ハタジュクイノデ (アイアスカイノデ×イノデモドキの雑種)

オシダ科 イノデ属 Polystichum × hatajukuense  

2011,9,13相模湖嵐山

生育環境:相模湖嵐山北面、緩斜面に広がるスギ林内の林床に生育。あたりにはイノデモドキ・サイゴクイノデの大きな群落、その中にアイアスカイノデ・イノデが点在している。イノデの雑種としてはハコネイノデ(アイアスカイノデ×サイゴクイノデの雑種)が普通に見られ、ドウリョウイノデ(アイアスカイノデ×イノデの雑種)が少数見られる。

観察された特徴

  1. 相模湖ダム付近で観察されたものはやや大形で葉の大きさは80~100㎝。
  2. 葉柄基部の鱗片は広披針形~広卵形で辺縁には細かい鋸歯が密につき、中央が栗色で周りが淡褐色のものが混じる。中軸の鱗片には鋸歯が目立つ。
  3. 葉は一般的な濃い緑色で光沢がある。
  4. 胞子嚢群は葉身全体につき、最下羽片では耳垂に優先してつくが、サイゴクイノデほど規則的ではない。
  5. 胞子嚢群は辺縁寄りにつき、胞子嚢は弾けず塊状となる。

生育確認数:3地点 相模湖嵐山、底沢など。場所によっては個体数は多いところもある。


標本2
ハタジュクイノデ(アイアスカイノデ×イノデモドキ)2017年7月23日 相模湖周辺 
ハタジュクイノデはアイアスカイノデとイノデモドキの雑種と推定される。

下側に群生するイノデモドキにくらべ上側に生育するハタジュクイノデは大きい。2017年7月23日 相模湖周辺
ハタジュクイノデ(上)と、イノデモドキ(下側はすべて)

ハタジュクイノデ、葉柄下部鱗片。2017年7月23日 相模湖周辺 ハタジュクイノデ、葉柄下部鱗片。2017年7月23日 相模湖周辺
(1),(2)ハタジュクイノデ、葉柄下部の鱗片

ハタジュクイノデ、葉柄の鱗片。2017年7月23日 相模湖周辺 ハタジュクイノデ、中軸下部の鱗片。2017年7月23日 相模湖周辺
(1)ハタジュクイノデ、葉柄の鱗片
(2)ハタジュクイノデ、中軸下部の鱗片

ハタジュクイノデ、耳垂に優先してつくがサイゴクイノデのように規則的ではない。2017年7月23日 相模湖周辺 ハタジュクイノデ、耳垂に優先してつくがサイゴクイノデのように規則的ではない。2017年7月23日 相模湖周辺
(1),(2)ハタジュクイノデ、最下羽片の裏側

ハタジュクイノデ羽片、表面はイノデモドキに似て胞子嚢群の上でやや膨らむ。2017年7月23日 相模湖周辺 ハタジュクイノデ小羽片、表面はイノデモドキに似て胞子嚢群の上でやや膨らむ。2017年7月23日 相模湖周辺
(1)ハタジュクイノデ、羽片
(2)ハタジュクイノデ、小羽片

ハタジュクイノデ、胞子嚢群は辺縁寄りにつく。2017年7月23日 相模湖周辺 ハタジュクイノデ、胞子嚢群。2017年7月23日 相模湖周辺
(1)ハタジュクイノデ、羽片裏側
(2)ハタジュクイノデ、胞子嚢群

ハタジュクイノデ(上)とイノデモドキ(下)、葉身の比較。2017年7月23日 相模湖周辺 ハタジュクイノデ(右)とイノデモドキ(左)、羽片の比較。2017年7月23日 相模湖周辺
(1)ハタジュクイノデ(上)とイノデモドキ(下)、葉身の比較
(2)ハタジュクイノデ(右)とイノデモドキ(左)、羽片の比較


標本3
ハタジュクイノデ。2017年6月15日
ハタジュクイノデ

ハタジュクイノデ、辺縁には細かい鋸歯が密につく。2017年6月15日 ハタジュクイノデ、辺縁には細かい鋸歯が密につく。2017年6月15日
(1),(2)ハタジュクイノデ、葉柄基部の鱗片

ハタジュクイノデ、葉柄基部の鱗片。2017年6月15日 ハタジュクイノデ、葉柄基部の鱗片。2017年6月15日
(1),(2)ハタジュクイノデ、葉柄基部の鱗片

ハタジュクイノデ、羽片。2017年6月15日 ハタジュクイノデ、羽片裏側。2017年6月15日
(1)ハタジュクイノデ、羽片
(2)ハタジュクイノデ、羽片裏側 

ハタジュクイノデ、最下羽片には耳垂に優先的につくが整然とせず乱れる。2017年6月15日 ハタジュクイノデ、最下羽片には耳垂に優先的につくが整然とせず乱れる。2017年6月15日
(1),(2)ハタジュクイノデ、最下羽片裏側

ハタジュクイノデ、胞子嚢ははじけずに固まる。2017年6月15日 ハタジュクイノデ、胞子嚢の中は空っぽで透けて見える。2017年6月15日
(1)ハタジュクイノデ、胞子嚢群
(2)ハタジュクイノデ、胞子嚢