メニッコウシダ
ヒメシダ科 ヒメシダ属
※最初、ハリガネワラビの高地型かと思いましたが、詳しい方の見ていただいたところ、メニッコウシダとのこと、写真のように密に群生し、神奈川県では丹沢や箱根の山地、低地部では相模川の中流域付近の林下にわずかに見つかっている、とのことでした。2018年9月2日
標本1
生育している環境:標高1000m付近コナラ・シラカバなどの夏緑広葉樹や植林されたカラマツ・アカマツ林が広がる森。大小の群落を点在して生育。3地点で群生を確認。
観察された特徴:葉柄は太く2㎜程度、色はわら色~淡緑色。葉柄は葉身とほぼ同長。葉柄下部には茶褐色・三角状長楕円形の鱗片がつく。葉の大きさは60~70㎝、栄養葉と胞子をつける葉に分かれ長楕円形、葉脈上に毛が生えるためやや毛深く厚みのある感じがし、草質、淡緑色、光沢なし。最下羽片を含め基部の羽片は下を向く。裂片は深裂し先端は円頭、表側葉脈上には毛が生え、裏面には腺点がつく。胞子嚢群は中間につく。包膜は円腎形で腺毛が密に生えるが毛はない。胞子数は60個程度確認でき有性生殖種。胞子の形状はハリガネワラビに酷似し、胞子の周りの襞の辺縁にはすべて鋭い鋸歯がある。
ニッコウシダとメニッコウシダの比較
ニッコウシダ
①胞子の表面の襞の辺縁は全縁である。
②葉身・羽片がスリムである。
③下部の羽片は短縮する(大きい羽片の半分以下あるいは耳状)。
④葉はやや薄く淡緑色~黄緑色。
⑤羽軸上には毛が生える。
⑥多少間隔を開けて広範囲に群生。
メニッコウシダ
①胞子の表面の襞の辺縁には鋭い鋸歯がある。
②葉身・羽片が広い。
③下部の羽片は多少短縮する。
④葉は多少厚みがあり淡緑色~緑色。
⑤羽軸上には毛が密に生える。
⑥密に葉をつけて群生し島状に分布。
メニッコウシダ(Thelypteris nipponica var.borealis)はニッコウシダのvariety.variationとなっているが、胞子の形や葉形からニッコウシダよりもハリガネワラビにより近い種ではないかと思われる。ではなく別種ではないかと思われる。胞子の形状からは、メニッコウシダはハリガネワラビと大変よく似ているが、ニッコウシダとは形状が異なる。2019年11月8日2023年10月6日
(1)メニッコウシダ、栄養葉と胞子をつけた葉
(2)メニッコウシダ、栄養葉
(1)メニッコウシダ、栄養葉の羽片
(2)メニッコウシダ、胞子をつけた葉の羽片
(1)メニッコウシダ、胞子をつけた葉の羽片裏側
(2)メニッコウシダ、胞子嚢群
(1)メニッコウシダ、胞子上面
(2)メニッコウシダ、胞子側面
(1)メニッコウシダ、胞子上面
(2)メニッコウシダ、胞子側面
(1)メニッコウシダ、胞子上面
(2)メニッコウシダ、胞子側面
(1)メニッコウシダ、胞子上面
(2)メニッコウシダ、胞子側面
(1)(2)メニッコウシダ、包膜
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