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オオバノハチジョウシダ

平成25年4月27日(土) 高尾山ー相模湖方面  観察会レポート

高尾駅から小仏行きのバスに乗り、日影で下車して歩き始めました。高尾山には色々な登山コースがあって、それぞれ魅力的なコースです。まだ歩いていないところがたくさんあるので、これから少しずつ歩いてみたいと思っています。今回は日影から小仏峠、相模湖のコースを歩きました。春先ですので色々な植物が芽吹いていました。同行の方々に色々な草花の名前や特徴を伺いながら1日楽しく歩きました。観察されたシダを紹介します。


クラマゴケ
どこでも見られるというわけではありませんでしたが、意外と乾燥気味のスギ林林床に群生していました。
クラマゴケ クラマゴケ
クラマゴケ


オウレンシダ
林道の水飲み場の石垣に小さな株が生育。
オウレンシダ オウレンシダ、新芽。
オウレンシダ(左上)
オウレンシダ、新芽(右上)


オンガタイノデ(サイゴクイノデ×ツヤナシイノデ)
サイゴクイノデおよびツヤナシイノデがよく見られました。両種が混生するところでは両種の雑種とされるオンガタイノデがときどき見られました。オンガタイノデは普通サイズの株もありますが、一般的に雑種は大きな株になることがあります。オンガタイノデにもこの特徴がよく表れていて、イノデ類の生育している群生地では少し大きな個体があるとまず雑種ではないかと疑って見る必要があると思います。ひときわ大きく容易に見つけることができます。このオンガタイノデも、少し標高が上がりツヤナシイノデが優勢になるとあまり見られなくなりました。
ここではオンガタイノデの両親であるサイゴクイノデとツヤナシイノデと共に紹介します。
サイゴクイノデ オンガタイノデ ツヤナシイノデ 
左からサイゴクイノデ、オンガタイノデ、ツヤナシイノデ


葉の大きさの比較 葉の裏側
3種の葉の大きさの違い。下からサイゴクイノデ、オンガタイノデ、ツヤナシイノデ


サイゴクイノデ オンガタイノデ ツヤナシイノデ 
左からサイゴクイノデ、オンガタイノデ、ツヤナシイノデの胞子のう群


サイゴクイノデ オンガタイノデ ツヤナシイノデ
左からサイゴクイノデ、オンガタイノデ、ツヤナシイノデの下部羽片の胞子のう群


サイゴクイノデ オンガタイノデ ツヤナシイノデ
左からサイゴクイノデ、オンガタイノデ、ツヤナシイノデの中軸の鱗片のようす。


サイゴクイノデ オンガタイノデ ツヤナシイノデ
左からサイゴクイノデ、オンガタイノデ、ツヤナシイノデの葉柄の鱗片のようす。


サイゴクイノデ オンガタイノデ ツヤナシイノデ
左からサイゴクイノデ、オンガタイノデ、ツヤナシイノデの葉柄基部の鱗片のようす。


オニイノデ
岩場あるいは岩が露出するような崖に生育していました。葉の厚さや硬さで容易に他のイノデ類と区別がつきます。
オニイノデ オニイノデ、明褐色の鱗片。
オニイノデ(左上)
オニイノデ、葉柄鱗片(右上)


エビラシダ
尾根に近い落葉広葉樹を中心とした斜面(北面)にエビラシダが生育していました。狭い範囲にまとまって生えるというよりも広範囲のにわたり林床にポツポツ生育するといった感じでした。今まで岩場や急斜面に生育しているものをかけていたので林床にも生育するということがわかりました。
エビラシダ エビラシダ
エビラシダ


オオバノハチジョウシダ
このあたりに詳しい方に案内いていただきましたが、ひとつの沢ではオオバノハチジョウシダがたいへん大きな群落をつくっていました。神奈川県を中心に歩いている私にとっては太平洋岸に近い側で見るシダであったので高尾の森でこんなに大きな群落が見られたのは驚きでした。でも、ひとつの沢だけなので、ちょっと通り過ぎてしまうともう出会えなかったかと思うと不思議な感じがします。
オオバノハチジョウシダの群生。
オオバノハチジョウシダの群生(上)
オオバノハチジョウシダ(左下)
オオバノハチジョウシダ、新芽。(右下)
オオバノハチジョウシダ、展開したての葉。 オオバノハチジョウシダ、新芽。


新芽
沢沿いでは夏緑性のシダの仲間が新芽を伸ばしていました。シケシダの仲間、イヌワラビの仲間、シケチシダ、オオヒメワラビはひときわたくましい新芽を伸ばしていました。
ハクモウイノデ、谷沿いで。
ハクモウイノデ

シケチシダ、谷沿いで。
シケチシダ

オオヒメワラビ、ウエットな渓谷沿いで。 オオヒメワラビ、羽片基部。
オオヒメワラビ

クサソテツ、日当たりの良い谷沿いで。
クサソテツ

ハシゴシダ、尾根筋の山道脇で。
ハシゴシダ


ムクゲシケシダ
スギやサワラが生育する林道脇の平坦な林内の林床にムクゲシケシダが新芽を伸ばしていました。葉を叢生しますが、あたり一帯の群生していますが、株と株のあいだは数10cm~1m程度離れて生育しています。ムクゲシケシダは葉を展開したばかりの頃は葉柄・中軸に密生する白い鱗片や毛が目立ちます。葉の色や形はセイタカシケシダと似ていますがをが葉柄・中軸には白い毛状の鱗片や毛を密につけます。ただし、セイタカシケシダにも白い鱗片・毛が多いものと少ないものが見られます。この季節まだ胞子葉は出ていないので胞子のう群は撮影できませんでした。
ムクゲシケシダ。
ムクゲシケシダ(上)
ムクゲシケシダ(左下)
ムクゲシケシダ(右下)
ムクゲシケシダ、中軸の鱗片。 ムクゲシケシダ、葉柄の鱗片。

チャボイノデ
チャボイノデは渓谷沿いの林内の薄暗いウエットな林床に群生していました。外見はイノデモドキに似ていますが一般にそれよりも細身で先端もより長く尾状に伸びます。生育場所はよりウエットなところ。イノデモドキも生育環境によっては葉柄が短く非常に細身な個体(私の経験では山地上部や乾燥気味のところに生育する個体)になる場合もありますがそんな場合は鱗片のようすや鱗片の鋸歯の有無で区別するようにしています。チャボイノデの鱗片は葉を裏返すと葉柄だけでなく中軸にも鋸歯の少ない少し巻気味の鱗片をイノデのように密につけているので外見が似ていてもイノデモドキと異なることがわかります。
チャボイノデ チャボイノデ
チャボイノデ


チャボイノデ中軸上部 チャボイノデ中軸中部

チャボイノデ中軸下部 チャボイノデ葉柄
チャボイノデ中軸上部(左上上)
チャボイノデ中軸中部(右上上)
チャボイノデ中軸下部(左上)
チャボイノデ葉柄(右上)
チャボイノデ葉柄基部(左下)
チャボイノデ胞子のう群(右下)
チャボイノデ葉柄基部 チャボイノデ胞子のう群


ヤブソテツ類の見本園のような岩壁
林道沿いの岩壁でヤブソテツの仲間がまとまって生育しているところがありました。岩壁の前後も含めるとテリハヤブソテツ、ヤマヤブソテツ、ナガバヤブソテツ、ミヤコヤブソテツ、ヒラオヤブソテツ(テリハヤマヤブソテツ)などを比較して観察することができました。
複数のヤブソテツ類が生育する岩壁。


ヒラオヤブソテツ(テリハヤマヤブソテツ)、葉は厚く光沢がある。 ヒラオヤブソテツ、羽片には耳垂はあるが羽片の辺縁には鋸歯がないものと発達するものがある。
ヒラオヤブソテツ(左上)
ヒラオヤブソテツ、羽片(右上)
ナガバヤブソテツ(左下)
ナガバヤブソテツ、展開したばかりの羽片には微毛がある。(右下)
ナガバヤブソテツ、葉は厚く光沢がある。 ナガバヤブソテツ、新芽には白色微毛が生える。


林道脇の乾燥気味の岩場にはイワデンダが群生していました。またヒメウツギが咲いていました。ウツギの仲間が数種類見られ、ヒメウツギ・マルバウツギ・ウツギ・バイカウツギです。それぞれ開花時期がずれています。バイカウツギは園芸種に比べ花はずっと小さいです。
ヒメウツギ、岩壁を好む。 イワデンダ
ヒメウツギ(左上)
イワデンダ(右上)


カンアオイの仲間
カンアオイの仲間を紹介します。高尾山側の山で見られました。
フタバアオイ フタバアオイ
フタバアオイ(左上)
フタバアオイ、花(右上)


今回のコース(高尾ー小仏峠ー相模湖)は、道々の植物をゆっくり観察するには少し長い行程になってしまいました。参加された方々には道を急がせてしまったようでもう少し短いコースにしておけばゆっくり観察できてよかったと後で反省いたしました。
相模湖側では山道沿いのシダをわずかに観察しただけでしたので、またいつか機会を見つけて観察会を行いたいと思います。