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平成24年9月15日(土) 奥湯河原天照山周辺  観察会レポート

 奥湯河原水源地-広河原-林道終点-天照山-白雲滝-しとどの窟入り口のコースで歩いてきました。最初の予定では土肥大杉跡から新崎川を下る予定でしたが、時間の関係で短縮しました。
 今回もシダや種子植物に詳しい方々がご一緒してくださり、いろいろ教えていただくことができました。なお草花の名前については間違っているものもあると思いますので、ご指摘いただけるとありがたいです。
キノコの名前を変更しました。2012,10,24

湯河原駅からバスに乗り、奥湯河原で下車。周辺の旅館街の石垣では広くヤブソテツの仲間、チャセンシダの仲間が見られました。道路に面した石組みの間にベニシダ、オクマワラビなどにに混じってギフベニシダも見られました。奥湯河原のバス停付近で渓谷は分岐し、一つは湯河原パークウエイ沿いに、もう一つは広河原を経て天照山白雲滝方向に伸びています。


奥湯河原の旅館街の石垣で見られるヤブソテツについてはテリハヤブソテツtypeやツヤナシヤマヤブソテツtyreがよく目につきましたが、オニヤブソテツやナガバヤブソテツも普通に見られます。数は多くはありませんがヤブソテツ、ホソバヤマヤブソテツtypeなどが見られました。
ッヤナシヤブソテツtype、羽片は披針形。 ホソバヤマヤブソテツtype、羽片は細長い。
ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツtyre)ヤブソテツ(ホソバヤマヤブソテツtype)

ツヤナシヤマヤブソテツtyre、羽片の幅は広い。
ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツtyre)



奥湯河原の旅館街の石垣で見られるチャセンシダの仲間についてはコバノヒノキシダ、アイトキワトラノオ、トキワトラノオの群落(1地点、付近の石垣に10株程度)、チャセンシダ(1地点、3株)。アイトキワトラノオついては判別が難しいですが、同行の方に教えていただきましたが、このあたりの個体は胞子の形・数とのが調べられアイトキワトラノオに間違いないないとのことでした。
トキワトラノオ、葉の質は厚く、色は生育環境にもよるが一般に濃緑色。 トキワトラノオ、最下羽片は小さく、掌を広げた形になる。
トキワトラノオ        トキワトラノオ最下羽片

greybox(photo/jpeg/120915tokiwatorahoushi.jpg,トキワトラノオ胞子のう群。,tokitora){トキワトラノオ胞子のう群。};
トキワトラノオ胞子のう群        

アイトキワトラノオ、葉身は細長く披針形。 アイトキワトラノオ、各羽片は小さいが裂片の幅はトキワトラノオよりも広い。
アイトキワトラノオ               アイトキワトラノオ最下羽片



天照山へ伸びる渓谷では、日陰の切り立った岩壁でシシガシラ、オオキジノオ、ツルデンダ、イワトラノオが生育していました。岩混じりの斜面ではオオキヨズミシダ、ヒメカナワラビ、ゲジゲジシダ4倍体などが見られました。
写真の個体は常緑樹林下の乾燥気味の岩場に生育、ウエットな岩場にも生育する。 胞子のう群は葉身の下からつくが、葉身全体につく場合もある。
ヒメカナワラビ               ヒメカナワラビの胞子のう群

胞子のう群は葉身の上からつくが、ほぼ全面につくこともある。小羽片は羽軸に流れて広くつく。 
オオキヨズミシダの胞子のう群(参考画像2010,5,30奥湯河原水源地上流)ヒメカナワラビよりもウエットな岩場や斜面で見られる。今回は生態画像を撮りそこないました。
         
葉の長さ10cm~12cm、日陰の露頭に生育。 小さな個体でも胞子のう群をつける。
ゲジゲジシダ4倍体                ゲジゲジシダ4倍体、胞子のう群

写真の個体の葉のは大きさはおよそ80~90㎝。 羽片と羽片の間の翼が発達する。
ゲジゲジシダ(参考画像2010,7,22陣馬山)ゲジゲジシダ、胞子のう群(参考画像2010,7,22陣馬山)


渓谷沿いの林に覆われた河原ではイワヘゴ、オオバノハチジョウシダ、アマクサシダ、フモトカグマなどが見られました。今回は時間がなく、詳しく探せなかったので見つかりませんでしたがのでサジランの群生地が確認されています。
また、周辺の森ではカナワラビの仲間も多く見られました。オニカナワラビ、ハカタシダ、コバノカナワラビ、ホソバカナワラビ、オオカナワラビ、ミドリカナワラビ、シモダカナワラビ(オニカナワラビ×ホソバカナワラビ)などです。シモダカナワラビについては、同行の方に教えていただいたのですが最下羽片の形や羽片数はオニカナワラビに似ていますが、葉身の先のほうが頂羽片状になっています。
渓谷沿いの落葉および常緑広葉樹林林床に生育。 葉身の先端は頂羽片状になる。
シモダカナワラビ(オニカナワラビ×ホソバカナワラビ)  

胞子のう群をつける小羽片とつけない小羽片が見られる。 葉身の先端は頂羽片状になる。
シモダカナワラビ胞子のう群     シモダカナワラビ頂羽片



登山道に沿った山の中腹の切り立った岩壁の北面にはコハイホラゴケ(ハイホラゴケ×ヒメホラコゴケ)、アオホラゴケガ群生していました。同地点のコハイホラゴケを今までハイホラゴケと思って観察していましたが、葉身が平面的ではなく立体的に厚みを持つ感じになるなどコハイホラゴケの特徴を同行の方に教えていただきました。
写真左株は胞子のう群をつけているが右株は胞子のう群をつけず栄養葉。 羽片は波打つように盛り上がり立体的、下部羽片は胞子のう群をつけず幅が広い。
コハイホラゴケ(ハイホラゴケ×ヒメホラコゴケ)  コハイホラゴケ(ハイホラゴケ×ヒメホラコゴケ)
胞子のう群を包む包は先端で花びら状に広がる。 胞子のう群は包よりも外へ飛び出す。
コハイホラゴケの胞子のう群  コハイホラゴケの胞子のう群



ハナワラビの仲間の新芽を伸ばしていました。オオハナワラビ、アカハナワラビ、フユノハナワラビ。



林内ではヤブソテツ(テリハヤマヤブソテツtype)と数は少ないですがメヤブソテツが見られました。メヤブソテツは渓谷沿いの岩混じりのブッシュ(灌木)内で見られました。
ヤブソテツ(テリハヤマヤブソテツtype)羽片は幅が広く光沢があり厚い。
ヤブソテツ(テリハヤマヤブソテツtype)



スギ植林地内ではアイアスカイノデ・アスカイノデも見られましたが、イノデモドキとカタイノデがよく見られ、雑種のカタイノデモドキも見られました。またイワガネソウ、ウラゲイワガネ、イヌイワガネ(イワガネソウ×イワガネゼンマイ)も見られました。
両母種が生育する林床で見られる。 カタイノデに似るが葉の色は濃い。
カタイノデモドキ                カタイノデモドキ羽片

下部羽片では胞子のう群は耳垂に優先的につく。 
カタイノデモドキ下部羽片の胞子のう群胞子のう群は耳垂に優先的につき、イノデモドキの特徴が現われている。

辺縁に細かい鋸歯がある鱗片や栗色の鱗片が混ざる。 カタイノデにくらべ鱗片の色は薄く、辺縁の鋸歯は発達する。
カタイノデモドキ、葉柄の鱗片



スギ植林地内でも特にウエットなゆるやかな谷部林床ではヒカゲワラビ、オオヒメワラビ、シケチシダ、ハコネシケチシダも見られました。
スギ植林地内の緩やかな谷部のウエットな林床に生育。 
ヒカゲワラビ 

ウエットな林内に生育。 羽軸には翼がある。
オオヒメワラビ                オオヒメワラビ羽軸



シケシダについて
旅館街の石垣や植え込み・川沿いの石組みなどではナチシケシダが見られ、薄暗い林内の林床や川沿いではおもにホソバシケシダやフモトシケシダが観察された。
ナチシケシダ。 
ナチシケシダ        

ナチシケシダ胞膜。
ナチシケシダ胞膜。

フモトシケシダ。 
フモトシケシダホソバシケシダ

フモトシケシダ、最下羽片。 フモトシケシダ、胞膜。
フモトシケシダホソバシケシダ最下羽片
フモトシケシダホソバシケシダ胞膜。



林道や登山道沿いの樹木の樹幹にはノキシノブ、ヒメノキシノブ、マメヅタ。またカヤランも着生していました。
カヤラン、桜の枝の下側に着生。 
カヤラン         



山道沿いでは広河原の日当たりのよいところでミズタマソウ、しとどの窟付近の日当たりのよい車道脇でヤマホロシ、林道沿いではヌマダイコン、シュウブンソウ、ヤブタバコ、ガンクビソウ、ウエットな日陰ではレモンエゴマ、ナキリスゲ、標高の高い山道沿いでヒナノウスツボなどの草花も咲いていました。
ミズタマソウ、沢沿いの陽地に生育。 
ミズタマソウ         

ミズタマソウ、子房には白い毛が生える。 球形の実にはカギ状の毛をつける。
ミズタマソウの花                ミズタマソウの実  

秋分草、茎は上部で分枝する。 花びらは舌状。
シュウブンソウ                シュウブンソウの花

ヤブタバコ、茎は上部で分枝する。 ヤブタバコ、頭花には柄がない。
ヤブタバコ                ヤブタバコの花

レモンエゴマ、葉を触ると柑橘系の香がする。沢沿いの日陰に生育。 
レモンエゴマ         

ナキリスゲ。 ナキリスゲ。
ナキリスゲ              

渓谷沿いの樹木に覆われた林道脇に群生。 花冠は白く細長い。
ヌマダイコン                ヌマダイコンの花

ヒナノウスツボ、標高700m付近の山道沿い。 ヒナノウスツボ、花はエンジ色。。
ヒナノウスツボ                ヒナノウスツボ、花。

ヤマホロシ、標高600m付近の日当たりのよい道路脇。 ヤマホロシ、紫色の花。
ヤマホロシ                ヤマホロシの花と実



森で見られたキノコ
オシロイシメジ、スギおよび広葉樹との混生林の林床に生育。 オシロイシメジ、ヒダは密で垂生。
オシロイシメジ (毒)              

ハナホウキタケ、標高700m付近の雑木林。 ハナホウキタケ、枝の先端は淡紅色。
ハナホウキタケ (毒)              



始めの予定では天照山に登った後、新崎川上流から下流に向かって下る予定でしたが、ゆっくり観察いながら登ったので天照山からバスで下山することになりました。今日もよい天気で、天照山からの帰りはバスの時間まで時間があったので、徒歩でしとど窟入り口バス停まで下り、そこからバスに乗りました。天気がよく太平洋と伊豆半島・大島は近く、はるかに伊豆七島の利島、新島も見渡せました。



今回の観察会で見られたシダ
○ホソバトウゲシバ・イヌカタヒバ・ヒメクラマゴケ・クラマゴケ
○スギナ
○フユノハナワラビ・アカハナワラビ・オオハナワラビ
○ゼンマイ
○オオキジノオ
○カニクサ
○コハイホラゴケ・アオホラゴケ
○フモトシダ・イヌシダ・フモトカグマ  
○ホラシノブ 
○タマシダ
○シノブ 
○イワガネソウ・イワガネゼンマイ・ウラゲイワガネ   ○タチシノブ   ○ハコネシダ
○イノモトソウ・オオバイノモトソウ・オオバノハチジョウシダ・アマクサシダ
○コバノヒノキシダ・トラノオシダ・イワトラノオ・トキワトラノオ・アイトキワトラノオ・チャセンシダ
○シシガシラ   ○コモチシダ
○テリハヤブソテツ・ヤマヤブソテツtype1艶無し・ヤマヤブソテツtype2厚葉艶有・ヤブソテツ・ツルデンダ・ジュウモンジシダ・ナガバヤマヤブソテツ・オニヤブソテツ・ナガバヤブソテツ・メヤブソテツ、
○イノデ・イノデモドキ・カタイノデ・カタイノデモドキ・サイゴクイノデ・アイアスカイノデ、アスカイノデ、ヒメカナワラビ、オオキヨズミシダ
ハカタシダ・オニカナワラビ・オオカナワラビ・ミドリカナワラビ・コバノカナワラビ・ホソバカナワラビ・シモダカナワラビ・リョウメンシダ
○イワヘゴ・ベニシダ・ギフベニシダ・クマワラビ・オクマワラビ・ヤマイタチシダ・オオイタチシダtype1テリハ・オオイタチシダtype3ツヤナシ・オオイタチシダtype4アオニ・テリハトウゴクシダ
○キヨスミヒメワラビ
○ヒメワラビ・ミゾシダ・ゲジゲジシダ・ホシダ・ヤワラシダ・ハリガネワラビ
○イヌワラビ・ヒロイヌワラビ・ヘビノネコザ
○シケチシダ、ハコネシケチシダ、タカオシケチシダ
○オオヒメワラビ・ホソバシケシダ・シケシダ・ハクモウイノデ・ナチシケシダ
○キヨタキシダ・ヒカゲワラビ  
○ノキシノブ・ヒメノキシノブ・マメヅタ・ミツデウラボシ