海のそば、オニヤブソテツと石造物に着生するマメヅタ。2018年2月18日 鎌倉-藤沢沿岸

1.海岸近くの谷戸の森で
 鎌倉-藤沢沿岸部を参加者のみなさんと歩いてきました。沿岸の森ではヤブソテツの仲間、イノデの仲間、オオイタチシダの仲間オオバノイノモトソウや珍しいクルマシダなどが見られました。

鎌倉沿岸部に生育するクルマシダ

コナラやスダジイやタブノキ、一部スギが植林された森では泥岩の急斜面でクルマシダが生育していました。群生とまではいきませんが大きな株(葉の長さ50~60㎝)が1つと周辺に2,3株、幼株が見られました。詳しく探せばもっと見つかるかもしれません。

クルマシダ、葉の大きさは50㎝。2018年2月18日 鎌倉-藤沢沿岸
クルマシダ

クルマシダ、葉身。2018年2月18日 鎌倉-藤沢沿岸 クルマシダ、葉身。2018年2月18日 鎌倉-藤沢沿岸
(1)クルマシダ、葉身
(2)クルマシダ、羽片裏側



コユルギイノモトソウ

葉の色は明るい黄緑色。周りの緑とコントラストがあり遠くからでもよく目につきました。

コユルギイノモトソウ。2018年2月18日 鎌倉-藤沢沿岸 コユルギイノモトソウ、羽片および黒褐色の中軸。2018年2月18日 鎌倉-藤沢沿岸
(1)コユルギイノモトソウ
(2)コユルギイノモトソウ、羽片および黒褐色の中軸




雑種と思われるハイホラゴケ

葉の大きさは6~8㎝。上部を樹冠に覆われた幅2mほどの泥岩の崖に群生。観察する時間はそれほど長くなかったが、胞子嚢群を見つけることができず、栄養葉ばかりであった。雑種の可能性がある。

雑種と思われるハイホラゴケ。2018年2月18日 鎌倉-藤沢沿岸 
雑種と思われるハイホラゴケ




イノデの仲間の秋葉について

 今回、イノデの仲間は難しかったです。アスカイノデ、イノデ、ミウライノデ(イノデ×アスカイノデ)、ドウリョウイノデ(イノデ×アイアスカイノデ)などが見られましたが、詳しい方から秋葉(秋になってから展開する葉)について注意しなければならないとお教えいただきました。有性生殖種でも、一見雑種に見えることがあります。成熟する予定だった胞子嚢群が秋になり成熟できずまるで雑種の胞子嚢群のように固まってしまう場合もあります。

 イノデかドウリョウイノデ(イノデ×アイアスカイノデ)か、わからない個体も見られました。採取した標本を見て頂いたところ、ドウリョウイノデではなくイノデの秋葉かもしれないとのことでした。イノデの仲間は秋に展開した葉は胞子が充実して散布できる場合もあるが、寒くなって胞子が膨らんだまま散布できずに終わってしまう場合もある。その場合観察者は注意しないと雑種の固まった胞子嚢群のようにも見えることもある。相模湖での例を示します。

秋葉を展開したイノデ、秋葉では胞子嚢がはじけないまま付いており、ドウリョウイノデと間違えてしまうところでした。相模原市 底沢  2016年11月3日
秋葉を展開したイノデ




2.海のそばの森で
スダジイ・タブノキ・カクレミノ・ヤブツバキなどの照葉樹林下、泥岩の崖のような斜面に生育していました。この海に近い森ではオニヤブソテツの仲間、イノデの仲間、オオイタチシダの仲間、ハチジョウベニシダなどベニシダの仲間、ホソバカナワラビ、マツザカシダなどが生育していました。
海岸に近い森、ハチジョウベニシダはカクレミノやツバキなどが旺盛に生育する森に生育していた。2018年2月18日 鎌倉-藤沢沿岸
ハチジョウベニシダが生育する照葉樹の森

鎌倉-藤沢沿岸に生育するハチジョウベニシダ

ハチジョウベニシダを研究を行っている方から教えていただきました。葉の大きさは45~65㎝。ベニシダに非常によく似ていますが、ベニシダにくらべると葉の質は薄い。小羽片はやや細長く、葉が薄いため表面はやや波打ち(生育地が海に近く、葉が薄いためか塩害を受けやすく、葉の周辺が一部枯れている個体が多くみられた。)、先端はひょろひょろと伸び、不揃いになることがある。20~30株程度は観察された。胞子の数はこの季節確認できないので改めて、よい季節に確認したいと思います。

標本1
ハチジョウベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ハチジョウベニシダ、最下羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸
(1)ハチジョウベニシダ
(2)ハチジョウベニシダ、最下羽片



標本2
ハチジョウベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ハチジョウベニシダ、羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸
(1)ハチジョウベニシダ
(2)ハチジョウベニシダ、羽片



標本3
ハチジョウベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
ハチジョウベニシダ

ハチジョウベニシダ、羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ハチジョウベニシダ、最下羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸
(1)ハチジョウベニシダ
(2)ハチジョウベニシダ、最下羽片



標本4
ハチジョウベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
ハチジョウベニシダ

ハチジョウベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ハチジョウベニシダ、最下羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸
(1)ハチジョウベニシダ
(2)ハチジョウベニシダ、最下羽片



標本5
ハチジョウベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
ハチジョウベニシダ

ハチジョウベニシダ、最下羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ハチジョウベニシダ、羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)ハチジョウベニシダ、最下羽片 
(2)ハチジョウベニシダ、羽片



標本6
ハチジョウベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
ハチジョウベニシダ

ハチジョウベニシダ、最下羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ハチジョウベニシダ、羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)ハチジョウベニシダ、最下羽片 
(2)ハチジョウベニシダ、羽片




ベニシダ(ハチジョウベニシダと同じ場所に生育している)

葉の質はハチジョウベニシダよりも厚く、小羽片表面はアイロンをかけたように平。ハチジョウベニシダと同じ環境に生育していましたが葉が厚く丈夫であるためか、塩害で葉の辺縁が枯れるような株は見られませんでした。

標本1
ベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
ベニシダ

ベニシダ、最下羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ベニシダ、羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)ベニシダ、最下羽片 
(2)ベニシダ、羽片



標本2
ベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)ベニシダ 
(2)ベニシダ、羽片



標本3
ベニシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
ベニシダ

ベニシダ、最下羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ベニシダ、羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)ベニシダ、最下羽片 
(2)ベニシダ、羽片



そのほかのオシダ属のシダの仲間

ベニオオイタチシダ

ハチジョウベニシダと一緒に生えるベニオオイタチシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 ベニオオイタチシダ、最下羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)ベニオオイタチシダ 
(2)ベニオオイタチシダ、最下羽片




オオイタチシダ (アオニオオイタチシダtype)

オオイタチシダ (アオニオオイタチシダtype)2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸




イノデの仲間(ハチジョウベニシダと同じ場所に生育している)

ベニシダ、最下羽片。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸
アスカイノデが新芽を伸ばしていた。ねじれた糸のような鱗片が特徴的。



オリヅルシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸
泥岩の崖にはオリヅルシダが普通に生育していた。



2種類のオニヤブソテツの仲間

同じ海岸線の同じ場所で見られた2種類のオニヤブソテツの仲間。包膜や胞子嚢群・胞子は観察できませんでした。改めてよい時期に観察して、改めてご紹介したいと思います。

tepe1
普通のオニヤブソテツと思われる。①葉が厚く②葉身の先の羽片まで羽片基部は円形。

標本1
オニヤブソテツ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 オニヤブソテツ、葉身の先。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)オニヤブソテツ 
(2)オニヤブソテツ、葉身の先

標本2
オニヤブソテツ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 オニヤブソテツ、葉身の先。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)オニヤブソテツ 
(2)オニヤブソテツ、葉身の先





type2
小羽片の幅が広いオニヤブソテツの仲間、雑種の可能性も考えられる。①葉の幅が広く、②葉身の先の羽片の羽片基部は楔形。

標本1
葉の幅の広いオニヤブソテツの仲間。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 葉の幅の広いオニヤブソテツの仲間、葉身の先。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)葉の幅の広いオニヤブソテツの仲間 
(2)葉の幅の広いオニヤブソテツの仲間、葉身の先

標本2
葉の幅の広いオニヤブソテツの仲間。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 葉の幅の広いオニヤブソテツの仲間、葉身の先。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 
(1)
葉の幅の広いオニヤブソテツの仲間 
(2)葉の幅の広いオニヤブソテツの仲間、葉身の先

マツザカシダ

マツザカシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸 マツザカシダ。2018年3月11日 鎌倉-藤沢沿岸
(1),(2)マツザカシダ