(イノモトソウ×オオバノイノモトソウ)
イノモトソウとオオバノイノモトソウの雑種と推定される。白丸貯水池脇の山道沿いに生育。①葉の形はセフリイノモトソウ形で、②羽片の側脈の端は辺縁と合着しない。
(セフリイノモトソウ形のオオバノイノモトソウも普通に生育しているのでフィールドでは①と②を必ず確認しなければならない)
ヒメノキシノブ
胞子の観察では、胞子嚢によっては多少乱れているものも見られたが、胞子数は60個程度確認でき、大きさ・形とも整い有性生殖種であることが確認できた。胞子表面には網目状の組織が確認でき多少の突起も認められた。前回、倉沢で観察したヒメトガリバノキシノブ(仮称) と比較すると、ヒメノキシノブの胞子表面は突起の程度を含め穏やかであった。今後、もっと多くの個体を観察しなければならないと思う。
(1)ヒメノキシノブ、胞子上面
(2)ヒメノキシノブ、胞子側面
(1)ヒメノキシノブ、胞子上面
(2)ヒメノキシノブ、胞子側面
(1)ヒメノキシノブ、胞子上面
(2)ヒメノキシノブ、胞子側面
(1)ヒメノキシノブ、胞子上面
(2)ヒメノキシノブ、胞子側面
(1)ヒメノキシノブ、胞子上面
(2)ヒメノキシノブ、胞子側面
(1)ヒメノキシノブ、胞子上面
(2)ヒメノキシノブ、胞子側面
イワオオイタチシダ
岩上・岩壁に生育する。小~中形の個体が多い。葉身は細身の三角形。最下羽片後側第1小羽片は発達。葉の色・厚さ・光沢などはオオイタチシダ(アツバオオイタチシダtype)によく似ているが、小羽片の鋸歯は目立たず全縁に見える。
この辺りは、以前、堀氏に案内していただき、近くの越沢で多くのイワオオイタチシダを観察しました。
アイカタイノデ(カタイノデ×アイアスカイノデ)
アイアスカイノデも生育するがカタイノデが優勢となるスギ林床。葉は細身で60~70㎝、やや大形になる。葉の色にカタイノデ独特の黒味を帯びた黄緑色が見られる。胞子嚢群はやや辺縁に寄る。この季節、胞子嚢群は半透明淡褐色のお団子を積み上げたようになり雑種の特徴が明瞭。(イノデの仲間では、有性生殖種あるいは無融合生殖種の胞子嚢は、充実しているため光を通さず、肉眼および顕微鏡下で黒色~黒褐色に見える)
(1)アイカタイノデ(カタイノデ×アイアスカイノデ)葉身
(2)アイカタイノデ(カタイノデ×アイアスカイノデ)葉柄下部の鱗片
そのほかの花など