渓谷沿いの岩上に群生するヤノネシダ。2018年12月23日 県境周辺の森

神奈川・静岡県境の森を歩きました。山の奥は林床がきれいで、シカの食害が激しいように感じました。それでも渓谷沿いにはシダが数多く残っていました。

フモトシダ属の仲間

ケブカフモトシダ
葉柄および葉身を先のほうまで立ち上げる。中軸の背軸側・向軸側両方に毛を密につける。

葉柄・葉身を立ち上げるケブカフモトシダ。2019年1月23日 県境周辺 ケブカフモトシダ、中軸の毛。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)ケブカフモトシダ




ノコギリシダの仲間か

フイリチリメンノコギリシダ
フイリチリメンノコギリシダ(仮称)。標高200~300m程度の渓谷の岩壁に3株程度生育を確認。現在栽培されている方から、「胞子嚢群をつけたが、 Diplazium属の線形の胞子嚢群ではなく、丸い胞子嚢群をつけた」とのことでした。Diplazium属ではないかもしれません。改めて観察していきたいと思います。




ヤマイヌワラビの仲間

この季節、夏緑性のヤマイヌワラビの仲間はすべて枯れていて目にすることはありません。


タニイヌワラビ
タニイヌワラビ。常緑性のヤマイヌワラビの仲間 。標高200~300m程度の渓谷の斜面の崖に20株程度生育。




ヤブソテツ属の仲間

ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツ・テリハヤマヤブソテツ)、テリハヤブソテツ、ヒロハヤブソテツなどが見られました。
ヒロハヤブソテツ
明るい沢沿いの疎林内にヒロハヤブソテツが点々と生育。30株程度確認。大きな頂羽片は大人の手のひらほどもある。

ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツ)とヒロハヤブソテツ(左)。2019年1月23日 県境周辺 沢沿いの転石地の生育するヒロハヤブソテツ。2019年1月23日 県境周辺
(1)ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツ)とヒロハヤブソテツ(左)
(2)沢沿いの転石地の生育するヒロハヤブソテツ

手のひらくらいの大きさのヒロハヤブソテツの頂羽片。2019年1月23日 県境周辺 ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツ)とヒロハヤブソテツ(左)の羽片比較。2019年1月23日 県境周辺 
(1)(2)ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツ)とヒロハヤブソテツ(左)

ヒロハヤブソテツ、羽片表面では胞子嚢群がつく位置で突起状に盛り上がることがある。2019年1月23日 県境周辺 ヒロハヤブソテツ、胞子嚢群は羽片全体につく。2019年1月23日 県境周辺
(1)ヒロハヤブソテツ、羽片
(2)ヒロハヤブソテツ、胞子嚢群



イノデ属の仲間

イノデモドキ、カタイノデ、サイゴクイノデ、、キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)、ヒメカナワラビなどが見られました。

キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)
林縁の林道沿いのきつい角度の林道わきの斜面に生育。胞子嚢は弾けず胞子嚢群は固まり雑種の特徴を示す。イノデモドキに似ている点は、①葉はやや艶があり、胞子嚢群がつく位置で葉の表面が突起状に膨らむ。③葉柄・中軸の鱗片は細裂する。サイゴクイノデに似ている点は、①葉身下部羽片では、胞子嚢群は耳垂に優先してつき、耳垂の両側に1~2対ずつやや規則的につく。②葉柄基部の鱗片には幅広く栗色が入る。

キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)写真では分かりにくいがやや艶がある。2019年1月23日 県境周辺 キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)葉はやや艶があり、胞子嚢群がつく位置で葉の表面が突起状に膨らむ。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)

キヨズミイノデ、、葉柄基部の鱗片には幅広く栗色が入る。2019年1月23日 県境周辺 キヨズミイノデ、葉柄基部の鱗片には幅広く栗色が入る。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)葉柄基部の鱗片

キヨズミイノデ、葉はやや艶がある。2019年1月23日 県境周辺 キヨズミイノデ、胞子嚢群がつく位置で葉の表面が突起状に膨らむ。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)羽片

キヨズミイノデ、下部羽片では胞子嚢群は耳垂に優先してつく。2019年1月23日 県境周辺 胞子嚢群は、耳垂に優先してつき、耳垂の両側に1~2対ずつやや規則的につく。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)最下羽片の胞子嚢群

キヨズミイノデ、胞子嚢群は辺縁寄りにつき、弾けずにまとまってつく。2019年1月23日 県境周辺 キヨズミイノデ、胞子嚢群は辺縁寄りにつき、弾けずにまとまってつく。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)羽片の胞子嚢群




オシダ属の仲間

イワヘゴ、イヌイワヘゴ、ミヤマイタチシダ、ナガバノイタチシダ、キヨスミヒメワラビなどが見られました。

イヌイワヘゴ
中軸の鱗片はイワヘゴよりも明るい黒褐色で辺縁の鋸歯はそれほど目立たない。胞子嚢群は羽軸寄りにつく。

イヌイワヘゴ。2019年1月23日 県境周辺 イヌイワヘゴ、胞子嚢群は羽軸寄りにつく。2019年1月23日 県境周辺
イヌイワヘゴ
イヌイワヘゴ、胞子嚢群

イヌイワヘゴ、中軸の鱗片。2019年1月23日 県境周辺 イヌイワヘゴ、中軸の鱗片には多少刺状の突起が見られる。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)イヌイワヘゴ、中軸の鱗片

イヌイワヘゴ、中軸には褐色の鱗片がつく。2019年1月23日 県境周辺 イヌイワヘゴ、中軸には褐色の鱗片がつく。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)イヌイワヘゴ、中軸の鱗片





トウゴクシダ
最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダがよく目についた。光沢の乏しい個体からやや光沢がある個体まで見られた。

標本1
最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダ、やや光沢がある。2019年1月23日 県境周辺 トウゴクシダ、胞子嚢群は中間につく。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダ

トウゴクシダ最下羽片、やや光沢がある。2019年1月23日 県境周辺
トウゴクシダ、最下羽片

標本2
最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダ、光沢は乏しい。2019年1月23日 県境周
最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダ

トウゴクシダ最下羽片、葉の表面は光沢が乏しい。2019年1月23日 県境周辺 トウゴクシダ、胞子嚢群は小羽軸寄りにつく。2019年1月23日 県境周辺
(1)トウゴクシダ、最下羽片
(2)トウゴクシダ、胞子嚢群

標本3
最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダ。2019年1月23日 県境周
最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダ

トウゴクシダ最下羽片、葉の表面には光沢がある。2019年1月23日 県境周辺 トウゴクシダ羽片、葉の表面には光沢がある。2019年1月23日 県境周辺
(1)トウゴクシダ、最下羽片
(2)トウゴクシダ、羽片




ウラボシ科の仲間

ヤノネシダ
渓谷沿いのアラカシ・シロダモなどの常緑広葉樹林林床では広三角形の栄養葉を間隔をあけてつけているが、渓谷沿いのやや明るい岩上では披針形の胞子葉を密につけていた。

ヤノネシダ。2019年1月23日 県境周辺
岩上に群生するヤノネシダ




その他

アケボノシュスランか
・日陰の渓谷沿いで足を踏み入れてからその場所がアケボノシュスランの群生地の真ん中であることに気づき、急に慎重に足の踏み場に気を使いました。
沢沿いの転石の上に群生するシュスランの仲間。2019年1月23日 県境周辺 沢沿いの転石の上に群生するシュスランの仲間。2019年1月23日 県境周辺
(1)(2)沢沿いの転石の上に群生するシュスランの仲間