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平成24年12月27日(木) 奥多摩海澤方面 観察会レポート
今回は寒さと天候のせいで良い写真が撮れず、ピンボケ写真が多くてすみません
白丸駅
今回は大変寒い中での観察会になりました。時期の関係で夏緑性のシダは枯れた葉が残っていることを確認することができたくらいです。朝8時半青梅線白丸駅を出発しました。駅のそばで、キンモウワラビやアイトキワトラノオを観察しました。キンモウワラビは地上部の葉ほとんど枯れていましたが、根茎付近は明褐色の鱗片は観察することができました。私はこの駅で降りるときにしか見たことはありませんでしたが、同行の方の話では奥多摩ではほかの石灰岩が見られる地域では観察できるとの事でした。
キンモウワラビ
撮影日を訂正します。2012年12月27日ではなく2012年8月16日に撮影しました。
白丸渓谷南岸
白丸駅からは多摩川を渡り、南岸を歩いて海沢へ向かいました。私は初めて歩く道で、海沢までの渓谷沿いの山道は素敵なコースでたくさんのシダに目を奪われましたが、案内してくださる方が先を急がせるので、私としてはもっとゆっくり観察したかったのですがあまりゆっくり観察せずに通過しました。コケシノブの仲間やイタチシダの仲間、途中の沢ではオオヒメワラビが枯れかけていました。また、途中の岩場に黄色~オレンジ色の綿毛のようなものが着生、同行の方に教えていただいたスミレモ、地上に生育する藻類の仲間(気生藻類)だそうです。藍藻類が地上に生育しているのは知っていましたが、このような仲間があることを初めて知りました。冬の殺風景な景色の中で鮮やかな色で目を楽しませてくれていました。
コウヤコケシノブ(左上)
スミレモ(右上)
お手洗いではヤブソテツの観察を
海沢の入口に到着、ここにある公衆お手洗い(ここから海沢園地までお手洗いなし)で用をたすついでに裏の石垣でヤブソテツの仲間を観察。テリハヤブソテツ、ヤブソテツ、ヤマヤブソテツなどがみられました。
興味がつきない岩場
養鱒場を過ぎ、いよいよ沢沿いの道に入ります。付近の岩場ではマルバベニシダ・リョウトウイタチシダなどがみられました。切り立った岩壁の上の方にはよくわからないシダも生育していました。次回行った時には必ず確かめようと思っています。他にも同行の方の案内で、林道沿いのスギ林林縁でネッコイノデ(イノデモドキの鱗片が栗色の個体)を観察しました。
ネッコイノデ、中軸鱗片(生態写真はうまく撮影できませんでした)
クジャクシダの群生
デイキャンプ場の駐車場の周り、明るい林縁の石垣や土手には地上部葉枯れていましたが、クジャクシダが群生していました。
切り立った岩壁で
いよいよ周りがスギ林に囲まれた森の中に入ると急に気温が下がり出しました。中部の岩場では海沢でも10~20mはあると思える切り立った岩壁があり、そういう岩場にはシシラン・トキワシダを観察することができました。写真のトキワシダは、同行の方の案内で渓谷の川原の巨大な転石に着生する個体を撮影しました。
トキワシダ、寒さで羽片は縮れてしまっていました。(左上)
トキワシダ、羽片(右上)
シシラン(下)
常緑性のシダ
常緑性のシダとしてはオオイタチシダの仲間、ヤマイタチシダやイワイタチシダ・イヌイワイタチシダは沢の中部当たりから海沢園地に着くまで普通に見られました。そのほか、所々の岩場でクモノスシダ・ツルデンダ・ミツデウラボシ・イワヒバ・ナンゴクナライシダが見られました。いたるところのウエットな岩場にはコウヤコケシノブやホソバコケシノブが群生していました。
クモノスシダ(左上)
ホソバコケシノブ(右上)
今回は見つかりませんでしたが、注意深く探すとサジラン・ヒメカナワラビも観察できます。
夏緑性のシダ
夏緑性のシダとしては地上部葉ほとんど枯れていましたが、残存する枯葉からウスヒメワラビ・オオヒメワラビ・オオヒメワラビモドキ・シケチシダ・イワデンダ・オシダ・ミヤマウラジロ・ヤシャゼンマイ・イワハリガネワラビ・オウレンシダを確認することができました。
ミヤマウラジロ(たぶんミヤマウラジロの枯葉だと思います。夏に撮影するのを楽しみにしています。
海沢園地
海沢園地の先にある滝付近ではナンタイシダが見られるのですが、今回は時間の関係で滝の方へは行かず、大楢峠に向かいました。イノデの仲間としてはツヤナシイノデとそれとよく似たイワシロイノデを実際に比較して眺めることができました。大楢峠付近ではカタイノデも見られました。
イワガネゼンマイの仲間
チチブイワガネやウラゲイワガネなどイワガネゼンマイの仲間はも確認することができました。
セフリイノモトソウ
私は最近までセフリイノモトソウをそんなに観察していませんでしたが、だんだん慣れてくると両者(イノモトソウ・オオバイノモトソウ)が生育するところではよく見つけることができるようになりました。今回の観察地でも両者がよく見られ、セフリイノモトソウもときどき観察できました。
セフリイノモトソウ
ミヤマイタチシダとナガバノイタチシダ
渓谷の奥部のスギ林林床ではミヤマイタチシダが普通に見られましたが、今回、あまり標高差が変わらないところで同行の方がナガバノイタチシダを見つけられました。(葉の大きさは40~55cm・胞子のう群はつけていない。1地点、1株。)割合と大きな株ですが、まだ胞子をつけていないので、今後も観察していきたいと思います。
ナガバノイタチシダ(左上)
ナガバノイタチシダ、葉身(右上)
ナガバノイタチシダ、最下羽片(左下)
ナガバノイタチシダ、中軸向軸側溝(右下)
シシガシラが群生
尾根近くの、岩が風化したような山道沿いの明るい斜面ではシシガシラが群生していました。
寒い1日でした
昨日は風が強かったためか地表近くの木の枝や葉に霧氷がついていました。1日中気温が低く、夕方近くになっても溶けずに木の枝や葉にびっしりとついたままでした。1日中、歩いていたのでそれほどではありませんでしたが、霧氷を見ると改めて寒い1日であったことを実感しました。
終わりに
今回のコース(白丸ー海沢ー海沢園地ー大楢峠ー越沢ー鳩の巣)は少し長めですが見応えのあるコースでした。また、シダが観察しやすい夏季に観察会を行いたいと思います。そのときはまたご参加ください。