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平成24年11月3日(土) 奥湯河原パークウエイ沿い渓谷および渓谷西側の森周辺  観察会レポート

 奥湯河原水源地-最上部堰堤-パークウエイ-パークウエイ西側山地を歩いてきました。
ここで述べられていることは、参加された皆さんで話し合った内容を中心に載せています。シダの仲間やそのほかの植物についていろいろ勉強することができてありがとうございまた。
 なお今回の観察会レポートに掲載した動植物の画像および説明に関してのご質問やご指摘がございましたらご連絡いただけるとありがたいです。
なお草花の名前については間違っているものもあると思いますので、ご指摘いただけるとありがたいです。ご連絡はtakae0602@gmail.comまで



 前々回藤木川東支流に沿ってシダを観察しましたが、今回は西支流沿いに歩いていました。(東・西どちらが本流なのか知りません)湯河原駅からバスに乗り、奥湯河原で下車。西支流に沿って谷に入りました。水源池取水口付近は立ち入り禁止になっているので、最初は谷の東側の山を巻いて水源池上流に向かいました。(大変険しい斜面でブッシュでした)取水口付近の上部から渓谷沿いにシダを観察しましたが水源池取水口上流なので川には入らないようにしながら上流に向かいました。今回歩いた部分は渓谷の下流部か谷の中央部までです。残りの上流部半分はまた次回歩きたいと思います。


1 ウエットな渓谷で観察されたシダについて
深く切れ込んだ谷渓谷で両面あるいは片側に切り立った岩壁が多く、いろいろなシダやコケが生育していました。カナワラビの仲間ではホソバカナワラビ、ハカタシダ、ホソコバカナワラビガ見られました。イノデの仲間ではイノデ・アイアスカイノデ・カタイノデ・ヒメカナワラビなど。岩壁面にはテリハヤマヤブソテツ・アオホラゴケ・カタヒバ・イヌイワイタチシダなどが見られました。
イワヤナギシダ
渓谷沿いの切り立った岩壁に着生。この群落は薄暗い岩壁に着生し、どれも胞子のう群をつけていなかった。葉柄基部は緑色。
イワヤナギシダ。 イワヤナギシダの葉柄基部。
イワヤナギシダ(左上)
イワヤナギシダの葉柄基部(右上)


オオヒメワラビ
明るい林縁で見られる個体はもっと大きく生長し中軸などは緑色であったが、このの写真の個体は上部を樹冠に覆われた薄暗い渓谷内で観察されたもので、中軸はエンジ色~黒褐色であった。
オオヒメワラビ。 
オオヒメワラビ(上)
オオヒメワラビの中軸(左下)
オオヒメワラビの羽片(右下)
オオヒメワラビの中軸。 オオヒメワラビの羽片。


ミドリワラビ
転石が広がる渓谷沿いの河原に生育。下部の羽片では羽片基部上側第1小羽片は非常に小さくなる。
羽軸には一応翼ができるが狭い翼。裂片の辺縁には鋸歯がある。
ミドリワラビ。 ミドリワラビの羽軸と小羽片。
ミドリワラビ(左上)
ミドリワラビの羽軸と小羽片(右上)


アオホラゴケ
日陰でウエットな切り立った岩壁に群生していました。
アオホラゴケ。 アオホラゴケの胞子のう群。
アオホラゴケ(左上)
アオホラゴケの胞子のう群(右上)


ケブカフモトシダ
植物体全体に毛が多いが特に葉柄・中軸の毛の多さが目立つ。胞膜上の毛も長い。
ケブカフモトシダ。 ケブカフモトシダの中軸と胞膜。
ケブカフモトシダ(左上)
ケブカフモトシダの胞子のう群(右上)


コケの仲間
日陰の切り立った岩壁にはコケの仲間もたくさん生育していました。
リボンゴケ。 クジャクゴケ。
リボンゴケ(左上)
クジャクゴケ(右上)



2 やや明るい谷で観察されたシダについて
渓谷沿いの薄暗い谷に比べ、やや光が差し込む明るい谷ではイワヘゴ・オオヒメワラビ・シケシダ・ナチシケシダ・ハリガネワラビ・マツザカシダ・ヤマヤブソテツ・ナガバヤマヤブソテツなどが見られました。
イワヘゴ
湯河原の渓谷では標高300~600mあたりで見られる。あまり薄暗い渓谷よりもやや光が差し込むような明るい谷を好むようである。大きな個体では葉は1mを越える。
イワヘゴ。 イワヘゴの胞子のう群。
イワヘゴ(左上)
イワヘゴの胞子のう群(右上)


シケシダ
渓谷沿いの水辺で普通に見られる。胞膜の端は巻き込み辺縁はなめらか。
シケシダ。 シケシダの胞子のう群。
シケシダ(左上)
シケシダの胞子のう群(右上)


ナチシケシダ
水辺から乾燥気味の路傍・石垣まで広く生育する。葉の質はやや厚みガあるものが多いが薄いものも見られる。胞膜上には毛があるものが多く辺縁は細かく裂ける。今回掲載した個体は特に厚い葉の個体である。
ナチシケシダ。 ナチシケシダの胞子のう群。
ナチシケシダ(左上)
ナチシケシダの胞子のう群(右上)



3 スギなどの植林地内で観察されたシダについて
渓谷から離れ、おもにスギなどの植林地を山道に沿って歩くとベニシダ類、フモトシダ、ヒメカナワラビ、ヤマヤブソテツ(ツヤナシtype)、ミヤコヤブソテツ、オオイタチシダ類のいろいろなtypeが見られました。アツバオオイタチシダ(type1)、ベニオオイタチシダ(type2)、ツヤナシオオイタチシダ(type3)、アケボノオオイタチシダ(type5)。
ミヤコヤブソテツ
渓谷からだいぶ登ったところのスギ植林地の急斜面の林床に生育。1株だけ確認しました。
ミヤコヤブソテツ。 ミヤコヤブソテツの羽片。
ミヤコヤブソテツ(左上)
ミヤコヤブソテツの羽片(右上)
ミヤコヤブソテツの胞膜(下)
ミヤコヤブソテツの胞膜、残っている胞膜の中心は黒褐色。


ツヤナシオオイタチシダ(type3)
山道沿いの崖や石垣で普通に見られました。
ツヤナシオオイタチシダ。 


オオイタチシダ(ツヤナシtype)かアケボノオオイタチシダ
明るい山道沿い石垣上部で1株観察することができた。ただし新芽に時期に芽立ちの色を確認しないと正確に判断できない。葉には艶がなく下側最下羽片はよく発達する。新芽は紅色を帯びる。
オオイタチシダ(ツヤナシtype)かアケボノオオイタチシダ。 最下羽片。
オオイタチシダ(ツヤナシtype)かアケボノオオイタチシダ(左上)
オオイタチシダ(ツヤナシtype)かアケボノオオイタチシダの最下羽片(右上)



4 林縁や石垣で観察されたシダについて
山道沿いや林道沿いの岩場や石垣などではタチシノブ・ゲジゲジシダ・イワヒメワラビ・・オニヤブソテツ・ナガバヤブソテツ・コハシゴシダ、ヒメワラビ、ヒメイタチシダ、アオニオオイタチシダ(オオイタチシダtype4)などが見られました。
アオニオオイタチシダ(オオイタチシダtype4)
奥湯河原あたりでは林内よりはやや明るいところでよく見られた。渓谷上部の岩壁や民家沿いの崖など。
アオニオオイタチシダ。 
アオニオオイタチシダ
よく日の当たる石垣に生育していました。

よく日の当たる石垣に生育。 コハシゴシダ羽片基部上側第1小羽片は独立する。
コハシゴシダ(左上)    
コハシゴシダ羽片(右上)


ヒメイタチシダ
やや明るい林縁の乾燥気味の岩混じりの崖に生育。写真ではアツバオオイタチシダに似ているが、葉の質は薄くやわらかい。鱗片は辺縁が淡色になる鱗片が混じるが写真でははっきりしない。
ヒメイタチシダ。 ヒメメイタチシダの鱗片。
ヒメイタチシダ(左上)
ヒメイタチシダの鱗片(右上)



5 湿地で観察されたシダについて
山地内の湿地ではスギナやサトメシダ、シケシダが見られました。
サトメシダ
あまり多くの株を確認することができませんでした。個体数が減っているようで心配です。
サトメシダ。


スギナ
40cm程度の大きな個体で、側枝はあまり分岐していませんでした。イヌスギナかなと思いましたが、側枝の最下の節間は茎の葉鞘よりもずっと長かったです。
スギナ。 スギナ。 


6 歩きながら見られたキノコや種子植物の仲間を紹介します。
ヒイロチャワンタケ
大きなものは14cm×7cmありました。
ヒイロチャワンタケ。 

房咲のコウヤボウキ
高い石垣の上部から垂れ下がるようにして生育。長さは1m。普通1年生枝の分岐した枝先に頭花を1つ頂生するがこの個体は複数の頭花をつけていました。
写真の個体の。 羽片と羽片の。
房咲のコウヤボウキ(左上)
房咲のコウヤボウキ、1つの枝先に複数の頭花をつける(右上)

マメホコリ
苔むした倒木の上に生育。こんなおそい時期でも見られました。
マメホコリ。 マメホコリ。
マメホコリ(左上)
マメホコリ(右上)

ヨウラクラン
高木の落葉広葉樹の上部の生育していたものと思われるが、倒れたもの。
ヨウラクラン。 



今回の観察会で見られたシダ
〇イヌカタヒバ・カタヒバ・クラマゴケ
〇スギナ・トクサ
〇オオハナワラビ
〇ゼンマイ  
〇カニクサ
〇コハイホラゴケ・アオホラゴケ
〇フモトシダ・ケブカフモトシダ・イヌシダ 〇イワヒメワラビ 〇ワラビ  
〇タマシダ
〇シノブ  〇ウラジロ
〇イワガネソウ・イワガネゼンマイ・ウラゲイワガネ・イヌイワガネソウ 
〇タチシノブ ○ハコネシダ
〇イノモトソウ・オオバイノモトソウ・オオバノハチジョウシダ・マツザカシダ
〇コバノヒノキシダ・イワトラノオ・アイトキワトラノオ・チャセンシダ
〇コモチシダ
〇テリハヤブソテツ・ヤマヤブソテツtype1艶無し・ヤマヤブソテツtype2厚葉艶有・ヤブソテツ・ツルデンダ・ジュウモンジシダ・ナガバヤマヤブソテツ・オニヤブソテツ・ナガバヤブソテツ・ミヤコヤブソテツ
〇イノデ・イノデモドキ・カタイノデ・アイアスカイノデ・ツヤナシイノデ・ヒメカナワラビ
〇ハカタシダ・オニカナワラビ・コバノカナワラビ・ホソバカナワラビ・リョウメンシダ・
〇イワヘゴ・イヌイワヘゴ・ベニシダ・ギフベニシダ・クマワラビ・オクマワラビ・アイノコクマワラビ・ヤマイタチシダ・イヌイワイタチシダ・ヒメイタチシダ・オオイタチシダtype1テリハ・オオイタチシダtype3ツヤナシ・オオイタチシダtype4アオニ・オオイタチシダtype5アケボノ・テリハトウゴクシダ・
〇キヨスミヒメワラビ
〇ヒメワラビ・ミドリヒメワラビ・ミゾシダ・ゲジゲジシダ・コゲジゲジシダ・ホシダ・ヤワラシダ・ハリガネワラビ・コハシゴシダ
〇イヌワラビ・ヒロイヌワラビ・ヘビノネコザ・カラクサイヌワラビ・サトメシダ
〇オオヒメワラビ・ミドリワラビ・シケシダ・ナチシケシダ
〇キヨタキシダ・ノコギリシダ  
〇ノキシノブ・ヒメノキシノブ・マメヅタ・クリハラン・イワヤナギシダ