スギ林内泥岩の崖に群生するクリハラン。2017年12月24日 
田浦から畠山を経て葉山側まで歩きました。谷筋に沿ってスギが植林され渓谷では色々なシダを観察することができました。



アオホラゴケ属の仲間

アオホラゴケ
開けた渓谷の転石の側面に群生していました。葉の大きさは4~7㎝。

アオホラゴケ。2017年12月24日
アオホラゴケ

アオホラゴケ、根茎および葉柄。2017年12月24日
アオホラゴケ、根茎および葉柄

アオホラゴケ、葉身。2017年12月24日
アオホラゴケ、葉身

アオホラゴケ、偽脈。2017年12月24日 アオホラゴケ、偽脈。2017年12月24日
(1),(2)アオホラゴケ、偽脈

アオホラゴケ、胞子嚢群。2017年12月24日 アオホラゴケ、包膜。2017年12月24日
(1)アオホラゴケ、胞子嚢群
(2)アオホラゴケ、包膜




ハイホラゴケ属の仲間 訂正いたします。2018年3月5日

ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ

三浦半島、鎌倉、箱根など太平洋沿岸では雑種のハイホラゴケの仲間がよく観察されるが、今回観察した種は胞子の数・形状からミウラハイホラゴケオオハイホラゴケと考えられる。

観察会ではオオハイホラゴケといたしましたが、その後、シダの会の方からミウラハイホラゴケ(有性生殖種)であるとのご指摘を受け訂正いたします。ミウラハイホラゴケは最近発見された種でそのルーツは南方系のオオハイホラゴケと北方系のヒメハイホラゴケが関わってできた種とのこと。確かに八丈島で観察したオオハイホラゴケは根茎も太く、葉の長さは30~35㎝、幅は10~12㎝ありました。また山形・秋田で見たヒメハイホラゴケは10㎝程度と小さなシダでした。2018年3月5日

ミウラハイホラゴケ。2017年12月24日
ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ

泥砂岩の崖に群生するミウラハイホラゴケ。2017年12月24日 泥砂岩の崖に群生するミウラハイホラゴケ。2017年12月24日
(1),(2)泥砂岩の崖に群生するミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ

ミウラハイホラゴケ、葉身。2017年12月24日
ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ、葉身

ミウラハイホラゴケ、葉柄。2017年12月24日 ミウラハイホラゴケ、葉柄基部から翼がつく。2017年12月24日
(1),(2)ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ、葉柄

ミウラハイホラゴケ、中軸。2017年12月24日 ミウラハイホラゴケ、中軸。2017年12月24日
(1),(2)ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ、中軸

ミウラハイホラゴケ、胞子嚢群。2017年12月24日 ミウラハイホラゴケ、胞子嚢群。2017年12月24日
(1),(2)ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ、胞子嚢群

ミウラハイホラゴケ、胞子数は50個以上確認。2017年12月24日 ミウラハイホラゴケ、胞子数は50個以上確認。2017年12月24日 ミウラハイホラゴケ、胞子数は60個程度確認。2017年12月24日
(1)ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ、胞子数
(2)ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ、胞子数
(3)ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ、胞子数

ミウラハイホラゴケ、胞子の形状はすべて正常。2017年12月24日
ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ、胞子形状は正常

ミウラハイホラゴケ、胞子。2017年12月24日 ミウラハイホラゴケ、胞子。2017年12月24日
(1),(2)ミウラハイホラゴケオオハイホラゴケ、胞子





ハイホラゴケの仲間

葉の大きさ5~7㎝の小さなハイホラゴケと思われる株を観察。ハイホラゴケの仲間は普通ウエットなところに生育するが、明るくややドライな切り立った崖の下部に群生。胞子嚢群を見つけることができず、雑種か有性生殖種か判断できないのでハイホラゴケの仲間とします。

ハイホラゴケの仲間、葉身。2017年12月24日
ハイホラゴケの仲間




ハナワラビの仲間

シチトウハナワラビ

同行の方に案内していただきました。小高い丘の稜線部雑木林の疎林で周辺には見渡す範囲で20株程度生育し、オオハナワラビと混生。小羽片の幅は狭く先端は尖りぎみで鋭頭に近くなる。ゆっくり探せば雑種も見つかると思われる。その他丘陵地の裾野の急斜面でもやや普通に見られた。胞子は膨らんで大きさ・形ともどれも整い雑種ではないと考えられる。

シチトウハナワラビ。2017年12月24日
シチトウハナワラビ

群生するシチトウハナワラビ。2017年12月24日
群生するシチトウハナワラビ

シチトウハナワラビ、栄養葉。2017年12月24日
シチトウハナワラビ、栄養葉

シチトウハナワラビ、栄養葉の羽片。2017年12月24日
シチトウハナワラビ、栄養葉の羽片

シチトウハナワラビ、胞子上面。胞子は凹んだりせず正常。2017年12月24日 シチトウハナワラビ、胞子上面。胞子は凹んだりせず正常。2017年12月24日
(1)シチトウハナワラビ、胞子上面
(2)シチトウハナワラビ、胞子側面

シチトウハナワラビ、胞子上面。胞子は凹んだりせず正常。2017年12月24日 シチトウハナワラビ、胞子上面。胞子は凹んだりせず正常。2017年12月24日
(1)シチトウハナワラビ、胞子上面
(2)シチトウハナワラビ、胞子側面





オオハナワラビ

場所によってはシチトウハナワラビと混生。シチトウハナワラビにくらべ①小羽片の幅が広く、②裂片の辺縁の鋸歯が鋭い。
 今回胞子を観察しなかったが生育地の状況からオオハナワラビとシチトウハナワラビの雑種(ゴジンカハナワラビ)が生育している可能性も十分に考えられる。外観が怪しい個体は胞子の形状を調べてみると雑種が見つかるかもしれない。

標本1 畠山
オオハナワラビ。2017年12月24日
オオハナワラビ

オオハナワラビ、栄養葉の羽片。2017年12月24日
オオハナワラビ、栄養葉の羽片


標本2 田浦

オオハナワラビ。2017年12月24日
オオハナワラビ

オオハナワラビ、栄養葉の羽片。2017年12月24日 オオハナワラビ、栄養葉の羽片。2017年12月24日
(1),(2)オオハナワラビ、栄養葉の羽片




フモトシダの仲間

フモトシダ以外に山麓の川沿いの林縁でフモトカグマが見られました。




イノモトソウの仲間

イノモトソウ、オオバノイノモトソウ、マツザカシダなどが見られました。




シケシダの仲間

ナチシケシダ
今回のコースではまだ枯れずに観察する事が出来た。夏緑広葉樹などが生育する明るい林縁屋スギ林林床まで広く観察された。全体の形はシケシダに似るが葉脈上の毛のせいか手触りは厚く感じる。包膜の辺縁は和紙を裂いたように鋭い鋸歯を持つ。

上部をスギの樹冠に覆われた山地斜面の林床に生育するナチシケシダ。2017年12月24日
ナチシケシダ

ナチシケシダ、包膜の辺縁は和紙を裂いたようにほつれる。2017年12月24日 ナチシケシダ、包膜の辺縁は和紙を裂いたようにほつれる。2017年12月24日
(1),(2)ナチシケシダ、包膜




ノコギリシダの仲間

ノコギリシダ
上部をスギの樹冠に覆われた谷筋、泥岩の崖や林床斜面にやや普通に群生していました。羽片は細長く先は鎌曲する。

ノコギリシダ、羽片は細長く先は鎌曲する。2017年12月24日
ノコギリシダ





葉が波打ち羽片は広いノコギリシダの仲間
外観は普通のノコギリシダにくらべ①羽片の長さにくらべ幅が広い。②羽片の先はあまり鎌曲しない。③葉身はうねるように波打つ。④耳垂にも胞子嚢群をつける。などの違いが見られました。胞子は季節柄飛んでしまっていて確認することはできませんでした。普通のノコギリシダの変異の範囲かもしれませんがアカメクジャク(ノコギリシダとイヨクジャクの雑種)の可能性もあり機会があれば改めて胞子を観察してみたいと思います。

葉の広いノコギリシダの仲間。2017年12月24日
葉の広いノコギリシダの仲間

葉の広いノコギリシダの仲間。2017年12月24日
泥岩の崖に群生する葉の広いノコギリシダの仲間

葉の広いノコギリシダの仲間、葉身下部。2017年12月24日 葉の広いノコギリシダの仲間、葉身上部。2017年12月24日
(1)葉の広いノコギリシダの仲間、葉身下部
(2)葉の広いノコギリシダの仲間、葉身上部

葉の広いノコギリシダの仲間、羽片。2017年12月24日 葉の広いノコギリシダの仲間の羽片裏側、耳垂にも胞子嚢群をつける。2017年12月24日
(1)葉の広いノコギリシダの仲間、羽片
(2)葉の広いノコギリシダの仲間、羽片裏側




ヤブソテツの仲間

テリハヤブソテツ、ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツ、テリハヤマヤブソテツ、ホソバヤマヤブソテツ)、ナガバヤブソテツなどが見られました。

テリハヤブソテツ
明るい林縁・人家周辺の石垣などで観察。

ナガバヤブソテツ
明るい林縁・人家周辺の石垣などで観察。

ツヤナシヤマヤブソテツ
山地林床で観察。

テリハヤマヤブソテツ
上部を樹冠に覆われたウエットな谷筋の崖で観察。

テリハヤマヤブソテツ
上部を樹冠に覆われたウエットな谷筋の崖に生育。

ホソバヤマヤブソテツ
山地林縁で観察。

山の裾野・林縁で見られたホソバヤマヤブソテツ。2017年12月24日
山の裾野・林縁で見られたホソバヤマヤブソテツ




イノデの仲間

アスカイノデ、イノデ、ミウライノデ(アスカイノデ×イノデ)、ドウリョウイノデ(アイアスカイノデ×イノデ)などが見られました。

ドウリョウイノデ(アイアスカイノデ×イノデ)
アイアスカイノデとイノデの雑種と推定される。

ドウリョウイノデ、葉の形や光沢はイノデに似る。2017年12月24日

ドウリョウイノデ、葉柄下部の鱗片には栗色が入る。2017年12月24日 ドウリョウイノデ、鱗片の辺縁にはわずかに鋸歯が確認される。2017年12月24日
(1),(2)ドウリョウイノデ、葉柄下部の鱗片

ドウリョウイノデ、胞子嚢群は辺縁寄りにつき、胞子嚢は弾けず胞子嚢群は盛り上がる。2017年12月24日
ドウリョウイノデ、胞子嚢群




オリヅルシダ
スギの樹冠に覆われた泥岩の切り立った泥岩の崖に群生。葉は50㎝近くあり、葉身の先端からランナーを伸ばし先端に無性芽をつけ繁殖していた。

オリヅルシダ。2017年12月24日
オリヅルシダ




ウラボシ科の仲間

クリハラン
上部をスギの樹冠に覆われた泥砂岩の切り立った崖に群生。葉の大きさは40~60㎝ありよく成長していた。

オリヅルシダ。2017年12月24日 
切り立った泥岩の崖に群生するクリハラン

オリヅルシダ。2017年12月24日
クリハラン




おしまいに

 今回は尾根に至るコースが険しくブッシュもあり、参加された方には大変ご迷惑をおかけしました。
 田浦側の谷は険しく歩きにくいが泥岩の崖も多く見られ、興味深いシダが多数見られたのでまた改めてゆっくり観察してみたいと思います。怪しいノコギリシダの胞子も観察してみたいと思います。