ニッコウシダThelypteris nipponica
ヒメシダ科 ヒメシダ属
生育している環境:沢沿いに広がる氾濫原の林内や木漏れ日が射し込む疎林の湿地などに群生する。
観察された特徴:夏緑性。30~50㎝(葉柄は10~20㎝)の葉を立ち上げ、葉形は長楕円状披針形(最下羽片が下向きに着くものは紡錘形)、2回羽状深裂、葉の質はやや薄く淡緑色~黄緑色、葉身の下から1/3の羽片が最大で最下羽片は短縮するが耳状にはならい。羽片は基部が切形で披針形。中軸や羽軸は有毛、裂片の葉脈上には毛がある。胞子嚢群は中間~中肋寄りにつき裂片基部の胞子のう群はやや中肋から離れてつく。胞子数は60個程度確認。胞子表面にはリボン状の襞があるが、襞の辺縁は全縁。
メニッコウシダは葉を密に群生させるがニッコウシダは点在気味に群生する。メニッコウシダはニッコウシダにくらべ葉身・羽片は幅・長さとも大きくハリガネワラビに似、葉の質は厚く、最下羽片は多少短縮する程度で葉形は広披針形で紡錘形にはならない。ニッコウシダの胞子表面の襞は全縁であるが、メニッコウシダの胞子の表面の襞には鋭い鋸歯がありハリガネワラビの胞子に似る。(ただし、メニッコウシダを観察したには八ヶ岳山麓のみなので別の生育地も観察する必要がある)