箱根 畑宿周辺を歩きました(3回目)観察したシダを紹介します。石畳の旧東海道・須雲川沿いを中心に歩きました。
イノデの仲間
サイゴクイノデ、イノデモドキ、イノデ、アイアスカイノデおよび雑種のハタジュクイノデ(アイアスカイノデ×イノデモドキ)、ドウリョウイノデ((アイアスカイノデ×イノデ)が見られました。
ハタジュクイノデ(耳垂に優先して胞子嚢群をつけないtype)
耳垂に優先して胞子嚢群をつけないハタジュクイノデ
アイアスカイノデとイノデモドキの雑種と推定される。畑宿で観察されたハタジュクイノデは葉身下部羽片耳垂に優先してつかないtypeで、耳垂に優先してつく相模湖周辺のハタジュクイノデと2typeあることがわかる。もともとイノデモドキが多形であるためその雑種に関しても注意して観察する必要がある。ドウリョウイノデ(アイアスカイノデ×イノデ)に似ているが、葉柄鱗片の鋸歯のようすで区別できる。
(1)ハタジュクイノデ、葉柄下部鱗片
(2)ハタジュクイノデ、葉柄基部鱗片
ドウリョウイノデ(アイアスカイノデ×イノデ)
アイアスカイノデとイノデの雑種と推定される。
スギ林内で観察。胞子嚢群は辺縁寄りにつき、葉柄下部の鱗片は2色で辺縁の鋸歯はほとんど目立たない。
(1)ドウリョウイノデ、羽片裏側
(2)ドウリョウイノデ、胞子嚢群
シケシダの仲間
シケシダ、ナチシケシダ、ホソバシケシダなどが見られました。
ホソバシケシダ
ホソバシケシダは、葉身の幅の狭いフモトシケシダと区別が難しい個体が見られる。今回観察された個体は栄養葉最下羽片はホソバシケシダにしてはやや大きい方であるが、胞子を観察するとフモトシケシダよりも胞子表面の突起が多くホソバシケシダでよいと考えられる。
(1)ホソバシケシダ、胞子上面
(2)ホソバシケシダ、胞子側面
(1)ホソバシケシダ、胞子上面
(2)ホソバシケシダ、胞子側面
ナチシケシダ
スギ植林地内、水が滴る大きな岩壁面に生育。葉の大きさは35~45㎝、葉の質はやや厚みがある。包膜の辺縁には鋭い鋸歯がある。胞子数は60個近く確認でき有性生殖種。
ハイホラゴケの仲間
ハイホラゴケ雑種か
スギ植林地内、北側斜面の切り立った岩壁、日陰であるがそれほどウエットではない。地表面~1mの高さに群生。葉の大きさは10~13㎝。胞子の形・大きさは乱れ、雑種と推定される。
(1)切り立った岩壁に群生するハイホラゴケの仲間
(2)葉身の先のほうに胞子嚢群をつけるハイホラゴケの仲間
渓谷沿いで
須雲川沿いの渓谷ではヤシャゼンマイを観察。10月に来た台風に影響で葉はほとんどちぎられ残った茎も枯れていました。水没しただけでなく濁流の中でダメージを受けたものと思われます。根茎は岩上にしっかり残っていたので次の春には新しい葉をつけてくれると思います。イブキシダも水際に生育していると思われたのですが、台風の影響でしょうか姿を確認することはできませんでした。
渓流沿いの岩場で流れの影響を受けない岩壁の上部では カタヒバ、イワヒバ、トウゲシバ(広葉type)などが見られました。
イワヒバとトウゲシバ(広葉type)
(1)イワヒバ
(2)トウゲシバ(広葉type)
箱根旧街道沿いで
イワガネゼンマイ、イワガネソウ、オオキジノオ、キジノオシダ、オオバノイノモトソウ、オオバノイノモトソウ(硬葉type)、キノクニベニシダ、シケチシダ、ハコネシケチシダ、ハイホラゴケ、ウチワゴケ、ヒカゲワラビ、キヨタキシダ、ミヤマノコギリシダ、ノキシノブ、ヒメノキシノブ、ミツデウラビシなどが見られました。
オオバノイノモトソウとオオバノイノモトソウ(硬葉type)
(1)オオバノイノモトソウ
(2)オオバノイノモトソウ(硬葉type)
シケチシダとハコネシケチシダ(小形type)
シケチシダはまだ鮮緑色ですがハコネシケチシダ(小形type)は黄ばみ始めシケチシダにくらべ早く枯れるようです。
(1)シケチシダ
(2)ハコネシケチシダ(小形type)
群生するキジノオシダとオオキジノオ
畑宿周辺では大きな群生地が見られます。
(1)キジノオシダの群落
(2)オオキジノオの群落
ヒカゲワラビとミヤマノコギリシダ
この季節、ヒカゲワラビはまだ美しい鮮緑色でした。箱根の個体は常緑性かもしれない。ミヤマノコギリシダは6年前は1株でしたが6株確認しました。
(1)ヒカゲワラビ
(2)ミヤマノコギリシダ