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平成24年8月9日(木)~11日(土) 表丹沢-稜線-西丹沢周辺  観察会レポート

 今回の観察会レポートは8月9日(木)~11日(土)までを1日ごとに3回に分けて報告します。
 1回目(8月9日)は表丹沢山麓周辺(大倉登山口周辺)~丹沢山について
 2回目(8月10日)は丹沢山~桧洞丸(丹沢主稜線)について
 3回目(8月11日)は桧洞丸~犬越路~西丹沢について
報告する予定です。

 シダを観察する以外にさまざまな樹木や草花を観察し、雄大な景色を眺めながらゆっくり楽しく歩くことができました。シダ以外のキノコ・コケ類・種子植物にも詳しい方がご一緒してくださり、いろいろ教えていただくことができました。
 なお掲載している草花の名前については間違っているものもあると思いますので、ご指摘いただけるとありがたいです。

 ご指摘・ご助言ありがとうございます。地名や花の名前を訂正させていただきました。

1回目(8月9日) 2回目(8月10日) 3回目(8月11日)

観察会レポートNO.3
第3日目 8月11日
夜は時折雨音がして、明日は雨の中を歩くことになるのかなと思っていましたが、朝になると深い霧に覆われていましたが、雨は降っておらず、とりあえず安心しました。昨晩は連れの方が小屋番のおかみさんに植物の説明をされ大変たのしい時間を過ごしました。山小屋を発つ前、おかみさんが記念写真を撮ってくださいました。今日はほぼ下りコースです。また、今日も1日草花をゆっくり楽しめます。6時半出発。天気は、山に雲がかかることが多く、視界が悪い中を歩くこともありましたが、ときどき陽が差すこともありました。
桧洞丸青ヶ岳山荘
桧洞丸青ヶ岳山荘 
       
今回は行く予定にない「ツツジ新道」のブナ林を見てきました。霧の中にブナやカエデ、シナノキなどの大木が現われる姿は幽玄でゆっくり木道を歩いてきました。
木道が整備されていて背の高い林床植物の上を快適に歩く。 霧の中でもマルバダケブキの黄色が遠くから景色に色を添えていました。
桧洞丸ツツジ新道(8月10日撮影)

深い霧に覆われ幽玄な景色が出現。ブナ・シナノキなどの大木が生育。 木道の脇に立つシナノキの巨木。
桧洞丸ツツジ新道(8月10日撮影)          

 

日当たりのよい稜線で
稜線沿いの笹原や風衝地の裸地でよく目につくのはヤハズハハコの白い花、ウスユキソウなどです。ほかにはアカバナ、ミゾホオズキ、ミヤマカラマツも咲いていました。
稜線沿いのよく日の当たるお花畑では普通に見られた。 ヤハズハハコの花
ヤハズハハコ                ヤハズハハコの花

花の周りの取り囲む葉が白毛に覆われ白色を示す。 ウスユキソウの花
ウスユキソウ                ウスユキソウの花

アカバナ、実は棒状。 アカバナの花。
アカバナ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アカバナの花

ミゾホオズキ。 ミヤマカラマツ。
ミゾホオズキ                ミヤマカラマツの花

         
岩場で見られる草花
桧洞丸から犬越路への向かう桧洞丸直下は荒れていて、少し歩きづらかったですが、よく日の当たる風衝地や岩場・ガレ場はヤハズハハコやウスユキソウ、シモツケソウやキンレイカなどのお花畑でした。霧が深く遠くの景色が見えないのが多少残念でした。天気が良ければ富士山がきれいに見えると聞いています。
ガレ場や斜面の裸地に生育。 オトギリソウの仲間、葉は白緑色。
オトギリソウの仲間          

ガレ場や岩の上にコケ類とともに生育。 撮影した個体は植物体の割合に対し花が大きい。
ネリバノギラン          ネリバノギランの花芽

岩上にコケ類とともに生育。
ミヤマタニタデ          

背景に見える山は丹沢山。 霧が晴れて丹沢山がよく見えました。
ヒトツバショウマ          ''ヒトツバショウマ(紅花)'


樹林帯林床で見られる草花
桧洞丸を下る斗しばらく樹林帯が続きます。ブナの大木もしばしば見られました。
標高の高いところの樹林帯の林床で見られた。花の色は黄色。 標高のやや低いところで見られた。
タマガワホトトギス          ヤマホトトギス

このあたりの個体の花の色は白色。 もう少しおそい時期に登れば花が見られたのが残念です。
クサアジサイ          シラヒゲソウ

標高の高い樹林帯林床で見られた。 花の色は緑色。
エゾスズラン          エゾスズランの花



大こうげ・小こうげの岩場で見られるシダ
険しい岩場の痩せ尾根です。シロヤシオやトウゴクミツバツツジが群生していて花の時期は大変見事なことだろうと想像できますます。聞いた話では、地元では花の時期シロヤシオなどが花のトンネルのようになっているのを見に登るそうです。ナンタイシダ、イワイタチシダ、イワハリガネシダ、ヒメコケシノブ、ホソバコケシノブ、コウヤコケシノブ、イワヒバなどが見られました。
日陰の岩場や岩混じりの崖に生育。 葉柄・中軸は細くて華奢。
イワハリガネワラビ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・イワハリガネワラビの羽片

イワハリガネワラビの葉柄基部。
イワハリガネワラビ

胞子のう群は裂片と中肋の中間あるいは中肋よりにつく。 胞膜上にはハリガネワラビよりも短い微毛がつく。
イワハリガネワラビの羽片裏側・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・イワハリガネワラビの胞膜

参考画像ハリガネワラビ
胞子のう群は裂片の辺縁よりにつく。 胞膜上には微毛がつく。
ハリガネワラビ胞子のう群:横浜新治2009,7,11 ハリガネワラビ胞膜:横浜新治2009,7,11



犬越路~西丹沢まで
犬越路から渓谷までの下りは樹林帯の中を一気に下ります。渓谷まで降りるとあとは渓谷沿いに西丹沢まで歩きやすい道が続きます。
シノブ、コセイタカシケシダ(セイタカシケシダ×ホソバシケシダ)、ハクモウイノデ、ミサキカグマ、コガネシダ、リョウトウイタチシダ、ミツデウラボシ、ツルデンダ、ウチワゴケ、オウレンシダ、ヒメノキシノブ、カタヒバ、コウヤコケシノブ、ホソバコケシノブなどが見られました。
イワシャジンもときどき見られましたが花はまだでした。
コガネシダ、切り立った岩壁面に着生。 コガネシダ、胞膜は毛に覆われる。
コガネシダ                コガネシダ胞子のう群

イワヒバ、切り立った岩壁面に着生。 
イワヒバ         

リョウトウイタチシダ、西丹沢の渓谷の岩場では普通に見られる。 リョウトウイタチシダ葉柄。
リョウトウイタチシダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リョウトウイタチシダの葉柄

リョウトウイタチシダ羽片。 リョウトウイタチシダ胞子のう群。
リョウトウイタチシダ羽片裏側・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リョウトウイタチシダ胞膜



ヘビノネコザとミヤマヘビノネコザについて
ヘビノネコザは山麓から山頂稜線まで普通に見られました。稜線付近でミヤマヘビノネコザに出会えないかと思ってそれらしい個体を調べてみました。外形がミヤマヘビノネコザのような個体がいくつか見られましたが、ガレ場の乾燥気味のところに生育していたので生育環境からヘビノネコザがいじけた感じになり、写真のような形態を示しているとも考えられます。稜線付近で撮影した個体を紹介します。
稜線で見られたヘビノネコザ
ヘビノネコザ、稜線でガレ場の岩の間に生育。 ヘビノネコザ、葉柄は紅色。
ヘビノネコザ                ヘビノネコザ、葉柄基部

ヘビノネコザ、羽片裏側胞子のう群。 ヘビノネコザ、胞膜。
ヘビノネコザ、胞子のう群                ヘビノネコザ、胞膜

稜線で見られたミヤマヘビノネコザ
1500m付近の稜線でそれらしい個体を調べてみた。胞膜の形は膨らんだ短い線形~そら豆形。胞膜の辺縁は鋸歯があるかどうかは分からなかった。外形の形態は中間形も見られたので、普通のヘビノネコザが乾燥ぎみの稜線の日当たりのよいところでいじけた形態になったと考えることもできる。ミヤマヘビノネコザについて、ご存知の方は教えていただければありがたいです。
日当たりのよい稜線沿いのガレ場に生育。 羽片は中軸に対し直角か下向きにつく。

葉柄は短く紅色を帯びる。
写真の個体の葉柄は非常に短く、紅色を帯びる。

胞子のう群は短い線形~そら豆形で膨らむ。 胞膜。
胞子のう群は短い線形~そら豆形で膨らむ。



シケシダ類
稜線の笹原や林内で見られたシケシダノの仲間について
稜線沿いでは外形がホソバシケシダに似たタイプのシケシダがよく見られました。そのうちのいくつかを紹介します。外形的特徴から名前を付けることを試みました。画像をご覧になり、ご意見をいただければありがたいです。
ホソバシケシダ
最下羽片は発達しないが、羽片の中では最も大きくなることがあり、フモトシケシダに似てくる。胞膜上には微毛は見られない。胞膜の辺縁は細かい鋸歯がある。葉柄は基部のみえんじ色。
ホソバシケシダ、樹林帯の林床登山道沿いに生育。 ホソバシケシダ、葉柄はあまり黒っぽくならない。

ホソバシケシダ、羽片裏側胞子のう群。 ホソバシケシダ、羽片裏側胞子のう群。

胞膜の辺縁には細かい鋸歯がある。 胞膜の辺縁には細かい鋸歯がある。
ホソバシケシダの胞膜の辺縁には細かい鋸歯がある。

胞膜の辺縁には細かい鋸歯がある。
ホソバシケシダの胞膜の辺縁には細かい鋸歯がある。



フモトシケシダ
葉身は細長く、最下羽片は発達する。胞膜上には微毛が生え、胞膜の辺縁は鈍鋸歯~一部に細かい鋸歯がある。
フモトシケシダ、稜線の笹原、登山道沿いに生育。

フモトシケシダ、羽片裏側胞子のう群。 フモトシケシダ、羽片裏側胞子のう群。

フモトシケシダ、胞膜。。 フモトシケシダ、胞膜。。
フモトシケシダの胞膜上には毛が生える。

フモトシケシダ、胞膜。。 フモトシケシダ、胞膜。
フモトシケシダの胞膜上には毛が生える。



タマシケシダ(シケシダ×フモトシケシダ)
1400~1500mの稜線で観察。葉の両面には毛があり、表面は艶がある。最下羽片はよく発達する。胞膜は全縁で、胞膜上にまばらに微毛が生える。
タマシケシダ、稜線の笹原、登山道沿いに生育。 タマシケシダ、最下羽片はよく発達する。 

タマシケシダ、葉の両面には毛がある。 タマシケシダ、葉柄はえんじ色。 

タマシケシダ、胞膜は背中合わせのものが混じる。 タマシケシダ、葉脈上には毛が目立つ。

タマシケシダ、表面には艶があり、有毛。 タマシケシダ、胞膜。 
タマシケシダの胞膜上にはわずかに毛が生える。

タマシケシダ、胞膜。 タマシケシダ、胞膜。 
タマシケシダの胞膜上にはわずかに毛が生える。



ナチシケシダ
1400~1500mの稜線で観察。葉身は細長く、最下羽片は発達していない。胞膜上には微毛が生え、胞膜の辺縁は鋸歯がある。形態はホソバシケシダに似ており、胞膜の辺縁がよく切れ込んだホソバシケシダということも考えられる。
ナチシケシダ、稜線の笹原、登山道沿いに生育。 ナチシケシダ、写真の個体はホソバシケシダに似ている。

ナチシケシダ、羽片裏側胞子のう群。 ナチシケシダ、羽片裏側胞子のう群。

ナチシケシダ、羽片裏側胞子のう群。 ナチシケシダ、胞膜。

ナチシケシダ、胞膜。 ナチシケシダ、胞膜。
ナチシケシダ、胞膜辺縁ははげしいく切れ込んだ鋸歯がある。


オオホソバシケシダ(シケシダ×ホソバシケシダ)
稜線沿いの樹林帯林床の登山道沿いで観察。葉の表面にはやや艶があり、最下羽片は発達しない。胞膜の一部は目立つ鋸歯がある。
オオホソバシケシダ、最下羽片は発達しない。 オオホソバシケシダ、葉の表面には艶がある。

オオホソバシケダ、羽片裏側胞子のう群。 オオホソバシケダ、羽片裏側胞子のう群。

オオホソバシケダ、胞膜。 オオホソバシケダ、胞膜。

オオホソバシケダ、胞膜。
オオホソバシケシダ、胞膜の一部分だけ細かい鋸歯がある。


コセイタカシケシダ(ホソバシケシダ×セイタカシケシダ)
犬越路から用木沢へ下る樹林帯の林床で観察しました。葉の表面には艶がなく、葉柄・中軸には毛が目立つ。胞膜の辺縁には細かい鋸歯が全体に見られたり、一部に見られたりする。
コセイタカシケシダ、葉身は幅が狭く細長い。 コセイタカシケシダ、最下羽片は発達しない。

コセイタカシケシダ、葉の表面には艶がない。

コセイタカシケシダ、中軸の毛はよく目立つ。 コセイタカシケシダ、葉柄基部はえんじ色。

コセイタカシケシダ、羽片裏側胞子のう群。 コセイタカシケシダ、羽片裏側胞子のう群。

コセイタカシケシダ、羽片裏側胞子のう群。 コセイタカシケシダ、羽片裏側胞子のう群。

コセイタカシケシダ、胞膜。 コセイタカシケシダ、胞膜。

コセイタカシケシダ、胞膜。 コセイタカシケシダ、胞膜。
コセイタカシケシダ、胞膜の辺縁には細かい鋸歯がある。



キノコおよび粘菌
ウラグロニガイグチ、スギ・ヒノキの植林および雑木林で観察。 ウラグロニガイグチの柄
ウラグロニガイグチ                ウラグロニガイグチの柄

キホウキタケの仲間 ツノマタタケの仲間
キホウキタケの仲間                ツノマタタケの仲間

      
ツリガネタケ ツリガネタケ
ツリガネタケ                ツリガネタケ拡大

ブナサルノコシカケ ブナサルノコシカケ
ブナサルノコシカケ                ブナサルノコシカケ

ツエタケ ツエタケ、ヒダと柄
ツエタケ                ツエタケ、ヒダと柄

ツルタケ 
ツルタケ               

シワチャヤマイグチ シワチャヤマイグチの柄
シワチャヤマイグチ                シワチャヤマイグチの柄



粘菌の仲間も見られました。
1日目のスギ・ヒノキ植林地林床でよく見られました。エダナシツノホコリは稜線でも観察できました。
エダナシツノホコリ エダナシツノホコリ
エダナシツノホコリ         

キフシススホコリ キフシススホコリ
キフシススホコリ         

ウツボホコリの仲間 ウツボホコリの仲間
ウツボホコリの仲間              
 



⑩動物一覧
稜線ではハルゼミの仲間が鳴いていました。朝の霧の中で羽に水滴がついて白く見えます。蛾の幼虫も木道の上でよく見かけました。ヒョウモンオオエダシャクも見られました。苔むして朽ちた立ち枯れのブナの幹にはナメクジの仲間、幹に生えているブナサルノコシカケにはやマイマイの仲間も見られました。



今回の観察会で見られたシダ
○ホソバトウゲシバ 
○カタヒバ・エゾノヒメクラマゴケ・イワヒバ
○スギナ
○ゼンマイ
○カニクサ
○コウヤコケシノブ・キヨスミコケシノブ・ウチワゴケ・ホソバコケシノブ・ヒメコケシノブ
○フモトシダ・イヌシダ・オウレンシダ 
○イワヒメワラビ 
○ワラビ 
○シノブ・トキワシノブ(植栽) 
○タチシノブ 
○イワガネソウ・フイリイワガネソウ・イワガネゼンマイ・ウラゲイワガネ
○イノモトソウ、・オオバイノモトソウ・オオバノアマクサシダ・コユルギイノモトソウ・アマクサシダ・マツザカシダ・マツザカ×オオバイノモト
○コバノヒノキシダ・トラノオシダ・イワトラノオ
○コモチシダ
○テリハヤブソテツ・ヤマヤブソテツtype1艶無し・ヤマヤブソテツtype2厚葉艶有・ヤブソテツ・ツルデンダ・ジュウモンジシダ
○イノデモドキ・イノデ・アイアスカイノデ
ハカタシダ・オオカナワラビ・リョウメンシダ・ナンタイシダ
○ベニシダ・オオベニシダ・クマワラビ・オクマワラビ・アイノコクマワラビ・ヒメイタチシダ・ヤマイタチシダ・オオイタチシダtype1・オオイタチシダtype2・オオイタチシダtype3・オオイタチシダtype4・イワイタチシダ・イヌイワイタチシダ・ミヤマクマワラビ・ミサキカグマ
○キヨスミヒメワラビ
○ヒメワラビ・アイヒメワラビ・ミゾシダ・ゲジゲジシダ・ホシダ・ヤワラシダ・ミヤマワラビ・ハシゴシダ・ハリガネワラビ・イワハリガネワラビ
○イヌワラビ・ヒロイヌワラビ・ヤマイヌワラビ・ヘビノネコザ・ニシキシダ
○ホソバシケシダ・フモトシケシダ・シケシダ・ハクモウイノデ・ナチシケシダ・コセイタカシケシダ(ホソバシケシダ×セイタカシケシダ)・オオホソバシケシダ(シケシダ×ホソバシケシダ)・タマシケシダ(シケシダ×フモトシケシダ)
○クサソテツ・イヌガンソク
○キヨタキシダ・ヌリワラビ  
○ノキシノブ・ナガオノキシノブ・ヒメノキシノブ・マメヅタ・ミツデウラボシ・ミヤマノキシノブ・クジャクシダ・ハコネシダ
○シシガシラ
○イワデンダ・コガネシダ・フクロシダ

1回目(8月9日) 2回目(8月10日) 3回目(8月11日)