神奈川・静岡県境の森を歩きました。山の奥は林床がきれいで、シカの食害が激しいように感じました。それでも渓谷沿いにはシダが数多く残っていました。
フモトシダ属の仲間
ケブカフモトシダ
葉柄および葉身を先のほうまで立ち上げる。中軸の背軸側・向軸側両方に毛を密につける。
ノコギリシダの仲間か
フイリチリメンノコギリシダ
フイリチリメンノコギリシダ(仮称)。標高200~300m程度の渓谷の岩壁に3株程度生育を確認。現在栽培されている方から、「胞子嚢群をつけたが、 Diplazium属の線形の胞子嚢群ではなく、丸い胞子嚢群をつけた」とのことでした。Diplazium属ではないかもしれません。改めて観察していきたいと思います。
ヤマイヌワラビの仲間
この季節、夏緑性のヤマイヌワラビの仲間はすべて枯れていて目にすることはありません。
タニイヌワラビ
タニイヌワラビ。常緑性のヤマイヌワラビの仲間 。標高200~300m程度の渓谷の斜面の崖に20株程度生育。
ヤブソテツ属の仲間
ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツ・テリハヤマヤブソテツ)、テリハヤブソテツ、ヒロハヤブソテツなどが見られました。
ヒロハヤブソテツ
明るい沢沿いの疎林内にヒロハヤブソテツが点々と生育。30株程度確認。大きな頂羽片は大人の手のひらほどもある。
(1)ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツ)とヒロハヤブソテツ(左)
(2)沢沿いの転石地の生育するヒロハヤブソテツ
(1)(2)ヤブソテツ(ツヤナシヤマヤブソテツ)とヒロハヤブソテツ(左)
(1)ヒロハヤブソテツ、羽片
(2)ヒロハヤブソテツ、胞子嚢群
イノデ属の仲間
イノデモドキ、カタイノデ、サイゴクイノデ、、キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)、ヒメカナワラビなどが見られました。
キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)
林縁の林道沿いのきつい角度の林道わきの斜面に生育。胞子嚢は弾けず胞子嚢群は固まり雑種の特徴を示す。イノデモドキに似ている点は、①葉はやや艶があり、胞子嚢群がつく位置で葉の表面が突起状に膨らむ。③葉柄・中軸の鱗片は細裂する。サイゴクイノデに似ている点は、①葉身下部羽片では、胞子嚢群は耳垂に優先してつき、耳垂の両側に1~2対ずつやや規則的につく。②葉柄基部の鱗片には幅広く栗色が入る。
(1)(2)キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)葉柄基部の鱗片
(1)(2)キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)羽片
(1)(2)キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)最下羽片の胞子嚢群
(1)(2)キヨズミイノデ(サイゴクイノデ×イノデモドキ)羽片の胞子嚢群
オシダ属の仲間
イワヘゴ、イヌイワヘゴ、ミヤマイタチシダ、ナガバノイタチシダ、キヨスミヒメワラビなどが見られました。
イヌイワヘゴ
中軸の鱗片はイワヘゴよりも明るい黒褐色で辺縁の鋸歯はそれほど目立たない。胞子嚢群は羽軸寄りにつく。
トウゴクシダ
最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダがよく目についた。光沢の乏しい個体からやや光沢がある個体まで見られた。
標本1
(1)(2)最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダ
標本2
最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダ
標本3
最下羽片後側(下側)小羽片があまり発達しないtypeのトウゴクシダ
ウラボシ科の仲間
ヤノネシダ
渓谷沿いのアラカシ・シロダモなどの常緑広葉樹林林床では広三角形の栄養葉を間隔をあけてつけているが、渓谷沿いのやや明るい岩上では披針形の胞子葉を密につけていた。
岩上に群生するヤノネシダ
その他
アケボノシュスランか
・日陰の渓谷沿いで足を踏み入れてからその場所がアケボノシュスランの群生地の真ん中であることに気づき、急に慎重に足の踏み場に気を使いました。
(1)(2)沢沿いの転石の上に群生するシュスランの仲間