Top / 観察会レポート / 平成29年10月7日~10日 / 屋久島第2回
2017年3月31日~4月2日の3日間に続き2017年10月7日~10月10日の4日間、屋久島を歩きました。2回ともひろちょん宅に泊めていただき色々なところを案内していただきました。
ここでは、観察されたシダをその生育地の環境・標高などで分けて紹介します。ただし、いろいろな環境にまたがって生育するシダも多く、また、たまたまそこで見かけただけのシダもあると思います。
目次
海岸の森・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15種
河口周辺渓谷状の森~農地を横切る谷の森・・・・・・・・・・25種
山麓の森・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33種
ヤクスギの森(下部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20種
ヤクスギの森(上部) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9種
山地上部の高層湿原(標高1500m付近) ・・・・・・・・・・・・4種
山頂付近 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7種
林縁・人家の周辺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12種
屋久島の美しい花・・・・・作成中
海岸の森や草はら
海岸の森1(照葉樹林内ウエットな岩場)
海に水が直接流れ落ちるような照葉樹林に覆われた海岸岩壁を流れ落ちる枯滝あるいは滝。山地上部ではないが矮小化したシダも見られる。
カミガモシダ、オリヅルシダ、コミゾシダ、コウザキシダ、アオホラゴケ、オオイワヒトデ、ナンゴクホウビシダ、ホソバカナワラビなどが生育。
カミガモシダ
枯滝沿いの岩壁。そばに水は流れていない。ヌリトラノオに似るがずっと小さく葉身の大きさは8~12㎝。葉身先端に無性芽をつける。葉柄は濃褐色。
(1)カミガモシダ
(2)カミガモシダ、胞子嚢群
コウザキシダ
枯滝沿いの岩壁。そばに水は流れていない。葉柄は短く2~4㎝。ヒノキシダに似た感じであるが3回羽状に分かれる。
(1)コウザキシダ
(2)コウザキシダ、胞子嚢群
オリヅルシダ
照葉樹の樹冠に覆われた枯滝沿いの岩上。
(1)オリヅルシダ
(2)オリヅルシダ、無性芽
ヤクシマミゾシダ(屋久島type)※
照葉樹の樹冠に覆われた枯滝沿いの岩上。ミゾシダをそのまま矮性化した形。下部の羽片以外は中軸に流れてつく。※屋久島type=矮小化した
(1)ヤクシマミゾシダ
(2)ヤクシマミゾシ胞子嚢群
海岸の森2(海岸の岩場や海岸林縁の乾燥したの岩場)
林床は乾燥気味で岩が露出していることが多い。
モトイタチシダ、ハマホラシノブ、オニヤブソテツ、ヒトツバ、コシダ、ウラジロ、ホソバカナワラビ、ヒメクラマゴケ、コシダ、ウラジロなどが生育。
オニヤブソテツ
海に突き出した岩上や岩陰に生育。風が強い日には海水の飛沫がかかるところ。
(1)オニヤブソテツ
(2)オニヤブソテツ、胞子嚢群
ハマホラシノブ
海岸の岩場や海岸沿いの石垣に生育。葉の大きさは20~30㎝。
(1)ハマホラシノブ
(2)ハマホラシノブ、葉の表面
モトイタチシダ
海岸照葉樹林内乾燥気味の岩壁や周辺に生育。胞子は60個以上確認でき有性生殖種。ヤマイタチシダに似るが辺縁の内曲は弱く光沢のあるものが多い。葉の形に葉変化が見られ、ヤマイタチシダかと思われた個体もあったが胞子数を数えると60個以上ありモトイタチシダであった。
(1)モトイタチシダ
(2)モトイタチシダ、胞子嚢群
海岸の森3(浜に続く平坦な海岸林)
クロマツやトベラ、シャリンバイなどが茂る森。全体に乾燥気味ではあるが、上部を樹冠に覆われた森。
ハチジョウベニシダ、ホソバカナワラビ、ヒトツバ、オオイワヒトデ、スジヒトツバ、オオカナワラビ、オニカナワラビ、ムニンオニヤブソテツなどが生育。
オオシマベニシダハチジョウベニシダ
オオシマベニシダはハチジョウベニシダとベニシダの雑種と推定される。海岸に続く常緑の海岸性の樹木やクロマツが生育するそれほどウエットではない林内に生育。特徴は葉が薄く、小羽片の先端はヘロヘロした感じで終わる(適切な表現ではないが)。有性生殖種と言われているが、胞子数は確認していない。(その後、胞子を観察すると胞子数は60個程度確認できるが、大きさは大小があり不揃い、形はいびつなものが多く雑種と確認された。2018年8月21日)
(1)オオシマベニシダハチジョウベニシダ
(2)オオシマベニシダハチジョウベニシダ、羽片
マルバホングウシダ
海岸林内道沿いの崖に生育。葉の大きさは20~30㎝。
(1)マルバホングウシダ
(2)マルバホングウシダ、胞子嚢群
ムニンオニヤブソテツ
海岸林内道沿いの崖に生育。葉の大きさは20~30㎝。
(1)ムニンオニヤブソテツ
(2)ムニンオニヤブソテツ、胞子嚢群
海岸の森4(海岸林内の湿地)
海岸林の奥には周辺からしみだす水で林内に湿地が形成されることがある。上部を樹冠に覆われた森には色々なシダが生育する。
ホソバカナワラビ、オオイワヒトデ、シンテンウラボシなどが生育。
ヤリノホクリハラン
明るい海岸林内の湿地を流れる小川のそばに生育。葉の大きさは40~50㎝。
(1)ヤリノホクリハラン
(2)ヤリノホクリハラン、胞子葉
オオバヤリノホラン
海岸林内に浸み出ている小川の周りの湿地に生育。葉の大きさは40~50㎝。近くにオオイワヒトデにそっくりであるが何やら怪しいのでここでは栄養葉としておきます。根茎がつながっているかどうかわかりません。中軸に対し左右非対称であったり、葉身の先が2又に分かれる個体が目につきざっすの可能性が高い。
(1)オオバヤリノホラン、胞子葉(上)、栄養葉(下)
(2)湿地に生育するオオバヤリノホラン
シンテンウラボシ
海岸林内に浸み出ている小川の周りの湿地に生育。葉の大きさは40~50㎝。
(1)シンテンウラボシ
(2)シンテンウラボシ、胞子嚢群
クルマシダ
海岸林内ウエットな森~山麓の森まで見られる。ウエットな岩場に生育。葉の大きさは30~50㎝。
クルマシダ
シマオオタニワタリ
海岸林内ウエットな森の岩場に生育。オオタニワタリは人家周辺の大木から山麓の森まで広く見られる。葉の大きさは80~100㎝。
シマオオタニワタリ
海岸の草はら 5
河口周辺渓谷状の森~農地を横切る谷の森
。屋久島では雨が豊富なためか、川の河口付近まで急激に深く浸食され川の両岸が急斜面になっているところがあります。川の両岸を川面まで照葉樹で覆われた非常にウエットな環境。林床にはわずかしか光が届かず樹木の幹には着生植物が茂る。
ハチジョウシダ
民家の周辺の浅い森~山麓の森に生育。葉の大きさは50~70㎝、葉は鮮緑色~暗緑色、葉の質は厚い。羽片は中軸に対してやや角度をなしてつき鎌曲せず、基部は広い楔形で有柄。裂片基部後側の小脈は羽軸から直接出る。
(1)ハチジョウシダ
(2)ハチジョウシダ、羽片の柄
コウシュンシダ
河口周辺渓谷状の森~山麓の森で見られる。浅い谷の水辺の斜面に生育。葉の大きさは40~50㎝。小羽片は円頭。包膜は辺縁より内側につく。付近にはウスバイシカグマも生育。
(1)コウシュンシダ
(2)コウシュンシダ、胞子嚢群
コシケシダ
河口周辺渓谷状の森~ヤクスギの森(下部)まで見られる。水辺のウエットな岩壁や崖などに生育。葉の大きさは8~12㎝。包膜の辺縁の形状は撮影できなかった。
(1)コシケシダ
(2)コシケシダ、胞子嚢群
オオイワヒトデ
海岸周辺の湿地~人家周辺の疎林内を流れる川沿い。
(1)オオイワヒトデ
(2)オオイワヒトデ、胞子嚢群
イヌタマシダ
海岸近くのウエットな崖~標高の低い山麓の崖まで見られる。岩壁から垂れ下がるように生育。羽片は下向きに鎌形に曲がる。
(1)イヌタマシダ
(2)イヌタマシダ、胞子葉
ヘッカシダ
標高の低いウエットな渓谷の水辺~山麓も森のウエットな崖まで見られる。2形性。
(1)ヘッカシダ
(2)ヘッカシダ、胞子葉
ヌリトラノオ
標高の低いウエットな渓谷~ヤクスギの森の下部まで見られる。ウエットな崖や樹幹に生育する。
(1)ヌリトラノオ
(2)ヌリトラノオ、無性芽
ナンゴクホウビシダ
標高の低いウエットな渓谷~ヤクスギの森の近くまで見られる。ウエットな崖に群生する。羽片先端は徐々に細くなり、胞子嚢群は辺縁寄りにつく。
(1)ナンゴクホウビシダ
(2)ナンゴクホウビシダ、胞子嚢群
ツルホラゴケ
標高の低いウエットな渓谷~山麓の森まで見られる。樹幹や岩壁を這い上がる。
ツルホラゴケ
ヒトツバイワヒトデ
渓谷沿いのウエットな林床に生育。付近には枝分かれや葉縁が鋸歯縁の個体は観察できなかった。
(1)ヒトツバイワヒトデ
(2)ヒトツバイワヒトデ、胞子葉
タカサゴキジノオ
標高の低いウエットな渓谷~ヤクスギの森(下部)まで見られる。下部羽片上側は翼を形成。先端は急に細くなるが小さな羽片をつけて徐々に細くなる。
(1)タカサゴキジノオ
(2)タカサゴキジノオ、下部羽片上側の翼
サンカクホングウシダ
渓谷沿いの崖や林床に生育。成長した株では羽片の先端を除いて小羽片は丸くなる。
(1)サンカクホングウシダ
(2)サンカクホングウシダ、胞子嚢群
キノボリシダ
渓谷沿いの林内に生育。木に這い上がることは無い。葉は厚く硬い。
(1)キノボリシダ
(2)キノボリシダ、胞子嚢群
オニホラゴケ
標高の低いウエットな渓谷~ヤクスギの森の近くまで見られる。林内の岩陰や薄暗い崖に生育。10~15㎝の半透明の葉を叢生する。
(1)オニホラゴケ
(2)オニホラゴケ、胞子嚢群
オオバシシラン
渓谷内の大木の切り株に着生。葉の幅は最大で1.5㎝程度。
(1)オオバシシラン
(2)オオバシシラン、胞子嚢群
アオガネシダ
標高の低いウエットな渓谷~山麓の森まで見られる。ウエットな渓谷内の樹幹にコケの仲間と共に着生。中軸の向軸側で溝状に凹む。
(1)アオガネシダ
(2)アオガネシダ、中軸の向軸側
ウスバクジャク
標高の低いウエットな渓谷~ヤクスギの森の近くまで見られる。ウエットな岩壁や流れのそばに生育。葉柄は艶のある黒褐色、葉の色は鮮緑色~白緑色で質は薄い。胞子嚢群は羽片の鋸歯の中につき、羽軸は羽片の外側に偏る。
(1)ウスバクジャク
(2)ウスバクジャク、胞子嚢群
コウモリシダ
河口付近まで渓谷で両岸が照葉樹に覆われた森。河口付近の川のそばの薄暗い林床に生育。側羽片は1ついで頂羽片は発達する。胞子嚢群は葉の裏側に規則正しくつく。
(1)コウモリシダ
(2)コウモリシダ、胞子嚢群
ヒロハノコギリシダ
標高の低いウエットな渓谷~山麓の森まで見られる。葉柄基部には赤褐色~黒褐色・披針形でややねじれ辺縁に刺をもつ鱗片を密につける。小羽片は浅く切れ込みが入る程度で2回羽状複葉。屋久島では葉身が披針形で下部の羽片だけ2回羽状であとは単羽状の個体も観察された。胞子嚢群は小羽片の中肋に接してつく。
(1)ヒロハノコギリシダ
(2)ヒロハノコギリシダ、胞子嚢群
コクモウクジャク
人家の周辺の谷の森に見られる。葉柄基部には黒色披針形・短い刺のある鱗片をつける。3回羽状中裂~3回羽状深裂。胞子嚢群は中間につく。シロヤマシダと似るが葉柄基部の鱗片の有無で区別できる。
(1)コクモウクジャク
(2)コクモウクジャク、胞子嚢群
ニセコクモウクジャク
標高の低い海岸周辺の森~人家の周辺の谷の森に見られる。葉柄基部には黒色披針形・短い刺のある鱗片をつける。コクモウクジャクと似ているが、やや羽片の切れ込みが浅く胞子嚢群は裂片辺縁寄りにつく。
(1)ニセコクモウクジャク
(2)ニセコクモウクジャク、胞子嚢群
ヘゴ
標高の低いウエットな渓谷~山麓の森に見られる。
(1ヘゴ
(2)ヘゴ、新芽
ヒカゲヘゴ
近くに人家がある山麓の谷の林縁に生育。植栽されたものか自生しているものかわからない。観察された株は直立した根茎を1mほど立ち上げていた。新芽を包む鱗片は明るい褐色。
(1)ヒカゲヘゴ
(2)ヒカゲヘゴ、新芽
クロヘゴ
標高の低いウエットな渓谷に生育。根茎を20㎝ほど立ち上げる。小羽片の葉脈はヒロハノコギリシダによく似ている。観察された株は胞子をつけていなかったため、また周りにヒロハノコギリシダも一緒に生育していたため間違えそうになった。胞子嚢群は円形で小羽片の中間につらしいが見ていない。
(1)根茎を立ち上げるクロヘゴ
(2)クロヘゴ、羽片の葉脈
チャボヘゴ
山麓の谷の急斜面に生育。直立する根茎は見当たらなかった。葉柄基部の鱗片は光沢のある明るい褐色・披針形でまっすぐ伸び密生する。葉の大きさは50㎝程度で2回羽状に分かれる。胞子嚢群は小羽片の中間につき、裂片の鋸歯はほとんど目立たない。
(1)崖から葉を垂下させるチャボヘゴ
(2)チャボヘゴ、葉柄基部の鱗片
山麓の森(照葉樹林の森)
屋久島は島の周辺の狭い農地が終わるところから、しばらくすると急に標高を上げるようになり標高500mくらいまでは照葉樹林の森が広がっている。下部にはスギの植林地も広がりその下には果樹園も広がる。
シロヤマゼンマイ
明るい川岸の崖や岩場に生育。常緑性。オニゼンマイのように葉身の中間に胞子葉をつける。
(1)シロヤマゼンマイ
(2)シロヤマゼンマイ、胞子嚢群
オニクラマゴケ
河口周辺渓谷状の森~ヤクスギの森(上部)まで見られる。水辺のウエットな岩壁や林床に生育。葉は10~30㎝這うようにして生育。葉には光沢があり胞子嚢穂は四角柱状。
(1)オニクラマゴケ
(2)オニクラマゴケ、胞子嚢群
ヒノキシダ
照葉樹林内の乾燥気味の岩壁の裏側に群生。
ヒノキシダ
リュウキュウコケシノブ
山麓の森~ヤクスギの森の下部まで。葉の大きさは3~4㎝。葉身全体がちじれた感じがする。裂片は棍棒上で基部よりも先が太い。包膜は2弁深く裂け辺縁は粗い鋸歯がある。
(1)リュウキュウコケシノブ
(2)リュウキュウコケシノブ、胞子嚢群
ミヤマノコギリシダ
山麓の森~ヤクスギの森の下部まで。山麓の谷沿いの森~山の斜面の乾燥気味の林床まで広く見られる。以下のミヤマノコギリシダの仲間の4種は屋久島では場所によっては混生していることがあり、分ける必要があるのかと悩まされる。
(1)ミヤマノコギリシダ
(2)ミヤマノコギリシダ、胞子嚢群
オオバミヤマノコギリシダ
やや標高の高いヤクスギの森の下部で見られる。ウエットな空気に包まれた照葉樹林内で見られる。葉の長さは80㎝近くに達する。
(1)オオバミヤマノコギリシダ
(2)オオバミヤマノコギリシダ、胞子嚢群
ホソバノコギリシダ
山麓の森~ヤクスギの森の下部まで見られる。山麓の谷沿いの森~山の斜面の乾燥気味の林床まで広く見られる。
(1)ホソバノコギリシダ
(2)ホソバノコギリシダ、胞子嚢群
ヒロハミヤマノコギリシダ
山麓の森~ヤクスギの森の下部まで見られる。上部を樹冠に覆われたウエットな森に生育する。
(1)ヒロハミヤマノコギリシダ
(2)ヒロハミヤマノコギリシダ、胞子嚢群
ヨゴレイタチシダ
標高の低い渓谷の森~山麓のややドライな森まで見られる。
(1)ヨゴレイタチシダ
(2)ヨゴレイタチシダ、新芽
ヒメタカノハウラボシ
山麓の森からヤクスギの森近くまで生育。渓谷の流れの中の転石上に群生する。サイゴクホングウシダと共に生育していることもある。葉の大きさは3~7㎝。胞子嚢群は中間につき、葉の表面では胞子嚢群の位置で膨らむ。
ヒメタカノハウラボシ
ヌカボシクリハラン
山麓の森からヤクスギの森近くまで生育。ウエットな空気に包まれた照葉樹林内の樹幹や岩上を這い上がる。葉の大きさは15~20㎝。葉身基部は翼となって終わるため葉柄はあるが葉身との境は区切り難い。胞子嚢群は葉の裏に点在する。
(1)ヌカボシクリハラン
(2)ヌカボシクリハラン、胞子嚢群
ナンカクラン
山麓の森からヤクスギの森近くまで生育。ウエットな空気に包まれた照葉樹林内の樹幹や岩上に着生する。
(1)落下していたナンカクラン
(2)ナンカクランの小葉
セイタカイワヒメワラビ
ウエットな渓谷内林床で観察。胞子嚢群をつけていませんでした。葉はイワヒメワラビにくらべ濃い緑色。中軸も褐色を帯びる。胞子嚢群はつけていませんでした。改めて胞子嚢群の付き方を調べてみたいと思います。
(1)ウエットな林内に生育するセイタカイワヒメワラビ
(2)セイタカイワヒメワラビ、羽片
シシラン
河口周辺渓谷の森~山麓の森に生育。樹幹や岩壁に着生。
シシラン
アツイタ
山麓の森からヤクスギの森近くまで生育。明るく切り立った滝のそばのウエットな岩壁や照葉樹の樹冠に覆われた林内の樹幹に着生。
(1)切り立った岩壁に着生するアツイタ
(2)樹幹に着生するアツイタ
アシガタシダ
山麓の森。林内の斜面の崖や山道沿いの土手に生育。葉柄は細く黒褐色。葉は五角形状で最下羽片下側第1小羽片は発達する。1~2回羽状に分かれる。胞子葉は観察することができなかった。
(1),(2)アシガタシダ
オオカグマ
コモチシダの仲間。葉は厚く硬い。葉は大きいものでは1mに達し線形で先端は急に細くなる。照葉樹林林床からやや乾燥気味の傾斜の急な林床や崖まで点在して生育。
(1)オオカグマ
(2)オオカグマ、胞子嚢群
ホソバオオカグマ
スギや照葉樹の樹冠に覆われた急斜面の崖や山道沿いの土手などに生育。コモチシダの仲間。葉は厚く硬い。葉の形は三角形状~手のひら状。観察した個体は小さく葉の大きさは葉柄を含め30~35㎝。新芽は紅色。
(1)ホソバオオカグマ
(2)ホソバオオカグマ、新芽
オオハシゴシダ
乾燥気味の傾斜の急な林床に点在して生育。観察した個体数は5株程度。葉の大きさは25~30㎝。葉柄基部には長い毛が密生する。
(1)オオハシゴシダ
(2)オオハシゴシダ、葉柄基部
ナガバノイタチシダ
標高の低い山麓のスギ林で観察。葉は50~60㎝。楕円形~楕円状三角形。成葉は暗い緑色で光沢は乏しい。
(1)ナガバノイタチシダ
(2)ナガバノイタチシダ、胞子嚢群
オオアマクサシダ
人家周辺の標高の低い森~山麓の森の周辺まで広く生育。
(1)オオアマクサシダ
(2)オオアマクサシダ、最下羽片
カワリバアマクサシダ
山麓、谷に落ちる急激な崖の上部、乾燥気味の急斜面に生育。
カワリバアマクサシダ
エダウチホングウシダ
人家周辺の標高の低い森~ヤクスギの森近くまで広く生育。葉の大きさは15~20㎝。小羽片は浅裂する。ヤクスギンの森の乾燥したところに生えるものはごく小さくなり外観はヒメホングウシダに似てくる。
(1)エダウチホングウシダ
(2)エダウチホングウシダ、胞子嚢群
ヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)ヒメホングウシダ
山麓の森。常緑樹の疎林内林床に生育。大きさは小さく7~12㎝(そのうち1/2~1/3は葉柄)。2回羽状に分かれエダウチホングウシダの小形化したものにも似るが、包膜は扇状に連続する。
(1)ヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)ヒメホングウシダ
(2)ヤクシマシンエダウチホングウシダ(仮称)ヒメホングウシダ、胞子嚢群
シノブホングウシダ
山麓の森の林縁。山道沿いの赤土の崖に生育。葉はやや大きく20~30㎝。エダウチホングウシダに似るが3回羽状に分かれ、葉が込み合って見える。
(1)シノブホングウシダ
(2)シノブホングウシダ、胞子嚢群
サイゴクホングウシダ
渓谷の流れのそばの大きな転石の水際に生育。胞子嚢群は一直線で途中で切れることは無い。
(1)サイゴクホングウシダ
(2)サイゴクホングウシダ、胞子葉
ウスバイシカグマ
渓谷のそばの大きな転石上に生育。
(1)ウスバイシカグマ
(2)ウスバイシカグマ、胞子嚢群
フササジラン
渓谷のそばの大きな転石上に生育。葉柄基部には黒褐色披針形の鱗片をつける。観察された葉の大きさは10~12㎝、葉の質は厚い。葉身下部は徐々に細くなり葉柄と葉身の区別はつかない。中肋は葉の下部で盛り上がる。胞子嚢群は中肋に対しておよそ60度程度の角度でつく。
(1)フササジラン
(2)フササジラン、胞子嚢群
キクシノブ
渓谷のそばの明るい岩壁の割れ目に生育。
(1)キクシノブ
(2)キクシノブ、胞子嚢群
タイワンアオネカズラ
渓谷のそばの明るい岩壁の割れ目に生育。葉の大きさは35~45㎝。根茎は白味が強い白緑色。アオネカズラを大きくした形で美しいシダ。
(1)タイワンアオネカズラ
(2)タイワンアオネカズラ、根茎
ヤクシマハチジョウシダ
標高200m付近の山麓の森、付近にはスギの植林地が広がる。葉柄下部には鱗片が宿存する。葉の大きさは45~55㎝、葉はやや厚みがあり艶の無い白緑色。葉柄に対して葉身は軸折れしない。羽片基部は広い楔形で羽片の幅は広く先のほうは曲がらない。裂片基部後側の小脈は羽軸から直接出る。
(1)ヤクシマハチジョウシダ
(2)ヤクシマハチジョウシダ、葉柄下部の鱗片
カワバタハチジョウシダ
標高400m付近からヤクスギの森(下部)にかけて見られた。外見で目を引くのは、胞子嚢群をつけた羽片では裂片の先が膨らんで見える。葉の大きさは30~35㎝、葉の色は白緑~黄緑色葉の質は薄い。葉柄に対して葉身は軸折れする。羽片は中軸に対して直角に出て先のほうは弓曲する。羽片は無柄で羽片基部裂片は中軸に被るようにつく。裂片基部後側の小脈は羽軸から直接出る部分と裂片中肋から出る部分が見られる。
(1)カワバタハチジョウシダ
(2)カワバタハチジョウシダ、羽片
ヤクスギの森(下部)
ヤクスギの森は標高500~山頂近くまで続く。ここではおよそ500~1000m前後で見られるシダを紹介します。
ホングウシダ
山麓の森~ヤクスギの森の下部まで。岩壁や苔むした樹幹に生育。葉の大きさは12~20㎝、淡緑色、披針形。葉身全体がちじれた感じがする。裂片は棍棒上で基部よりも先が太い。包膜は2弁深く裂け辺縁は粗い鋸歯がある。
(1)ホングウシダ
(2)ホングウシダ、胞子嚢群
コケホングウシダ
山麓の森~ヤクスギの森の下部まで。流れのそばや水が浸みている岩上などサイゴクホングウシダと同様な環境であるが標高はやや高いように思う。一見外観はサイゴクホングウシダに見えるが胞子嚢群は連続しない。胞子の形状は観察していない。
(1)コケホングウシダ
(2)コケホングウシダ、胞子嚢群
ヤクシマホウビシダ
薄暗い渓谷の水際の岩に群生。水しぶきがかかったり、水が滴ったりするような環境に生育。葉の質は薄く透けて見える。
(1)ヤクシマホウビシダ
(2)ヤクシマホウビシダ、胞子嚢群
タカサゴシダ
ヤクスギの森(下部)で観察。屋久島では標高1000m付近ではではよく目にするが標高70m以下のウエットな低地の森でも観察される。最下羽片下側第1小羽片はの形・長さには変化が多い。
(1)タカサゴシダ
(2)タカサゴシダ、胞子嚢群
キジノオシダ
標高400m付近からヤクスギの森(下部)にかけて見られた。関東南部で見られるものと同じ。
(1)キジノオシダ
(2)キジノオシダ、葉身下部
ヒモヅル
明るい林縁。林道の脇の崖に生育。長さは3m程度で遠くからも目に付く。這い上がっているのか、垂れ下がっているのか確認していない。
(1)ヒモヅル
(2)ヒモヅル、鱗片状の小葉
ユノミネシダ
やや明るいところ。渓谷沿いの岩場や林道沿い法面などに群生。
ユノミネシダ
ヘビノネゴザ(ヤクシマtype)
上部を樹冠に覆われた明るいがウエットな崖に幅5mにわたって密集して群生。ヘビノネゴザは多型なのでヘビノネコザの1つのtypeかもしれない。特徴は①葉は披針形で細長く葉の長さは25~40㎝、幅は4~6㎝、②羽片は葉身下部では間隔を空けてつけるが上部では密につける。③2回羽状で上部は単羽状となる。胞子嚢群は辺縁につく(上部の羽片は小さいので中間につくように見える)。密集して生育しているが金網がかかっているので根茎が独立しているか長く這っているかわからない。
(1)ヘビノネゴザ(ヤクシマtype)
(2)ヘビノネゴザ(ヤクシマtype)胞子嚢群
ホソバヤブソテツ
ヤクスギやハイノキなどの照葉樹が生育する渓谷。苔むした転石が積み重なったような岩の間に生育。
(1)ホソバヤブソテツ
(2)ホソバヤブソテツ、胞子嚢群
アミシダ
たくさん群生しているようすは見られなかったが沢沿いの岩の基部や乾燥気味の山道沿いにも小株が見られた。
(1)アミシダ
(2)アミシダ、葉の裏側
ホウライイヌワラビ
屋久島で観察されたいくつかの個体は、葉身の長さは15~25㎝で形は広卵形であった。葉の質は薄い。中軸の向軸側には刺が目立ち、羽軸は葉面の表側で盛り上がる。小羽片は円頭で辺縁の鋸歯は目立つ。葉柄基部の鱗片が黒褐色。
(1)ホウライイヌワラビ
(2)ホウライイヌワラビ、羽軸
ナンゴクシケチシダ
中軸・羽軸裏側には毛が密生する。小羽片の先端は円頭。胞子嚢群は中間につく。包膜はない。観察された個体は葉柄を含め葉の大きさは35~45㎝。樹木に覆われたウエットな渓谷の岩が露出する斜面に生育。
(1)ナンゴクシケチシダ
(2)ナンゴクシケチシダ、胞子嚢群
フイリヘラシダ
7~10㎝程度に小さなヘラシダ。中肋に沿って淡黄色の斑が入る。狭い範囲に10株程度まとまって生育。
(1),(2)フイリヘラシダ
アイウスバクジャク(仮称)
ウスバクジャクの雑種ではないかと思われる。付近にはウスバクジャク、ナンゴクホウビシダ、ヤクシマホウビシダなどが生育する。ウスバクジャクに似るが、ウスバクジャクよりも全体的に硬く、葉の色が濃く、葉の質も厚い。羽片は不規則に切れ込み先端はやや細長く伸びる。
(1)アイウスバクジャク(仮称)
(2)アイウスバクジャク(仮称)羽片裏側
オニコケシノブ
コケシノブやホラゴケの仲間は多いがオニコケシノブはひときわ大きいのでよく目立つ。葉柄基部からはっきりとした翼がある。
(1)オニコケシノブ
(2)オニコケシノブ、胞子嚢群
タイワンヒメワラビ
山地上部なので水はそれほど多くないが上部をヤクスギや照葉樹の樹冠に覆われているためウエットで薄暗い苔むした転石の谷に生育。
(1)タイワンヒメワラビ
(2)タイワンヒメワラビ、胞子嚢群
コモチイノデ
標高はある程度高い湿潤な空気に包まれた緩やかな渓谷に生育。
(1)コモチイノデ
(2)コモチイノデ、無性芽
ヤクシマトゲカラクサイヌワラビ(仮称)
標高はある程度高い湿潤な空気に包まれた緩やかな渓谷沿いの苔むした転石の間に生育。
(1)ヤクシマトゲカラクサイヌワラビ(仮称)
(2)ヤクシマトゲカラクサイヌワラビ(仮称)、小羽軸上の刺
クロミノイタチシダ
ヤクスギやハイノキなどの照葉樹が生育する渓谷。渓谷の流れの近くの苔むした大きな岩や転石の岩上や岩壁に生育。最下羽片下側第1小羽片は発達し、上部の羽片は急に短くなり葉の形は五角形状になる。
(1)クロミノイタチシダ
(2)クロミノイタチシダ、包膜
ヌカイタチシダ
山麓の森の上部~ヤクスギの森(下部)で見られる
葉柄下部には黒褐色披針形の鱗片をつける。側羽片は中軸に対して直角につき、柄はほとんどない。胞子嚢群は下部羽片を中心につき葉身上部にはつかない。包膜を持たない。
(1)ヌカイタチシダ
(2)ヌカイタチシダ、胞子嚢群
ヌカイタチシダモドキ
ヤクスギの森下部~上部で見られる。葉柄下部の鱗片は披針形・黒褐色・全縁。葉の大きさは45~55㎝。側羽片は中軸に対して直角につき、最下羽片は直角よりも更に広くやや下向きにつくことがある。側羽片はほぼ対生し、羽片の柄はほとんどない。ヌカイタチシダと異なり胞子嚢群は上からつき、包膜あり。
(1)ヌカイタチシダモドキ
(2)ヌカイタチシダモドキ、中軸
ムラサキベニシダ
500~1000mの森で見られる。同じような環境にホコザキベニシダも見られる。
(1)ムラサキベニシダ
(2)ムラサキベニシダ、胞子嚢群
ホコザキベニシダ新
500~1000mの森で見られる。葉の色は黄緑色、やや小型のベニシダの仲間。有性生殖種と言われているが胞子数を確認していない。葉身上部は急に短くなって鉾形になる。最下羽片下側第1小羽片は第2小羽片の半分程度。
(1)ホコザキベニシダ
(2)ホコザキベニシダ、胞子嚢群
ヤクスギの森(上部)
屋久島の中央部、1000m以上の森。ところどころに大きなヤクスギが見られます。そのほかハイノキ、アセビ。落葉性のヒメシャラ、ナナカマドなども見られます。
キヨスミコケシノブ
岩壁や照葉樹の幹よりもヤクスギの樹幹を好み、群生して着生する。コウヤコケシノブのように中軸上に毛が生えるが、裂片には鋸歯は無く全縁。
(1)キヨスミコケシノブ
(2)キヨスミコケシノブ、中軸・羽軸の背軸側は有毛
タイワンハリガネワラビ
ヤクスギの森下部~上部で見られる。外観はヤワラシダの幼株に見える。葉の大きさは10~15㎝。胞子嚢群は辺縁寄りにつけ包膜には目立つ毛が生える。
(1)タイワンハリガネワラビ
(2)タイワンハリガネワラビ、胞子嚢群
オオキジノオ(屋久島type)
ヤクスギの森下部~上部で見られる。葉の大きさは15~25㎝。葉の表面は光沢があり、側羽片は全縁で先端だけに鋸歯がある。
(1),(2)オオキジノオ(屋久島type)
ヤクシマキジノオ
ヤクスギの森下部~上部で見られる。小形で葉の大きさは10~15㎝。下部の羽片は上側(前側)で中軸に合着し、中間~上部では羽片の上下で中軸に広く合着し翼を形成する。先端の頂羽片には切れ込みが入るが切れ込みの深いものはタカサゴキジノオ状となる。側羽片は紡錘形で辺縁の鋸歯が目立つ。
(1),(2)ヤクシマキジノオ
トウゴクシダ
ヤクスギの森下部~上部で見られる。葉の大きさは40~60㎝、光沢の乏しい緑色。最下羽片下側(後側)第1小羽片は短縮する個体も見られるが、あまり短縮せず第2小羽片と同じあるいはやや長い場合もある。葉身下部の側羽片以外はやや斜め上向きに羽片をつける。胞子嚢群は下部の羽片にはつかないことが多い。ヤクスギの森では葉身のサイズが幅にくらべ長さが短い個体が多く、慣れるまではトウゴクシダとわからなかった。
(1)トウゴクシダ
(2)トウゴクシダ、胞子嚢群
コスギイタチシダ
600~1500mの森で観察。葉は卵状三角形。ナガバノイタチシダに似るが葉の表面にはミヤマイタチシダのような光沢がある。葉柄には卵形~披針形・淡褐色~黒褐色の鱗片をつける。
(1)コスギイタチシダ
(2)コスギイタチシダ、葉柄基部の鱗片
オオクボシダ
ヤクスギの森下部~上部で見られる。このあたりの標高では苔むした大木の幹にはやや普通に見られる。長い個体は10㎝以上伸びることがある。
(1)オオクボシダ
(2)オオクボシダ、胞子嚢群
ミヤマノキシノブ
ヤクスギの森下部~上部で見られる。苔むした大木の幹に生育。
(1)ミヤマノキシノブ
(2)ミヤマノキシノブ、胞子嚢群
山地上部の高層湿原周辺(標高1500m付近)
屋久島の中央部、1500m周辺には傾斜が緩やかなウエットな林や湿原が広がることがある。主な樹木はヤクスギ、ヤクシマシャクナゲで湿地はオオミズゴケに覆われている。屋久島特有の矮小化した被子植物も多く見られる。
サカバサトメシダ
ヤクスギの森(上部)や湿原など。ウエットな明るい林床や湿地の周辺に生育。葉の大きさは15~20㎝。2回羽状~3回羽状に分かれる。包膜の辺縁は和紙を裂いたようにほつれる。
(1)サカバサトメシダ
(2)サカバサトメシダ、胞子嚢群
サカバイヌワラビ
ヤクスギの森(上部)や湿原など。湿地の周辺のコケと共に生育。葉の大きさは3~8㎝。単羽状~2回羽状に分かれる。
(1)サカバイヌワラビ
(2)サカバイヌワラビ、胞子嚢群
シマイヌワラビ(屋久島type)
湿地の周辺の灌木の陰にコケと共に生育。葉の形は三角状卵形~広披針形。屋久島高地で見られるものはたいへん小さく長さ10~12㎝(葉身は5~8㎝)程度・幅3~5㎝程度。小羽軸上に顕著な刺がある。羽片基部の小羽片は内先に出る。
(1)シマイヌワラビ(屋久島type)
(2)シマイヌワラビ(屋久島type)、胞子嚢群
タカネヒカゲノカズラ
湿地の中、オオミズゴケと共には生えたり、山頂部の風衝地に生育。葉は日陰のかずらよりも短く硬い。
(1)タカネヒカゲノカズラ
(2)タカネヒカゲノカズラ(中央)とヒカゲノカズラ(左)
山頂付近
山頂付近の岩場や岩峰
屋久島は中央部の主な山は標高1500m以上あり、山頂には切り石を積み上げたような角の取れた風化した花崗岩がモニュメントのように存在します。主な樹木はヤクスギ、ヤクシマシャクナゲ、ユズリハ、ヤマグルマ、落葉性のヒメシャラ、ヤクシマミツバツツジなど。シダの仲間も矮性化したものが多く見られます。コスギラン、イヌシダ、ヒカゲノカズラ、タカネヒカゲノカズラ、シシガシラ(屋久島type)ヤクシマショリマ(オオバショリマの屋久島type)、シノブカグマ、ミヤマイタチシダ、マンネンスギ、ヒメコケシノブ、ホソバコケシノブ、オサシダなどが見られました。
シシガシラ(屋久島type)
ヤクスギの森(上部)~山頂岩峰。栄養葉の大きさは5~12㎝・胞子葉は10~15㎝。陽当たりのよい山道沿いで観察。一般にシシガシラは山頂付近では小さくなる傾向はあるがずっと小さい。なお林内には一般的な大きさ(20~25㎝)のシシガシラも観察される。
(1)シシガシラ(屋久島type)
(2)シシガシラ(屋久島type)、胞子嚢群
ミヤマイタチシダ
標高の高いところで観察。付近は風が強いためかヤクシマシャクナゲが灌木状になった林。葉の大きさは25~40㎝。葉の表面では葉脈に沿って窪み光沢がある。胞子をつけた葉は下部の羽片は間隔を空けてつける。葉柄の鱗片は茶褐色~濃茶褐色で卵形~広披針形。
(1)ミヤマイタチシダ
(2)ミヤマイタチシダ、葉柄の鱗片
ヤクシマショリマ(屋久島type)
オオバショリマを非常に小さくした形。葉の大きさは5~10㎝。山頂近く風の強そうな陽当たりのよい草原・灌木林に生育。
(1)ヤクシマショリマ
(2)ヤクシマショリマ、胞子嚢群
シノブカグマ
山頂近く、ヒサカキやヤクシマシャクナゲ、ヤマグルマなどが風が強いためか丈が低くなったような林床で見られた。葉の大きさは30~40㎝。葉柄基部の鱗片は褐色。
(1)シノブカグマ
(2)シノブカグマ、胞子嚢群
コスギラン
山頂の乾燥した岩上や岩壁に生育。葉の大きさは3~8㎝。
コスギラン
イヌシダ
山頂の岩陰に生育。葉の大きさは10~15㎝。屋久島では珍しいそうである。
(1),(2)イヌシダ
オサシダ
山地上部の林内の岩壁や山頂の岩峰に生育。葉の大きさは8~12㎝。
(1)オサシダ
(2)オサシダ、胞子葉
農地・人家の周辺
林縁・人家の周辺
神社の周辺や石垣・大木
果樹園、民家の周辺、石垣や道路沿い(標高20~150m)
定期的に草刈が行われる人家周辺の林縁や、陽当たりのよい土手や道沿い。神社など。街道沿いや神社の周辺にはアコウやガジュマルなどの大木が残っており着生性のシダが生育。
リュウキュウマメヅタ
マメヅタに似ているが葉身や葉柄が長い。人家周辺の谷~疎林内に生育。
リュウキュウマメヅタ
オオイブキシダ
林縁は明るい林内に普通に見られる。葉の大きさは100~150㎝。大きいものは2mに達する。胞子嚢群は辺縁寄りにつく。
(1)オオイブキシダ
(2)オオイブキシダ、葉身下部の耳状の葉
ミズスギ
林縁や明るい林内に普通に見られる。
(1)ミズスギ
(2)ミズスギ、胞子嚢穂
イヌホシダ
羽片の先端が短縮した形のホシダ。
(1)イヌホシダ
(2)イヌホシダ、胞子嚢群
ヒメクラマゴケ
海の近く~山麓。上部を照葉樹の樹冠に覆われた乾燥気味の岩上や土の崖などに生育。
(1),(2)ヒメクラマゴケ
イヌケホシダ
集落の石垣や道沿いの植え込みなど明るい環境に生育。
(1)イヌケホシダ
(2)イヌケホシダ、胞子嚢群
ホコシダ
昔からの集落にある石垣や人家周辺の明るい林縁。葉の大きさは20~40㎝。石垣に生育する個体は小さい。2形性。
(1)ホコシダ
(2)ホコシダ、胞子葉
ヒメムカデクラマゴケ
神社の周りのよく手入れされた土手などに群生。あまり暗いところには生育しない。葉を裏返してみると腹葉の前側に長い毛が生える。
(1)ヒメムカデクラマゴケ
(2)ヒメムカデクラマゴケ、裏側から見た腹葉
コヒロハハナヤスリ
神社や民家の周りなど定期的に除草される場所に群生。
(1)コヒロハハナヤスリ
リュウキュウイノモトソウ
神社の周りのよく手入れされた石段や石垣の間に生育。
(1)リュウキュウイノモトソウ
(2)リュウキュウイノモトソウ、胞子嚢群
ナチシダ
標高の低い、川沿いを走る林道沿いの林縁や明るい林内に生育。
ナチシダ
花
海岸の森
河口周辺渓谷状の森~農地を横切る谷の森
山麓の森
(1),(2)ウラシマソウ
渓流のそばに生育するサツマイナモリ
ヤクスギの森(下部)
(1),(2)ヤクシマアカシュスラン
(1),(2)シロシャクジョウ
ヤクスギの森(上部)
(1),(2)コバノフユイチゴ、ピンボケで写っているのはヒメカカラ。
山地上部の高層湿原(標高1500m付近)
モウセンゴケ、ヒメカカラ、小さなスミレ、
山頂付近
山頂の岩峰周辺はお花畑である。ヤクシマフウロ、シャクナンガンピ、ハナヤマツルリンドウ、ヤクシマリンドウ(今回観察できず)、ツクシゼリ、イッスンキンカ、ヒメコイワカガミ、マルバフユイチゴ、ヤクシマウメバチソウ、ヤクシマミツバツツジ、ハイヒカゲツツジ(今回観察できず)、ヤクシマシャクナゲ、など
山頂の岩上に生育するツクシゼリ
山頂の岩上に生育するヤクシマフウロ
林縁・人家の周辺
2月は民家の庭でヤクシマホウサイランが咲いていた。またタンカンの季節でもある。10月は島の周りではサキシマフヨウがいたるところで白や薄い桃色の美しい花を咲かせていた。いつもはハイビスカスが咲いているのであるが。