入笠山。2020年9月5日 入笠山

入笠山稜線付近を歩きました。標高1800~1900mで見られるシダを紹介します。この辺りは南北に走る中央構造線の外帯で中生代の地層でできています。標高はありますが山容は穏やかで稜線は高低差が少なく南北に連なっています。山頂付近まで樹林帯が広がっていますがところどころに草原や湿原・岩場や岩峰が点在しています。

ヒカゲノカズラ
カラマツ林内からやや明るい林縁に生育。乾燥気味の林床からウエットな林床まで見られるが、砂礫地のような土壌を好む。常緑性。
ヒカゲノカズラ。2020年9月5日 入笠山
ヒカゲノカズラ

胞子嚢穂をつけたヒカゲノカズラ。2020年9月5日 入笠山
胞子嚢穂をつけたヒカゲノカズラ





アスヒカズラ
カラマツ林内に生育。ヒカゲノカズラと一緒に生育。ややウエットな環境であったが、一ヶ所なのでもう少しいろいろなところで観察する必要がある。常緑性。側枝の長さは10~20㎝。
アスヒカズラ。2020年9月5日 入笠山
アスヒカズラ

アスヒカズラ、アスナロのような葉をしている。2020年9月5日 入笠山
アスヒカズラ、アスナロのような葉





マンネンスギ
カラマツ林に生育。ヒカゲノカズラと一緒に生育していたが、ヒカゲノカズラよりも林内を好む。常緑性。側枝の長さは20~30㎝。
マンネンスギ。2020年9月5日 入笠山
マンネンスギ

マンネンスギ、胞子嚢穂。2020年9月5日 入笠山 マンネンスギ。2020年9月5日 入笠山
(1)マンネンスギ
(2)マンネンスギ、胞子嚢穂





タカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか
最初はタカネヒカゲノカズラかと掲載したが、屋久島のタカネヒカゲノカズラに比べると側枝が立ち上がりマンネンスギの可能性がある。
ミズゴケが密生する湿地の陽光地に生育。常緑性。側枝の長さは15~25㎝。湿地では主茎は地中(苔の中)を這い、間隔を空けて側枝を立ち上げる。側枝は複数に分岐し″ほうき状″に葉を出す。タカネヒカゲノカズラの葉はヒカゲノカズラやマンネンスギに比べ、葉の先は中心の軸側に内曲する。胞子嚢穂をつける側枝はンネンスギの新芽に似るがまだ胞子嚢穂は観察できていない。秋に再度訪れて胞子嚢穂を観察してみたい。
タカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか。2020年9月5日 入笠山
タカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか

タカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか、これから秋にかけて胞子嚢穂をつける可能性がある。2020年9月5日 入笠山 
タカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか

タカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか、いくつもに分岐した枝は周りのコケの仲間とよく似ていて紛らわしい。2020年9月5日 入笠山 タカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか、葉の先は中心の軸側に内曲する。2020年9月5日 入笠山
(1)ミズゴケが密生する中にコケとともに生育するタカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか
(2)葉の先は中心の軸側に内曲するタカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか





ホソバコケシノブ
林内の岩壁に群生。常緑性。葉の大きさは6~12㎝。
岩壁に群生するホソバコケシノブ。2020年9月5日 入笠山
ホソバコケシノブ

ホソバコケシノブ、葉柄および根茎。2020年9月5日 入笠山
ホソバコケシノブ、葉柄および根茎

ホソバコケシノブ、葉身。2020年9月5日 入笠山 岩壁に群生するホソバコケシノブ、胞子嚢群。2020年9月5日 入笠山
(1)ホソバコケシノブ、葉身
(2)ホソバコケシノブ、胞子嚢群





ヤマドリゼンマイ
カラマツ林の林縁や山頂近くの草原に群生。
ヤマドリゼンマイ。2020年9月5日 入笠山
ヤマドリゼンマイ

林縁に群生するヤマドリゼンマイ。2020年9月5日 入笠山 ヤマドリゼンマイ、日当たりのよいところではもう黄葉していた。2020年9月5日 入笠山
(1)林縁に群生するヤマドリゼンマイ
(2)黄葉するヤマドリゼンマイ

ヤマドリゼンマイ、葉柄には鱗片はない。2020年9月5日 入笠山 ヤマドリゼンマイ、羽片の基部は有毛。2020年9月5日 入笠山
(1)ヤマドリゼンマイ、葉柄
(2)ヤマドリゼンマイ、羽片基部





ミヤマワラビ
林内から明るいガレ場に生育。砂礫地のガレ場のような明るい草原では群生する。夏緑性。
ミヤマワラビ。2020年9月5日 入笠山 
ミヤマワラビ

砂礫地のガレ場のような明るい草原では群生するミヤマワラビ。2020年9月5日 入笠山 
砂礫地のガレ場のような明るい草原では群生するミヤマワラビ





ヒメシダ
明るい湿地~林縁に生育する。ニッコウシダよりも広範囲に生育していた。夏緑性。葉の大きさは35~50㎝。
明るい湿地に群生するヒメシダ。2020年9月5日 入笠山 
ヒメシダ





ニッコウシダ
明るい湿地~林縁に生育。明るい環境では群生する。夏緑性。葉の大きさは35~45㎝、卵状広披針形~紡錘形、最下羽片はやや短縮する程度(生育場所によっては最下羽片は耳状に短縮するそうである)。
ニッコウシダ。2020年9月5日 入笠山 
ニッコウシダ

明るい湿地に群生するニッコウシダ。2020年9月5日 入笠山
明るい湿地に群生するニッコウシダ

ニッコウシダ、葉柄。2020年9月5日 入笠山 ニッコウシダ、胞子嚢群。2020年9月5日 入笠山
(1)ニッコウシダ、葉柄
(2)ニッコウシダ、胞子嚢群





キヨタキシダ
湿地の周り、明るい林内の沢沿いに幼株が生育。
林内の沢沿いにキヨタキシダの幼株が生育。2020年9月5日 入笠山
林内の沢沿いにキヨタキシダの幼株が生育

キヨタキシダ、羽片。2020年9月5日 入笠山
キヨタキシダ、羽片





ミヤマウラボシ
林内の岩上に生育。常緑性。
林内の岩上に生育するミヤマウラボシ。2020年9月5日 入笠山
林内の岩上に生育するミヤマウラボシ





ナガオノキシノブ
林内の岩上に生育。常緑性。葉の長さは15~25㎝
ナガオノキシノブ。2020年9月5日 入笠山
林内の岩上に生育するナガオノキシノブ

林内の岩上に生育するナガオノキシノブ。2020年9月5日 入笠山 林内の岩上に生育するナガオノキシノブ。2020年9月5日 入笠山
(1)(2)林内の岩上に生育するナガオノキシノブ

ナガオノキシノブ、間隔を空けて葉をつける。2020年9月5日 入笠山  ナガオノキシノブ、胞子を観察した葉。2020年9月5日 入笠山
(1)ナガオノキシノブ、根茎
(2)ナガオノキシノブ、胞子を観察した葉

1つの胞子嚢を壊したようす
ナガオノキシノブ胞子嚢a、胞子は60個程度確認、胞子の大きさ・形は整っている。有性生殖種。2020年9月5日 入笠山 ナガオノキシノブ胞子嚢b、胞子は60個程度確認、胞子の大きさ・形は整っている。有性生殖種。2020年9月5日 入笠山  
(1)ナガオノキシノブ、胞子嚢a
(2)ナガオノキシノブ、胞子嚢b

ナガオノキシノブ胞子嚢d、胞子は60個程度確認、胞子の大きさ・形は多少乱れている。有性生殖種。2020年9月5日 入笠山  
(3)ナガオノキシノブ、胞子嚢d

胞子のようす
※胞子の表面には突起が見られるようである。まだ十分成熟しておらず、葉緑体の形成が不十分。機会があれば改めて成熟した胞子も観察してみたい。

ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子2、胞子上面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺 ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子2、胞子側面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺 ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子3、胞子上面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺 ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子3、胞子側面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺
(1)ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子2、胞子上面
(2)ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子2、胞子側面
(3)ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子3、胞子上面
(4)ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子3、胞子側面

ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子3、胞子上面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺 ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子3、胞子側面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺 ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子4、胞子上面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺 ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子4、胞子側面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺
(1)ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子3、胞子上面
(2)ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子3、胞子側面
(3)ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子4、胞子上面
(4)ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子4、胞子側面

ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子1、胞子上面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺 ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子1、胞子側面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺 ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子2、胞子上面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺 ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子2、胞子側面。2020年8月11日 相模原 底沢周辺
(1)ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子1、胞子上面
(2)ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子1、胞子側面
(3)ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子2、胞子上面
(4)ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子2、胞子側面





その他のシダ
そのほかに見られたシダは、ナツノハナワラビ・ヤマハナワラビ・トラノオシダ・オウレンシダ・サトメシダ・ミヤマメシダ・ヘビノネゴザ・ハクモウイノデ・ホソイノデ・オシダ・シラネワラビ・シノブカグマなど。




コケなど

フロウソウコウヤノマンネングサか
普段見るものに比べると柄が無いように見える。コウヤノマンネングサではないかもしれない。林縁のそばを通る林道わきに群生。
※ご存じの方から以下のコメントを頂き、訂正します。
枝先が鈍頭なのでフロウソウです。2020年9月16日
フロウソウ<del>コウヤノマンネングサか</del>。2020年9月5日 入笠山
フロウソウコウヤノマンネングサか

フロウソウ<del>柄の短いコウヤノマンネングサか</del>。2020年9月5日 入笠山 フロウソウ<del>柄の短いコウヤノマンネングサか</del>。2020年9月5日 入笠山
(1)(2)フロウソウ柄の短いコウヤノマンネングサか





フジノマンネングサ
フジノマンネングサ。2020年9月5日 入笠山
フジノマンネングサ

フジノマンネングサ。2020年9月5日 入笠山 フジノマンネングサ。2020年9月5日 入笠山
フジノマンネングサ
(1)(2)林床に群生するフジノマンネングサ





名前がわからないコケの仲間
名前がわからないコケの仲間。2020年9月5日 入笠山
名前がわからないコケの仲間

名前がわからないコケの仲間。2020年9月5日 入笠山
名前がわからないコケの仲間