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平成22年11月11日(木)、11月28日(日) 大雄山最乗寺  観察会レポート

 
 11月11日(木)および11月28日(日)、大雄山最乗寺の森を歩いてきました。観察されたおもなシダは以下のとおりです。夏緑性のシダについては葉が枯れてしまったものもあるので来シーズンに調べたいと思います。

  • トウゲシバの仲間ではヒロハノトウゲシバとホソバトウゲシバが見られた。ヒロハノトウゲシバは樹齢を経たスギの大木の周りなどで観察された。ホソバトウゲシバにくらべると葉の幅が広く、胞子のうをつける部位の葉は他の部位の葉にくらべ著しく小さく細くなるようである。

ヒロハノトウゲシバ 2010年11月
スギの大木の林床に生育するヒロハノトウゲシバ

ヒロハノトウゲシバ 2010年11月
ヒロハノトウゲシバ

ヒロハノトウゲシバ、胞子のう群は二枚貝状。2010年11月 ヒロハノトウゲシバ、胞子のうがつく葉の一部は著しく小さな葉をつける。2010年11月
ヒロハノトウゲシバ、胞子のう群(上左)
ヒロハノトウゲシバ、胞子のう群付近の葉(上右)

  • クラマゴケの仲間は林床にはクラマゴケ、石垣や岩壁にはタチクラマゴケが住み分けて生育していました。寺院内の石垣にはヒメクラマゴケタチクラマゴケが生育。この季節、生育しているところによっては紅葉している株も見られました。地表での生育は確認できませんでした。

タチクラマゴケ 2010年11月 
タチクラマゴケ

タチクラマゴケ 2010年11月
紅葉したタチクラマゴケ

  • やや明るい林縁や林内には広くクラマゴケが生育。大雄山の周辺の森では林床に広く生育しています。

クラマゴケ 2010年11月 
クラマゴケ

クラマゴケ 2010年11月
地表を這うクラマゴケ


  • オオハナワラビは広く林内に点在して生育。

オオハナワラビ 2010年11月
オオハナワラビ

オオハナワラビ 2010年11月 オオハナワラビ 2010年11月
オオハナワラビ(上左)
オオハナワラビ、羽片(上右)

  • 林内や寺院内の大木の樹幹や岩にウチワゴケコウヤコケシノブキヨスミコケシノブが着生。キヨスミコケシノブは初めて観察しました。
  • 谷沿いのウエットな林内の切り立った岩壁にアオホラゴケが着生。

地表近くの岩壁に群生するアオホラゴケ 2010年11月
アオホラゴケ

アオホラゴケ 2010年11月
アオホラゴケ

アオホラゴケ 2010年11月 アオホラゴケ 2010年11月
アオホラゴケ、偽脈(上左)
アオホラゴケ、根茎(上右)

  • 谷沿いのウエットな林内に生育する夏緑広葉樹の樹を覆い尽くすようにウチワゴケが着生。

ウチワゴケ 2010年11月
ウチワゴケ

ウチワゴケ、葉の縁につくラッパ状の胞子のう群 2010年11月
ウチワゴケ、胞子のう群をつけた葉

  • 切り立った岩壁面・苔むした石造物や樹木の根もと付近でコウヤコケシノブが着生。

地表付近の木の根元に生育するコウヤコケシノブ 2010年11月
地表付近に生育するコウヤコケシノブ

コウヤコケシノブ 2010年11月
コウヤコケシノブ

コウヤコケシノブ、葉身表側。2010年11月 コウヤコケシノブ、葉身裏側葉脈上には毛が生える。2010年11月
コウヤコケシノブ、葉身表側(上左)
コウヤコケシノブ、葉身裏側(上右)

コウヤコケシノブ、裂片の辺縁には鋭い鋸歯がある。2010年11月
コウヤコケシノブ、裂片辺縁の鋸歯

  • 付近に他の植物の葉や繁みが無く、やや風通しのよい樹幹の下部~やや高いところ(3~4m)までキヨスミコケシノブが生育していました。地表では観察できませんでした。高い樹木の覆われた空間の中でコケシノブ科の仲間がそれぞれ住み分けていました。

キヨスミコケシノブ 2010年11月
キヨスミコケシノブ

キヨスミコケシノブ、葉身。2010年11月
キヨスミコケシノブ、葉身

キヨスミコケシノブ、裂片の辺縁は全縁。2010年11月 キヨスミコケシノブ、、葉身裏側葉脈上には毛が生える。2010年11月
キヨスミコケシノブ、裂片の辺縁は全縁(上左)
キヨスミコケシノブ、葉身裏側葉脈上の毛(上右)

  • 参道の途中の森、シロヤマシダが群生していました。1.5m程度ある大きな葉は見事でした。林床にやや光が差し込み明るいためか1m近くの背の高い林床植生が生育する中でそれらに負けずに大きな葉を広げていました。

シロヤマシダ 2010年11月
シロヤマシダ

シロヤマシダ、葉柄基部の鱗片は落ちやすい。2010年11月 シロヤマシダ、葉柄基部の鱗片は落ちやすい。2010年11月 シロヤマシダ、葉柄下部にはわずかに鱗片がつく。2010年11月 シロヤマシダ、葉柄には鱗片はない。2010年11月
シロヤマシダ、葉柄基部の鱗片(上左左、上左)
シロヤマシダ、葉柄下部の鱗片(上右)
シロヤマシダ、葉柄(上右右)

シロヤマシダ、葉身。2010年11月 シロヤマシダ、葉身。2010年11月
シロヤマシダ、葉身(上左、上右)

シロヤマシダ、羽片裏側。2010年11月 シロヤマシダ、羽片表側。2010年11月
シロヤマシダ、羽片裏側(上左)
シロヤマシダ、羽片表側(上右)

シロヤマシダ、胞子のう群。2010年11月 シロヤマシダ、胞子のう群。2010年11月
シロヤマシダ、胞子のう群(上左、上右)

  • 川のそばの参道沿いの日陰の林縁にヒカゲワラビが点在。
  • 山の中上部のスギ林内にフモトカグマが広範囲に群落を形成して生育。
  • ウエットな谷沿いの林内にオオバノハチジョウシダは群落を形成して生育。

  • 谷から少し上の林内の斜面でアマクサシダマツザカシダオオバノイノモトソウさらにオオバノヌマズイノモトソウ(仮称)を1株観察。オオバノヌマズイノモトソウ(仮称)は葉の質は硬く、羽軸に沿って薄いですが白い斑が入りマツザカシダとオオバノイノモトソウの雑種の可能性があります。

オオバノヌマズイノモトソウ 2010年11月
オオバノヌマズイノモトソウ(仮称)

  • ウエットな林内の斜面でアマクサシダを1株観察。

アマクサシダ 2010年11月
アマクサシダ

アマクサシダ 2010年11月 アマクサシダ 2010年11月
アマクサシダ、葉身(上左)
アマクサシダ、胞子のう群(上右)

  • 林内でマツザカシダを観察。1株しか見ていない。

  • スギ大木の森の中、丘陵地の中上部の林床でタニイヌワラビを初めて観察しました。周辺はササが繁茂し、競合しながら生育。

タニイヌワラビ 2010年11月
タニイヌワラビ

タニイヌワラビ、最下羽片。2010年11月 タニイヌワラビ、羽片。2010年11月
タニイヌワラビ、最下羽片(上左)
タニイヌワラビ、羽片(上右)

タニイヌワラビ、小羽片。2010年11月 タニイヌワラビ、小羽軸。2010年11月
タニイヌワラビ、小羽片(上左)
タニイヌワラビ、小羽軸(上右)

タニイヌワラビ、羽片裏側。2010年11月 タニイヌワラビ、小羽軸。2010年11月
タニイヌワラビ、羽片裏側(上左)
タニイヌワラビ、胞子のう群(上右)

  • 葉が枯れかけていて良くわからないが、セイタカシケシダムクゲシケシダが生育。
  • ウエットな林内でヒロハイヌワラビを観察。小さな群落をつくり点在する。
  • 最奥部の谷ではAthiriumの仲間が生育。(葉が枯れていて不明)
  • 寺院内の石垣にはフモトシケシダが生育。
  • 寺院内の滝(庭園として造られたもの)のそばにほかのシダに混ざってメヤブソテツの成株あり。植栽されたものか。
  • 川沿いの日陰の岩壁でオオキヨズミシダを観察。

  • 山の中上部のスギ林内の谷部側面の小規模な崖でヒメカナワラビを観察。

ヒメカナワラビ 2010年11月
ヒメカナワラビ

ヒメカナワラビ、胞子のう群は下から・中軸寄りからついていた。2010年11月 ヒメカナワラビ、胞子のう群。2010年11月
ヒメカナワラビ、胞子のう群(上左、上右)

  • 谷部でスギの大木が点在する林床ではキノクニベニシダが数多く見られました。
    キノクニベニシダ 2010年11月
    キノクニベニシダ

キノクニベニシダ、葉柄の鱗片。2010年11月 キノクニベニシダ、葉身先端。2010年11月
キノクニベニシダ、葉柄の鱗片(上左)
キノクニベニシダ、葉身先端(上右)

キノクニベニシダ、最下羽片。2010年11月 キノクニベニシダ、中軸 2010年11月
キノクニベニシダ、最下羽片(上左)
キノクニベニシダ、中軸(上右)


  • 林内ではトウゴクシダが普通に見られます。

トウゴクシダ 2010年11月
トウゴクシダ

トウゴクシダ、最下羽片 2010年11月 トウゴクシダ、胞子のう群 2010年11月
トウゴクシダ、最下羽片(上左)
トウゴクシダ、胞子のう群(上右)


  • 最乗寺周辺の林内ではイノデを観察。普通に見られます。

イノデ 2010年11月
イノデ

イノデ、葉柄の鱗片。2010年11月 イノデ 2010年11月
イノデ、葉柄の鱗片(上左)
イノデ、胞子のう群(上右)

  • 最乗寺周辺の林内ではイノデモドキを観察。
  • 谷部の林床や林縁でイノデに混じりアイアスカイノデを観察。
  • 寺院内でサイゴクイノデの幼株を観察。
  • ナガバノイタチシダは点在して生育していましたが場所によっては群落を形成して生育。
  • 川沿いの林縁から林内の谷沿いの岩混じりの林床にオオクジャクシダを観察。
  • 川沿いの日陰の岩壁や山の中上部のやや乾燥気味の林内でハカタシダを観察。

  • ウエットな林内にオオカナワラビが広く点在する。

'オオカナワラビ 2010年11月
'オオカナワラビ

'オオカナワラビ 2010年11月 'オオカナワラビ 2010年11月
'オオカナワラビ、胞子のう群(上左、上右)

  • 林床ではホソバヤマヤブソテツ、ツヤナシヤマヤブソテツやテリハヤブソテツは林床以外に石垣でも生育していました。ウエットで薄暗い谷沿いの崖ではテリハヤマヤブソテツが見られました。

ホソバヤマヤブソテツ 2010年11月
ホソバヤマヤブソテツ

ホソバヤマヤブソテツ、羽片 2010年11月
ホソバヤマヤブソテツ、羽片


ツヤナシヤマヤブソテツ 2010年11月
ツヤナシヤマヤブソテツ

ツヤナシヤマヤブソテツ、葉身下部の羽片 2010年11月
ツヤナシヤマヤブソテツ、葉身下部の羽片



テリハヤブソテツ 2010年11月
テリハヤブソテツ



テリハヤマヤブソテツ 2010年11月
テリハヤマヤブソテツ

テリハヤマヤブソテツ、栄養葉の羽片 2010年11月 テリハヤマヤブソテツ、胞子葉の羽片 2010年11月
テリハヤマヤブソテツ、栄養葉の羽片(上左)
テリハヤマヤブソテツ、胞子葉の羽片(上右)

テリハヤマヤブソテツ 2010年11月
テリハヤマヤブソテツ、胞子のう群


  • ウエットな林内の斜面でキヨスミヒメワラビがまとまって生育。また広く点在する。
  • 林内の谷部には広くシケチシダが成育。小さな群落をつくり点在する。
  • 寺院内の石垣や石造物にはコバノヒノキシダトキワトラノオイワトラノオが生育。
  • 寺院内の石垣や石造物にはミツデウラボシヒメノキシノブが生育。