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平成25年2月23日(土) 早川駅ー玉川ー石垣山ー入生田駅方面  観察会レポート

・今回は予想通り美味しいミカンをたくさんいただきました。早川駅に先に着いておられた方が早川港で開かれている朝市で参加者のためのにみかんを1箱買ってきて下さり、出発前にみなさんで美味しいみかんをたくさん食べ、残りはリュックに詰め込んで出発しました。途中、少し港に寄り道してみなさんで朝市を見学しましたが、干物の魚を焼いたり、地元で採れたミカンや野菜などを販売していました。地元の人のための素朴な市でした。

・早川駅からしばらく海岸沿って石橋まで歩きました。そこから玉川に沿って登り始めました。みかん畑の中を登って行く途中、親切なおばあちゃんが「これは売り物にならないから」と言って袋いっぱいのみかんをいただきました。みかんは既にみなさんいっぱい持っていたのですが、ご好意がありがたかったです。朝市で買ったみかんに劣らず甘くて美味しいみかんでした。小田原のみかんがこんなに甘いとは知りませんでした。
ミカンをくださったおばあちゃん。2013年2月23日石橋

・まず、ヤブソテツの仲間を紹介します。
最初に見られたものは オニヤブソテツでした。早川駅から海岸沿いに歩くと海岸沿いの大きなき岩の間にオニヤブソテツが群生していました。葉身上部の羽片まで基部は丸くなっていました(楔形ではなく)。それにさすがに海岸のそばに生育しているものは葉が厚くごつい感じがします。
海岸の岩の間に群生するオニヤブソテツ。2013年2月23日早川海岸 葉身上部羽片基部は円形。2013年2月23日早川海岸
オニヤブソテツ(上左)
オニヤブソテツ葉身上部の羽片(上右)

・今回の観察会でよく見られたものはテリハヤブソテツとヤマヤブソテツ(艶のないtype)でした。山道沿いの石垣からスギ林内までよく目につきました。
ヤマヤブソテツ。2013年2月23日玉川中~上流
ヤマヤブソテツ

・尾根沿いに石垣山の方へ下っている途中メヤブソテツが見られました。やや明るい稜線付近の疎林内に生育していました。
メヤブソテツ。2013年2月23日石垣山
メヤブソテツ

・テリハヤマヤブソテツ(ヒラオヤブソテツ)は沢沿いのウエットなスギ林内急斜面に生育していました。
テリハヤマヤブソテツ。2013年2月23日石垣山
テリハヤマヤブソテツ

・ヤブソテツと思われる個体も見つかりました。耳垂は発達せず、羽片の幅は狭く、光沢はありません。羽片の形によってはヤマヤブソテツと区別し難い個体も見られるので難しいです。
ヤブソテツ。2013年2月23日石垣山
ヤブソテツ

・オオイタチシダのいろいろなtypeが見られました。みかん畑の周辺など日当たりの良い石垣や土手などではアオニオオイタチシダが多く見られました。また、アツバオオイタチシダも見られましたので両者を比較せてご覧下さい。この2つのtypeはどちらも葉の表面には強い光沢がありますがアツバオオイタチシダは葉の辺縁が少し下側に巻き込みます。それに対しアオニオオイタチシダは葉の辺縁がフラットです。
 葉の表面に光沢がないtypeとしてはアケボノオオイタチシダとツヤナシオオイタチシダが見られました。アケボノオオイタチシダはツヤナシオオイタチシダにくらべ羽片の切れ込みが深く3回羽状中裂程度、最下羽片下側第1小羽片はよく発達し4回羽状に分かれます。それに対しツヤナシオオイタチシダは2回~3回羽状浅裂、最下羽片下側第1小羽片はあまり発達しない個体が多いです。この季節、新芽の芽立ちはまだ見ることができません。春先このあたりを歩かれる方がおられたら新芽の芽立ちの色を比較してみてください。
 オオイタチシダの中で最も大きくなるベニオオイタチシダも見られました。林道脇の斜面から90~100cmの大きな葉を広げていました。葉はやや薄く表面は光沢がありフラットです。
アオニオオイタチシダ。2013年2月23日玉川下~中流 葉には光沢があり葉の辺縁は巻かない。2013年2月23日玉川下~中流
アオニオオイタチシダ(上左)
アオニオオイタチシダ葉身(上右)

アツバオオイタチシダ。2013年2月23日玉川中流
アツバオオイタチシダ。

アケボノオオイタチシダ。2013年2月23日玉川中流 アケボノオオイタチシダ。2013年2月23日玉川中流
アケボノオオイタチシダ(上左)
アケボノオオイタチシダ最下羽片(上右)

ツヤナシオオイタチシダ。2013年2月23日玉川中流
ツヤナシオオイタチシダ。

・カナワラビの仲間はオニカナワラビ・オオカナワラビ・ハカタシダ・ホソバカナワラビが見られました。今回、羽軸に沿ってはっきりとした斑が入るハカタシダを観察しましたが、関東地方では斑入りの個体はたいへん珍しいのではないかと思います。関西の方ではよく見かけるもですが関東では初めて見ました。最近頂いたメールでは矢倉沢でも斑入りの個体が見つかったとの事でした。関東地方沿岸域ではときどき見られるのでしょうか。今後も斑入りの個体が見つかった時には紹介します。
ハカタシダ。2013年2月23日石垣山 ハカタシダ羽片。2013年2月23日石垣山
ハカタシダ(上左)
ハカタシダ、羽軸に沿って現れる斑(上右)

・イノモトソウの仲間はイノモトソウ、オオバイノモトソウ、マツザカシダ、アマクサシダが見られました。みかん畑の石垣、林道沿いの崖などで観察されました。

・イワガネゼンマイの仲間についてはやや標高を上げた森の中でいくつか観察することができました。羽軸に沿って斑が入る一般的なフイリイワガネソウと羽片にシミのような斑が入るtypeが見られました。斑入りのイワガネソウは生育地点は限定されますが生育地点では一定量群生していました(個体数は15株程度でそれほど多くありません)。
フイリイワガネソウ。2013年2月23日玉川上流
フイリイワガネソウ

にじんだシミのような班の入ったフイリイワガネソウ。2013年2月23日玉川上流
にじんだように斑が入るフイリイワガネソウのtype。

・イワガネゼンマイに比べると少ないですがウラゲイワガネも見られました。スギ植林地林縁に生育していました。
ウラゲイワガネ。2013年2月23日玉川上流 ウラゲイワガネ羽片裏側。2013年2月23日玉川上流
ウラゲイワガネ(上左)
ウラゲイワガネ羽片裏側の毛(上右)

・イノデの仲間について
標高の低いところではイノデが見られました。標高を上げるに従い、アイアスカイノデ、イノデモドキ、サイゴクイノデが見られました。雑種のドウリョウイノデやハタジュクイノデも見られました。サイゴクイノデは海岸側ではなく箱根側の斜面で見られました。
サイゴクイノデ。2013年2月23日玉川上流
サイゴクイノデ

ケブカフモトシダも見られました。この時期、フモトシダは葉柄は立っていても葉身は水平から先端は地面に向かって垂れていることが多いです。それに対してケブカフモトシダは葉柄から葉身まで垂れることなく勢いよく斜め上に立ち上がっています。この特徴は同行者の方から教えていただきました。
ケブカフモトシダ。2013年2月23日石垣山 ケブカフモトシダ中軸。2013年2月23日石垣山
ケブカフモトシダ(上左)
ケブカフモトシダ中軸の毛(上右)

・ハナワラビの仲間ではオオハナワラビ、およびオオハナワラビに似た小型のハナワラビの仲間が見られました。10株ほどまとまって生育していました。胞子葉はしっかり残っていました。小型のオオハナワラビに似たハナワラビはオオハナワラビに比べ栄養葉が小さい・葉の質が薄いといった違いが見られましたが、単に成長の悪いオオハナワラビなのかもしれません。
小型のハナワラビの仲間。2013年2月23日石垣山 オオハナワラビに似た小型のハナワラビの仲間。2013年2月23日石垣山
オオハナワラビに似た小型のハナワラビの仲間(上左)
オオハナワラビに似た小型のハナワラビの仲間の栄養葉(上右)

・そのほかホシダ、ミゾシダ、トラノオシダ、ホウライシダ(海岸)、イヌシダ、コバノイシカグマ、ウラジロ、マメヅタ、キヨスミヒメワラビ、タチシノブ、イワヒメワラビ、イヌカタヒバ、クマワラ、アイノコクマワラビ、ホラシノブなどが普通に見られました。

・この地域の森ではヤブニッケイ、林床植生としてハナミョウガが普通に見られました。箱根側のウエットなスギ林では灌木のイズセンリョウがよく目につきました。尾根沿いのヒノキ林内の山道沿いでは、この時期、カントウカンアオイが花を咲かせていました。
ヤブニッケイ。2013年2月23日玉川中~上流
ヤブニッケイ

イズセンリョウ。2013年2月23日石垣山 イズセンリョウの花つぼみ。2013年2月23日石垣山
イズセンリョウ(上左)
イズセンリョウの花つぼみ(上右)

ハナミョウガ。2013年2月23日玉川上流
赤い実をつけたハナミョウガ

カントウカンアオイ。2013年2月23日石垣山 カントウカンアオイの花。2013年2月23日石垣山
カントウカンアオイ(上左)
カントウカンアオイの花(上右)

・今回歩いたコースの特徴はカナワラビの仲間、ヤブソテツの仲間、オオイタチシダの仲間が色々見られたことです。イノデの仲間およびその雑種についてもある程度見られました。