Top / 観察会レポート / 平成29年4月23日(日)箱根 塔ノ沢周辺


塔ノ沢駅で 2017年4月26日 

箱根の入口にあたり、林床や岩場では暖かいところでよく見られるシダが多いように思いました。林床にはアマクサシダ、マツザカシダ、ヒメイタチシダ、オニカナワラビが多く見られました。



葉の小さなタチクラマゴケ
葉が小さく茎も細いですがタチクラマゴケとします。胞子嚢はつけていませんでした。相模湖や高尾ですともう葉の脇に胞子嚢をつけた根茎を立ち上げるタチクラマゴケ独特の形態を見せるのですが、箱根で見られた個体は地表を這っていて根茎を立ち上げる様子は見られませんでした。クラマゴケの仲間では他にコンテリクラマゴケ、イヌカタヒバなどが見られました。
タチクラマゴケ。2017年4月26日 タチクラマゴケ。2017年4月26日
タチクラマゴケ(上左、上右)





シチトウハナワラビ?
湯坂道で見られたシチトウハナワラビと思われるシダ。アカハナワラビの可能性も考えられましたが裂片の尖り具合や葉の大きさ厚みなどからシチトウハナワラビが妥当だと思われます。また胞子も観察してみたいと思います。
シチトウハナワラビ。2017年4月26日 シチトウハナワラビ。2017年4月26日
シチトウハナワラビ(上左)
シチトウハナワラビ、羽片(上右)


ノコギリシダの仲間
ノコギリシダの仲間ではノコギリシダ、キヨタキシダが見られました。


イブキシダ
湯本駅近くの吉池旅館の庭園にはイブキシダが元気よく育っていました。そばを流れる須雲川では中流域でイブキシダの生育が確認されています。


シケシダの仲間
シケシダの仲間はフモトシケシダ、セイタカシケシダなどが見られましたが、春先に出る葉は栄養葉の場合が多く、まだ包膜を観察することができませんでした。




ヒメイタチシダ
標高の低い(150~200m)渓谷沿いの乾燥気味の岩場や石組み、林縁などではヒメイタチシダが多く見られました。葉の幅が広く葉身ややや五角形に見えます。同じ箱根でも標高の高い(600m)千条ノ滝付近ではリョウトウイタチシダが見られましたが、この2つの近縁のシダは住み分けているのかもしれません。
ヒメイタチシダ。2017年4月26日 ヒメイタチシダ。2017年4月26日
ヒメイタチシダ(上左)
ヒメイタチシダ、若葉(上右)




オオバノイノモトソウ広葉type
標高の低い森(照葉樹と夏緑広葉樹の森)の林床ではアマクサシダやマツザカシダが多く見られました。イノモトソウの仲間は他にはオオバノイノモトソウ、オオバノイノモトソウ広葉type、オオバノイノモトソウ広葉typeの胞子葉の幅が広い個体(1株)、葉が傷ついていてオオバノハチジョウシダ下部小羽片非対称typeかオオバノアマクサシダtypeか判別できない個体(1株)、イノモトソウなどが見られました。
オオバノイノモトソウ広葉type。2017年4月26日
オオバノイノモトソウ広葉type


オオバノイノモトソウ広葉typeの胞子葉の幅が広い個体。2017年4月26日 羽片の幅が広い胞子葉。広葉typeではときどき見られる。2017年4月26日
オオバノイノモトソウ広葉typeの胞子葉の幅が広い個体(上左、上右)


カナワラビの仲間
カナワラビの仲間がいろいろ見られました。目立ったものはオニカナワラビで岩場から林床まで広く見られました。ハカタシダのほうがずっと少なかったのは神奈川・東京周辺ではあまり見られないことのように思います。他にコバノカナワラビ、ホソバカナワラビ、オオカナワラビが見られました。コバノカナワラビは渓谷の下岩屑が堆積したところを好み、ホソバカナワラビは乾燥気味の岩が露出する崖や崖の上の稜線部に群生、オオカナワラビは少なく2地点2株。雑種も見られるようでしたが、難しいです。ホソバカナワラビ×ハカタシダ、コバノカナワラビ×ハカタシダを同行の方から教えていただきました。




オオキヨズミシダ
岩石が風化して土壌化した崖に2,3株生育。塔ノ沢で見られたオオキヨズミシダはあまり大きくなく(30~35㎝)、ヒメカナワラビの標準サイズと同じくらいであったため紛らわしかった。特徴は①葉柄基部の鱗片は卵状披針形。①胞子嚢群は葉身の上側、羽片の先からつく。②裂片は羽片最基部を除き羽軸に流れてつく。
オオキヨズミシダ。2017年4月26日 
オオキヨズミシダ

オオキヨズミシダ、葉柄基部の鱗片。2017年4月26日 オオキヨズミシダ、葉柄基部の鱗片。2017年4月26日
オオキヨズミシダ、葉柄基部の鱗片(上左、上右)

オオキヨズミシダ、葉身。2017年4月26日 オオキヨズミシダ、胞子嚢群は葉の上側からつく。2017年4月26日
オオキヨズミシダ、葉身(上左)
オオキヨズミシダ、葉身裏側(上右)

オオキヨズミシダ、裂片は羽片基部を除き羽軸に流れてつく。2017年4月26日 オオキヨズミシダ、裂片は羽片基部を除き羽軸に流れてつく。2017年4月26日
オオキヨズミシダ、羽片(上左)
オオキヨズミシダ、裂片(上右)

オオキヨズミシダ、胞子嚢群。2017年4月26日
オオキヨズミシダ、胞子嚢群




ヒメカナワラビ
照葉樹に覆われ光が遮られた石垣に20株程度群生していた。特徴は①葉柄基部の鱗片は広披針形。①胞子嚢群は葉身全面あるいは下側からつく。②裂片は羽片下部では独立する。
ヒメカナワラビ。2017年4月26日 ヒメカナワラビ。2017年4月26日 
ヒメカナワラビ(上左)
ヒメカナワラビ、葉柄基部の鱗片(上右)

ヒメカナワラビ、羽片。2017年4月26日 ヒメカナワラビ、胞子嚢群は葉の下側からつく。2017年4月26日 
ヒメカナワラビ、羽片(上左)
ヒメカナワラビ、葉身裏側(上右)




ミドリベニシダ
ベニシダの仲間ではベニシダ、マルバベニシダ、キノクニベニシダ、ミドリベニシダ、オオベニシダなどが見られました。
ミドリベニシダ。2017年4月26日 ミドリベニシダ、葉柄下部の鱗片は明るい褐色。2017年4月26日 ミドリベニシダ、葉柄下部の鱗片は明るい褐色。2017年4月26日
ミドリベニシダ(上左)
ミドリベニシダ、葉柄下部の鱗片(上中、上右)


アシガラノキシノブ(ノキシノブ×ヒメノキシノブ)
ウラボシ科では葉を込み合ってつける葉がやや大きめのヒメノキシノブが見られました。
 湯本駅近くの石垣でノキシノブが群生する中でヒメノキシノブが観察されました。やや葉は長めでしたが胞子嚢群は葉の先端近くにまとまってつけており、その場ではヒメノキシノブとしましたが、しばらくしてから同行の方からヒメノキシノブにしては葉が込み合ってついていましたとご指摘を受け、雑種のアシガラノキシノブの可能性が疑われます。残念ながら画像は撮っていませんので、また箱根湯本に行ったときにはぜひ撮影するとともに胞子も様子も観察してみたいと思います。
 ウラボシ科ではそのほかクリハランとノキシノブ、マメヅタ、ミツデウラボシなどが見られました。




そのほか
ナベワリ
同行の方から撮影が難しいと言われましたが、ピントが合わせにくい植物です。
ナベワリ。2017年4月26日 ナベワリ。2017年4月26日



モミジガサ
おいしい山菜の一つです。2017年4月26日