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平成23年8月27日(土) 東京都稲城市南山  観察会レポート

・堀氏の案内で稲城の森を歩きました。稲城駅南側に広がる南山ではシダ植物以外にも貴重な動植物が観察されているようです。駅から住宅地を抜けて森に入ると、スギの植林地や常緑および落葉広葉樹林の林が広がっています。山道(林道)沿いでベニシダ・オオベニシダ・ハシゴシダ・イヌシダ・ヒメワラビ・ミドリヒメワラビ・ヤワラシダ・シケシダなどが普通に見られました。

ミサキカグマ
ミサキカグマは山道沿いの土手の斜面にちらほら見られました。
ミサキカグマ2011,8,27稲城市南山

リョウトウイタチシダ
リョウトウイタチシダはミサキカグマと同様なところで1株見られました。もう少し丁寧に探せば、もっと見つかるかも分かりませんでした。
リョウトウイタチシダ2011,8,27稲城市南山

ホラシノブ
ホラシノブは東京ではあまりお目にかからないそうです。
ホラシノブ2011,8,27稲城市南山

ホラシノブ2011,8,27稲城市南山

ウラジロ
ウラジロは、山道沿いの新しく削られたローム層の1m弱の崖(垂直に削られていたので崖と呼びました)にたくさん生育していました。ただしすべて未成株で、どの株も胞子のう群はつけていませんでした。少なくとも過去数年前くらいにできた崖と思われるので、どこからか胞子が飛んできて成長したものと思います。
ウラジロ2011,8,27稲城市南山

コバノイシカグマ
コバノイシカグマはウラジロが生育する崖に1株生えていました。胞子のう群をつけていない未成株です。このあたりではコバノイシカグマハは大変めずらしいと思います。
コバノイシカグマ2011,8,27稲城市南山

コバノイシカグマの葉柄2011,8,27稲城市南山

オオキジノオ
シラカシを中心とした薄暗い常緑広葉樹林内でオオキジノオを1株観察しました。湯河原あたりでは普通うに見られますが、このあたりでは大変めずらしいシダです。南山には常緑広葉樹が優勢な林もわずかですが残っています。常緑広葉樹林の森も特徴的な植生なので開発で失われるんは惜しいものです。
オオキジノオ2011,8,27稲城市南山

オオキジノオの羽片2011,8,27稲城市南山

オオキジノオの羽片2011,8,27稲城市南山

・南山にいくつかある谷戸の一つでは、その最奥部が幅約50~30m・奥行き約150mにわたりスギ植林地になっています(谷戸の入り口付近は区画整理で造成されて無くなっています)。林床には数多くのシダ類が繁茂するウエットな森です。ここで観察されたシダはアイアスカイノデ・アスカイノデ・オオタニイノデ(アイアスカイノデとアスカイノデの雑種)・ミウライノデ(アスカイノデとイノデの雑種)・イヌイワイタチシダ(ヤマイタチシダとイワイタチシダの雑種)・オクマワラビ・オシダ・ミヤマイタチシダ・オオカナワラビ・ホソバナライシダ・アイヒメワラビ(ヒメワラビとミドリヒメワラビの雑種)・フジオシダ(オクマワラビとオシダの雑種)・アイノコクマワラビ(アスカイノデとイノデの雑種)・トウゴクシダ・フモトシケシダ・フモトシダを観察しました。
イヌイワイタチシダ
雨にぬれているため葉柄の鱗片のようすをうまく写真に撮ることができませんでした。
イヌイワイタチシダ2011,8,27稲城市南山

イヌイワイタチシダの葉柄鱗片2011,8,27稲城市南山

オシダ
このスギ林の中では2株観察しました。普通、標高の高いところや寒いところでよく見られるシダです。
オシダ2011,8,27稲城市南山

ミヤマイタチシダ
大きな成株が1株生えていました。ある程度標高の高いところでは普通に見られますが、この森のように標高の低いところではめずらしいと思います。
ミヤマイタチシダ2011,8,27稲城市南山

ミヤマイタチシダの葉身2011,8,27稲城市南山

ミヤマイタチシダの鱗片2011,8,27稲城市南山

オオカナワラビ
成株が10株程度群生していました。一般的に暖かいところで多く見られるシダです。
オオカナワラビ2011,8,27稲城市南山

オオカナワラビの胞子のう群2011,8,27稲城市南山

アイヒメワラビ
一見葉が込み合ってヒメワラビのようにも見えますがヒメワラビとミドリヒメワラビの雑種です。
アイヒメワラビ2011,8,27稲城市南山

アイヒメワラビの小羽片2011,8,27稲城市南山

葉柄基部は白緑色の粉をおびない。2011,8,27稲城市南山

アイノコクマワラビ
クマワラビとオクマワラビの雑種です。クマワラビに似て葉の表面で葉脈に沿って窪みますが、葉身上部の胞子のう群をつける羽片はちじみません。
アイノコクマワラビ2011,8,27稲城市南山

アイノコクマワラビの葉身2011,8,27稲城市南山

アイノコクマワラビの小羽片の葉脈2011,8,27稲城市南山

フジオシダ
オシダとオクマワラビの雑種です。オクマワラビに似ていますが、全体に大きく、葉身がうねるように波打っています。
フジオシダ2011,8,27稲城市南山

フジオシ葉柄上部鱗片2011,8,27稲城市南山

フジオシ葉柄基部鱗片2011,8,27稲城市南山

ホソバナライシダ
ホソバナライシダ2011,8,27稲城市南山

オオタニイノデ
アイアスカイノデとアスカイノデの雑種です。オオタニイノデ2011,8,27稲城市南山

オオタニイノデ葉柄下部鱗片2011,8,27稲城市南山

オオタニイノデ葉身上部胞子のう群2011,8,27稲城市南山

オオタニイノデ葉身下部胞子のう群2011,8,27稲城市南山

ミウライノデ
イノデとアスカイノデの雑種です。
ミウライノデ2011,8,27稲城市南山

ミウライノデ葉柄下部鱗片2011,8,27稲城市南山

ミウライノデ葉身下部胞子のう群2011,8,27稲城市南山

ミウライノデ葉身上部胞子のう群2011,8,27稲城市南山

・よみうりランド駅近くの穴澤天神社付近でシダを観察しました。
ウチワゴケ
樹幹一面に着生していました。
ウチワゴケ2011,8,27稲城市穴澤天神社

ラッパ状の胞膜と胞子のう床2011,8,27稲城市穴澤天神社

今回観察した稲城市の森は豊かな自然の残る魅力的な森でした。でもその周りは大規模な宅地開発と道路整備で造成され、自然の森はほぼ無くなっています。今回の観察地も区画整理地の範囲に入っています。この森の生態を守るには、森を取り囲む環境ごと保護しないと、このままでは稲城市も、都心に隣接する他の市と同様、人工的で殺風景な林や公園しか残らなくなってしまうかも知れません。造成地・開発地に残る小規模な林や公園と呼ばれる緑地の多くは、ほとんど生物の棲まない、なんとも魅力の無いものが多いです。一度失われてしまった自然の生態は元には戻らないので、この素敵な森がいつまでも残ることを願います。