Top / 観察会レポート / 平成25年3月29日(金) あきる野市養沢


シシラン

・9時30分武蔵五日市駅発上養沢行きのバスに乗り出発しました。駅前ではソメイヨシノが見頃でしたが上養沢に到着するとまだウメの花が満開で、サクラはまだ開花していませんでした。


人家の近くで
人家の近くの岩場や石垣ではノキシノブ・コバノヒノキシダ・テリハヤブソテツ、ヤマヤブソテツが見られました。少しですがヒメノキシノブも見られました。
ヒメノキシノブ、胞子のう群は葉身先端にまとまってつく。
ヒメノキシノブ


ヤブソテツらしい個体も見られましたが、羽片の幅の狭いヤマヤブソテツとも考えられます。見かけの形質や生育環境や生育のサイクルなどに明確な違いがなければ同じものと考えても良いのではないかと思います。
葉身がスリムなヤマヤブソテツの可能性がある。
ヤブソテツあるいはヤマヤブソテツ



渓谷のようす
今回歩いた渓谷のようすを紹介します。ところどころでチャートが切り立った岩壁や大小の滝を形成していました。また、鍾乳洞が点在することからもわかるように、渓谷には付近の石灰岩の岩壁から崩れ落ちた大きな転石が見られました。やや開けた川原では花を付けたフサザクラや大きな冬芽のザワグルミ・枯葉をつけたままのヤマシバカエデがよく目につきました。スギ林に覆われた薄暗い谷ではスゲの仲間が花を咲かせていました。
サワグルミ、若木は木の肌がなめらか サワグルミ、冬芽
サワグルミ



ウリカエデ
ウリカエデの花



ヤマシバカエデ ヤマシバカエデ
ヤマシバカエデ、別名チドリノキとも言うそうです。



岩場に生育するシダ
見上げるようなチャートの岩壁は人やシカが近づき難く、それが幸いしてかシシランからコケシノブの仲間まで大小様々な着生シダが生育していました。



カタヒバが主に生育しているところでは外見からでもイヌカタヒバと見間違うことはありませんが民家が近くにあるところでは判別が重要になってきます。両者にはいくつかの明確な違いがありますが、今回はカタヒバに見られる背葉の細鋸歯を紹介します。
カタヒバ カタヒバの背葉には細鋸歯がある。
カタヒバ、背葉と腹葉(ピンボケですみません)



今回見られたトキワシダの中には葉身・葉柄を含め40cm程度あり、1株から10枚以上の葉をつけた立派な個体も数株見られました。
トキワシダ
トキワシダ(上右)同行の猪早氏が撮影されました。



シシラン シシラン
岸壁に生育するシシラン(上左)
シシラン(上右)



イワトラノオ 
イワトラノオ(上左)



樹木に覆われた薄暗い渓谷で
林内を流れる渓谷沿いではまだ緑は少なく、しおれかけたミヤマイタチシダがかろうじて葉を残していました。常緑のもので目を引くのはカンスゲやミヤマカンスゲ(今回この2種の見分け方を教わりました)くらいでした。
まだ夏緑性のシダはほとんど顔を出していませんでしたが、フクロシダ・ヘビノネコザおよびシケシダの仲間がわずかに新芽を伸ばしていました。
ミヤマイタチシダ、新芽が伸びだすころにはしおれる ヘビノネコザ、コケの仲間とともに岩場に生育
ミヤマイタチシダ(上左)
ヘビノネコザ(上右)



カンスゲ カンスゲ、花

カンスゲ、葉の表面2013年4月4日相模湖 カンスゲ、葉の辺縁の刺2013年4月4日相模湖
カンスゲ(上上左)
カンスゲの花カンスゲ(上上右)
葉の表面、2013,4,4相模湖(上左)
カンスゲ、葉の辺縁の刺、2013,4,4相模湖(上右)



ミヤマカンスゲ ミヤマカンスゲ、葉の表面
ミヤマカンスゲ(上左)
ミヤマカンスゲ、葉の表面(上右)
ミヤマカンスゲの花(下)
ミヤマカンスゲ、花



イノデの仲間について
イノデの仲間については、養沢神社付近では以下のイノデが見られました。胞子のう群が耳垂に集中して複数付いている点・葉柄基部鱗片のようすからミツイシイノデの可能性も考えられましたが、葉が古く傷んでいて確定できませんのでサイゴクイノデとしておきます。
サイゴクイノデ、葉は艶がなく白緑色 サイゴクイノデ、葉柄基部鱗片は栗色で辺縁は淡くなる
サイゴクイノデ(上左)
サイゴクイノデの葉柄基部鱗片(上右)



そこから標高を上げていくと、イノデモドキ・ツヤナシイノデのみが見られました。
ツヤナシイノデ ツヤナシイノデ、中軸の鱗片
ツヤナシイノデ(上左)
ツヤナシイノデ、中軸の鱗片(上右)



渓谷沿いの小さな草花
川の中や川のそばの苔むした岩には苔とともにカラクサシダが生育していました。生育しているコケと大きさがあまり変わらないのでよく観察しないと見過ごしてしまいます。注意深く探すと見つかります。また、ヨゴレネコノメソウやハナネコノメソウ・コチャルメルソウが咲いていました。
カラクサシダ、渓流の苔むした転石・岩壁面に生育 カラクサシダ
カラクサシダ(上左)
カラクサシダ、胞子のう群(上右)



コチャルメルソウ コチャルメルソウの花
コチャルメルソウ(上左)
コチャルメソウの花(上右)



ヨゴレネコノメソウ ヨゴレネコノメソウ
ヨゴレネコノメソウ
ヨゴレネコノメソウの花



ハナネコノメソウ ハナネコノメソウの花
ハナネコノメソウ
ハナネコノメソウの花



コケシノブの仲間
コケシノブの仲間はコウヤコケシノブ・ホソバコケシノブ・ウチワゴケなどが切り立った岩壁面や川原の転石にコケ類とともによく見られました。
ウチワゴケ コウヤコケシノブ
ウチワゴケ(上左)
コウヤコケシノブ(上右)
ホソバコケシノブ(下左)
ホソバコケシノブ、胞子のう群(下右)
ホソバコケシノブ ホソバコケシノブ、胞子のう群



石灰岩の転石
側面の山から渓谷に崩れ落ちたと思われる巨大な石灰岩の転石(直径5~6m)にはクモノスシダ、ヒラオヤブソテツ、ツルデンダが着生していました。崩れてきたと思われる山の岩壁面にはやはりヒラオヤブソテツ、ツルデンダが大きな群落を形成していました。ツルデンダは15~20cm程度あり、それが放射状に葉を広げているので遠くからでも目につきました。
ヒラオヤブソテツ クモノスシダ
ヒラオヤブソテツ(テリハヤマヤブソテツ)(上左)
クモノスシダ(上右)



ツルデンダとヒラオヤブソテツ(右) ツルデンダ、羽片
ツルデンダ(上左)
ツルデンダ、羽片(上右)



Spring ephemeral春の妖精
早春の花としては、タチツボスミレ・エザンスミレ・ヒトリシズカ・ヤマルリソウ・ミヤマキケマン・アズマイチゲなどが色どりをそえてくれていました。ニリンソウはまだ葉っぱだけでした。可憐なはなとは言えませんが、ハシリドコロもエンジ色の花を咲かせていました。
エイザンスミレ アズマイチゲ
エイザンスミレ(上左)
アズマイチゲ(上右)
ミヤマキケマン(下左)
ヤマルリソウ(下右)可愛いので前回に引き続き登場しました。
ミヤマキケマン シシラン



ハシリドコロ ハシリドコロの花
ハシリドコロ



コケの仲間
コケの仲間もいろいろ見られました。コケの仲間は難しいですがいつも同行の方に名前を教えてもらえるのでありがたいです。画像を紹介することで私自身も覚えることができます。
ホソバオキナゴケ ホソバオキナゴケ
ホソバオキナゴケ、
スギの幹の下部に普通に見られる。遠目には白緑色に見える。



キヨスミイトゴケ
キヨスミイトゴケ
日陰でウエットな渓谷でよく見られる。木の枝などに着生し、生長すると長く垂れ下がる。



タマゴケ タマゴケの胞子のう群
タマゴケ
渓谷ではピンクッションのようにふくらんで生育しているものを多くみました。



オオカサゴケ
オオカサゴケ
スギ林のウエットな林縁などでときどき見られる。



胞子体を伸ばしている雌株と生殖器官をつける雄株が見られる。 雄株の生殖器官
ツボゴケ



オタルヤバネゴケ オタルヤバネゴケ
オタルヤバネゴケ
2種類の葉の形が見られます。腐りかけた倒木上をムカデのように這っている。(ピンボケですみません。次回はきれいに撮影したいと思います)



イタチシダの仲間
イタチシダの仲間については、養沢では圧倒的にヤマイタチシダが多く、渓谷に沿って登っていくに従い、イヌイワイタチシダがときどき見られるようになり、しだいにイワイタチシダの数が多くなりました。イワイタチシダの大きな株(葉の大きさ40~45cm)では葉柄を触ると鱗片が手に刺さるくらいの感覚でした。オオイタチシダの仲間はツヤナシオオイタチシダとアツバオオイタチシダがわずかに見られた程度でした。リョウトウイタチシダは1株確認しました。
イワイタチシダ イワイタチシダ
イワイタチシダ
イワイタチシダ、中軸の鱗片



リョウトウイタチシダ リョウトウイタチシダ、葉柄鱗片
リョウトウイタチシダ(上左)
リョウトウイタチシダ、葉柄鱗片(上右)
リョウトウイタチシダ、葉身下部(下左)
リョウトウイタチシダ、葉身上部(下右)
リョウトウイタチシダ、葉身下部 リョウトウイタチシダ、葉身上部



おしまいに
今回は養夏緑性のシダ葉ほとんどまだ顔を見せていませんでしたが、その分、常緑性のシダが観察しやすかったです。歩いてみたい谷はたくさんあり、何度入っても新しい発見がありそうなところでした。またゆっくり歩いてみたいと思います。



今回の観察会で見られたシダ
○カタヒバ・イヌカタヒバ
○スギナ・トクサ
○ゼンマイ
○カニクサ
○コウヤコケシノブ・ホソバコケシノブ・ウチワゴケ
○イヌシダ、フモトシダ、
○イワヒメワラビ
○ワラビ
○シノブ
○クジャクシダ
○タチシノブ、
○イワガネゼンマイ
○イノモトソウ・オオバイノモトソウ・セフリイノモトソウ
○コバノヒノキシダ・トラノオシダ・イワトラノオ・トキワシダ 
○テリハヤブソテツ・ヤブソテツ・ヤマヤブソテツ・ヒラオヤブソテツ(テリハヤマヤブソテツ)
○ジュウモンジシダ・ツルデンダ・イノデ、イノデモドキ、ミツイシイノデ・ツヤナシイノデ
○リョウメンシダ・ナンゴクナライシ
○オクマワラビ・クマワラビ・アイノコクマワラビ・ヤマイタチシダ・アツバオオイタチ・ツヤナシオオイタチシダ・ベニシダ・トウゴクシダ・オオベニシダ・ミヤマイタチシダ・イヌイワイタチシダ・イワイタチシダ・リョウトウイタチシダ
○ゲジゲジシダ、ホシダ、
○フクロシダ
○イヌワラビ・ヘビノネコ
○カラクサシダ
○ノキシノブ・ヒメノキシノブ・マメヅタ・シシラン