ノキ×フジ ノキシノブとフジノキシノブの雑種
ウラボシ科 ノキシノブ属
専門家の方にこの個体の倍数性を調べていただきました。また、詳しい方からコメントを頂きました。2020年7月3日
この個体の染色体の解析結果:染色体数は2n=75 倍数性は3倍体 胞子:委縮。
解析結果と外部形態とを総合的に勘案して判断しますと3倍体でしたので、ノキ×フジと思われます。
染色体の倍数性は3倍体で親種はノキシノブ(2倍体)とフジノキシノブ(4倍体)の雑種と考えられます。
ノキ×フジの親種はノキシノブ(2倍体 n=25)とフジノキシノブ(4倍体 n=50)でノキ×フジは2n=75となります。
各地にノキシノブ×フジノキシノブ、ノキシノブ×クロノキシノブ、フジノキシノブ×クロノキシノブ、九州ではツクシノキシノブ×クロノキシノブと思われるものがあります
生育している環境:両側の山が迫った谷の東向きの石垣風通しの良くやや明るい石垣に生育。ウエットな空気に包まれ付近の木の幹には地衣と共にカヤランが着生する。
観察された特徴:胞子は乱れ雑種。フジノキシノブとノキシノブの雑種と推定される。葉柄と葉身の区別ははっきりしない。根茎にはたくさんの葉をまとまって出す。葉柄は短く淡緑色、葉身基部との境は不明瞭。葉は長紡錘形~線形、葉は多少波打ち、葉の質はノキシノブにくらべやや柔らかく、葉は緑色~鮮緑色・光沢がある。葉の長さ・幅には変化があるが長さ15~23㎝、幅0.7~1.5㎝程度。葉身の中肋は浮き出る。胞子嚢群は葉身の上半分につき、中肋と辺縁の中間につく。胞子嚢群は大きく直径3㎜程度。胞子の大きさには大小があり歪な形のものが混ざり雑種と言える。
(1)ノキシノブ×フジノキシノブ、生育環境
(2)ノキシノブ×フジノキシノブ、葉身
(1)ノキシノブ×フジノキシノブ、葉
(2)ノキシノブ×フジノキシノブ、葉裏側
(1)ノキシノブ×フジノキシノブ、葉身基部の鱗片
(2)ノキシノブ×フジノキシノブ、葉身の鱗片
(1)(2)ノキシノブ×フジノキシノブ、1つの胞子嚢を壊したようす
(3)(4)ノキシノブ×フジノキシノブ、1つの胞子嚢を壊したようす
(5)ノキシノブ×フジノキシノブ、1つの胞子嚢を壊したようす
「ノキ×フジ」と「フジノキシノブ」との葉先の比較
(1)ノキシノブ×フジノキシノブ、葉先
(2)ノキシノブ×フジノキシノブ(下)とフジノキシノブ(上)との葉先比