クラサワヘビノネゴザ(仮称) イワイヌワラビ×ヘビノネゴザ
メシダ科 メシダ属
生育している環境:上部は樹冠に覆われた黒っぽい頁岩のような岩でできた岩壁に群生。岩壁は一部、水が滴るくらいにウエットなところもある。谷に向かって開けているので明るい環境。周辺にイワイヌワラビが群生する中に1株生育を確認。周辺にはフクロシダ、ヘビノネゴザが生育。
観察された特徴:イワイヌワラビとヘビノネゴザの雑種と推定される。夏緑性。多数の葉は叢生し岩壁から下垂する。葉柄基部の鱗片は披針形・褐色で中央に細く栗色が入る。最下羽片はイワイヌワラビほど短縮しないが葉は細長い紡錘形、葉の長さ長さ35~40㎝・幅6~8㎝、イワイヌワラビにくらべると葉の色は濃い緑色で葉の質は厚い。葉身中央~先端にかけて羽片はやや鎌曲し、羽片の大きさは葉身中央で最大となり離れるほど徐々に短縮するがイワイヌワラビほど最下羽片は短縮しない。胞子嚢群は裂片の中間~やや辺縁寄りにつき、包膜は膨らみ馬蹄形や鈎形・三日月が混ざり辺縁は全縁。
研究者の方からは、以下のコメントを頂いています。
イワイヌワラビの自生地付近でヘビノネゴザが見られることはよくあるが、両種の確実な雑種は知られていない。葉の形態や胞子の状態(胞子が不定形)から、イワイヌワラビとヘビノネゴザの雑種の可能性が高い。
胞子のようす:胞子数は60個程度確認できる。胞子の形は歪なもの・大きさは大小のものが混ざり雑種。
(1)クラサワヘビノネゴザ、葉身
(2)クラサワヘビノネゴザ、葉柄基部
(1)クラサワヘビノネゴザ、葉身下部
(2)クラサワヘビノネゴザ、葉身中部
(1)クラサワヘビノネゴザ、羽片
(2)クラサワヘビノネゴザ、中軸
(1)(2)クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)包膜
胞子標本1
クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)1つの胞子嚢を壊したようす
(1)(2)クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)胞子のようす
胞子標本2
クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)1つの胞子嚢を壊したようす
(1)(2)クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)胞子のようす
胞子標本3
クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)1つの胞子嚢を壊したようす
(1)クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)胞子上面
(2)クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)胞子側面
(1)クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)胞子上面
(2)クラサワヘビノネゴザ(ヘビノネゴザ×イワイヌワラビ)胞子側面