Top / 観察会レポート / 平成26年11月3日(月)田浦-森戸川周辺
市街地に隣接する森の林縁で
ヒトツバ
田浦駅近くの林縁に群生。付近は背の高い草本が生育し、半分草に隠れるようにして生育。教えていただいた方の話では人為的に繁殖したものではないかとのことでした。
ヒトツバ(上左)
ヒトツバ、胞子のう群(上右)
スギ林内ウエットな谷で
シケチシダ
スギ林に囲まれた緩やかな谷では全面リョウメンシダに覆われていることがあるが、谷の周辺部でリョウメンシダがやや疎になったところではシケチシダやシケシダの仲間などが見られました。
シケチシダ(上左)
シケチシダ、羽片(上右)
シケチシダ、胞子のう群(上左、上右)
ナチシケシダ
ナチシケシダ(上左)
ナチシケシダ、羽片(上左)
ナチシケシダ、包膜(上左、上右)
オリヅルシダ
ウエットな谷部でオリヅルシダが見られました。匍匐枝の先には無性芽をつけていました。
オリヅルシダ(上左)
オリヅルシダ、無性芽(上右)
オリヅルシダ、胞子のう群
ギフイヌイワガネソウ(ウラゲイワガネ×イワガネソウ)
ギフイヌイワガネソウはウラゲイワガネとイワガネソウの雑種と推定されます。まわりはスギ林で夏緑広葉樹や常緑広葉樹などが混生するウエットで薄暗い渓谷沿いに生育。
- 外観はイワガネゼンマイ似で、葉の辺縁が不規則なのこぎり状を呈していて目立つ。
- ウラゲイワガネの特徴が現れているのは葉の裏側には毛が多い、葉脈は多少乱れるが平行的で葉脈の先端は辺縁まで達する。
- イワガネソウの特徴が現れているところは葉脈がところどころで接合している。
- 葉が厚い。
- 胞子のう群は葉脈に沿って狭くつく。
- 胞子のう群の長さは不規則に変化するがイワガネソウとウラゲイワガネの中間的。
箱根で観察されたギフイヌイワガネソウの個体では羽片の辺縁の乱れはわずかでほとんど目立ちませんでした。
ギフイヌイワガネソウ:(上左)同行の方が撮影
ギフイヌイワガネソウ、羽片(上右)
ギフイヌイワガネソウ、羽片の脈(上左、上右)
ギフイヌイワガネソウ、羽片の脈:同行の方が撮影(上左、上右)
ギフイヌイワガネソウ、裏面の毛:同行の方が撮影(上左)
ギフイヌイワガネソウ、葉先(上右)
乾燥気味の山地上部の林の中で
フモトカグマ
観察された場所は山の上部であまりウエットではない林内。2か所で観察された。どちらの小さな群落3~5株程度がまとまって生育していました。
森戸川源流部谷沿いの崖で
イワトラノオ
イワトラノオはウエットな崖から乾燥気味の崖まで見られました。乾燥気味の崖では葉の大きさは5~8㎝と小さい。葉の質は薄く黄緑色~鮮緑色。裂片の先は鈍頭。
イワトラノオ(上左、上右)
イワトラノオ、葉身
ミタケトラノオ(イワトラノオ×コバノヒノキシダ)
イワトラノオとコバノヒノキシダの雑種と推定されます。観察されたことろでは切り立った泥岩露頭一面に丈の短いイワトラノオ(葉の長さ4~6㎝)が群生する中、背の高いミタケトラノオ(10~12㎝)が数株突出するように生育していました。
ミタケトラノオ(上左)
ミタケトラノオ、胞子葉の中軸(上右)
ミタケトラノオ、羽片
ミタケトラノオ、胞子のう群
・泥岩の露頭ではそのほかマメヅタ、アオホラゴケ、ウチワゴケ、ハコネシダが生育していました。
アオホラゴケ
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アオホラゴケ、胞子のう群(上左)
アオホラゴケ、偽脈(上右)
稜線沿いの明るいブッシュで
フユノハナワラビ
フユノハナワラビは陽当たりの好い稜線部の草地、それに対し、オオハナワラビは森の中と両者はほぼ住み分けていました。
フユノハナワラビ(上左)
フユノハナワラビ、羽片(上右)
山で見られた草花や木
今回は行程が長く森戸川源流からの下りはゆっくりシダを観察することができませんでした。この森は取り付きに時間がかかるので次に計画するときはもう少し観察する範囲を限定してゆっくり観察できたらよいと思います。