入笠山稜線付近を歩きました。標高1800~1900mで見られるシダを紹介します。この辺りは南北に走る中央構造線の外帯で中生代の地層でできています。標高はありますが山容は穏やかで稜線は高低差が少なく南北に連なっています。山頂付近まで樹林帯が広がっていますがところどころに草原や湿原・岩場や岩峰が点在しています。
ヒカゲノカズラ
カラマツ林内からやや明るい林縁に生育。乾燥気味の林床からウエットな林床まで見られるが、砂礫地のような土壌を好む。常緑性。
ヒカゲノカズラ
アスヒカズラ
カラマツ林内に生育。ヒカゲノカズラと一緒に生育。ややウエットな環境であったが、一ヶ所なのでもう少しいろいろなところで観察する必要がある。常緑性。側枝の長さは10~20㎝。
アスヒカズラ
マンネンスギ
カラマツ林に生育。ヒカゲノカズラと一緒に生育していたが、ヒカゲノカズラよりも林内を好む。常緑性。側枝の長さは20~30㎝。
マンネンスギ
タカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか
最初はタカネヒカゲノカズラかと掲載したが、屋久島のタカネヒカゲノカズラに比べると側枝が立ち上がりマンネンスギの可能性がある。
ミズゴケが密生する湿地の陽光地に生育。常緑性。側枝の長さは15~25㎝。湿地では主茎は地中(苔の中)を這い、間隔を空けて側枝を立ち上げる。側枝は複数に分岐し″ほうき状″に葉を出す。タカネヒカゲノカズラの葉はヒカゲノカズラやマンネンスギに比べ、葉の先は中心の軸側に内曲する。胞子嚢穂をつける側枝はンネンスギの新芽に似るがまだ胞子嚢穂は観察できていない。秋に再度訪れて胞子嚢穂を観察してみたい。
タカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか
(1)ミズゴケが密生する中にコケとともに生育するタカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか
(2)葉の先は中心の軸側に内曲するタカネヒカゲノカズラか葉が込み合ってつくマンネンスギか
ホソバコケシノブ
林内の岩壁に群生。常緑性。葉の大きさは6~12㎝。
ホソバコケシノブ
(1)ホソバコケシノブ、葉身
(2)ホソバコケシノブ、胞子嚢群
ヤマドリゼンマイ
カラマツ林の林縁や山頂近くの草原に群生。
ヤマドリゼンマイ
(1)林縁に群生するヤマドリゼンマイ
(2)黄葉するヤマドリゼンマイ
(1)ヤマドリゼンマイ、葉柄
(2)ヤマドリゼンマイ、羽片基部
ミヤマワラビ
林内から明るいガレ場に生育。砂礫地のガレ場のような明るい草原では群生する。夏緑性。
ミヤマワラビ
ヒメシダ
明るい湿地~林縁に生育する。ニッコウシダよりも広範囲に生育していた。夏緑性。葉の大きさは35~50㎝。
ヒメシダ
ニッコウシダ
明るい湿地~林縁に生育。明るい環境では群生する。夏緑性。葉の大きさは35~45㎝、卵状広披針形~紡錘形、最下羽片はやや短縮する程度(生育場所によっては最下羽片は耳状に短縮するそうである)。
ニッコウシダ
キヨタキシダ
湿地の周り、明るい林内の沢沿いに幼株が生育。
林内の沢沿いにキヨタキシダの幼株が生育
ミヤマウラボシ
林内の岩上に生育。常緑性。
林内の岩上に生育するミヤマウラボシ
ナガオノキシノブ
林内の岩上に生育。常緑性。葉の長さは15~25㎝
林内の岩上に生育するナガオノキシノブ
(1)ナガオノキシノブ、根茎
(2)ナガオノキシノブ、胞子を観察した葉
1つの胞子嚢を壊したようす
(1)ナガオノキシノブ、胞子嚢a
(2)ナガオノキシノブ、胞子嚢b
胞子のようす
※胞子の表面には突起が見られるようである。まだ十分成熟しておらず、葉緑体の形成が不十分。機会があれば改めて成熟した胞子も観察してみたい。
(1)ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子2、胞子上面
(2)ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子2、胞子側面
(3)ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子3、胞子上面
(4)ナガオノキシノブ胞子嚢a胞子3、胞子側面
(1)ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子3、胞子上面
(2)ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子3、胞子側面
(3)ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子4、胞子上面
(4)ナガオノキシノブ胞子嚢b胞子4、胞子側面
(1)ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子1、胞子上面
(2)ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子1、胞子側面
(3)ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子2、胞子上面
(4)ナガオノキシノブ胞子嚢d胞子2、胞子側面
その他のシダ
そのほかに見られたシダは、ナツノハナワラビ・ヤマハナワラビ・トラノオシダ・オウレンシダ・サトメシダ・ミヤマメシダ・ヘビノネゴザ・ハクモウイノデ・ホソイノデ・オシダ・シラネワラビ・シノブカグマなど。
コケなど
フロウソウコウヤノマンネングサか
普段見るものに比べると柄が無いように見える。コウヤノマンネングサではないかもしれない。林縁のそばを通る林道わきに群生。
※ご存じの方から以下のコメントを頂き、訂正します。
枝先が鈍頭なのでフロウソウです。2020年9月16日
フロウソウコウヤノマンネングサか