イヌイワイタチシダ
オシダ科 オシダ属
生育している環境:中~低木にアラカシ・ヒサカキ等が生育するコナラ、シデ類を中心とした夏緑広葉樹林斜面林床。谷戸の最上部にスギ植林地が広がり、その谷戸を取り囲む夏緑広葉樹林のやや急な丘陵斜面に生育。地質は関東ローム層の地層の上に腐植土が堆積。生育地には崖や露出した岩壁等はない。
観察された特徴:無融合生殖種。常緑性。葉柄および中軸の鱗片は黒褐色~褐色、鱗片は葉柄や中軸に対し開出気味につくがイワイタチシダほど整っておらず鱗片の先端は上・下や斜めを向いて付く。葉の大きさは25~45㎝。葉身は卵状三角形で先端に向けてしだいに細長くなる。葉は光沢のない鮮緑色~暗緑色、厚みがある。胞子のう群は大きく中間につく。
観察会に参加されている方から東北地方のイヌイワイタチシダの標本を頂き、胞子を観察しました。なお、東北地方の標本採取地では関東地方で見られるヤマイタチシダはあまり見られずイヌイワイタチシダが主に観察されるとの情報を頂いております。
イワイタチシダと異なるところ:外観が以下の点を除きイワイタチシダに似る。①胞子数が32個で無配生殖種。②開出してつく鱗片の向きが乱れること、③生育環境が異なり岩場だけではなく林床にも生育し、④葉は艶の無い緑色(イワイタチシダは白緑色~青緑色)。
研究者の方からは、DNAの解析の結果ではヤマイタチシダとほとんど同じとのお話を伺っています。
生育確認数:1地点 6株。稲城。
(1)イヌイワイタチシダ、最下羽片
(2)イヌイワイタチシダ、羽片
(1)イヌイワイタチシダ、羽片向軸上の鱗片
(2)イヌイワイタチシダ、若葉
(1)(2)イヌイワイタチシダ、成葉の葉柄上部~中軸下部の鱗片
(2)イヌイワイタチシダ、成葉の中軸の鱗片
標本3 イヌイワイタチシダ(仙台市)
(1)胞子を観察した仙台市のイヌイワイタチシダ、葉身
(2)胞子を観察した仙台市のイヌイワイタチシダ、中軸
(1)イヌイワイタチシダ、1つの胞子嚢を壊したようす。実体顕微鏡で観察。
(2) (1)の標本を生物顕微鏡で観察
(1)(2)1つの胞子嚢を壊したようす。胞子数は31~32個で大きさ・形が整うの胞子のう。
(1)1つの胞子嚢を壊したようす。胞子数は31~32個で大きさ・形が整うの胞子のう。
(2)1つの胞子嚢を壊したようす。胞子数が乱れる胞子のう。
(1)イヌイワイタチシダ、胞子上面
(2)イヌイワイタチシダ、胞子 側面
(1)イヌイワイタチシダ、胞子上面
(2)イヌイワイタチシダ、胞子 側面
(1)イヌイワイタチシダ、胞子上面
(2)イヌイワイタチシダ、胞子 側面
(1)イヌイワイタチシダ、胞子上面
(2)イヌイワイタチシダ、胞子 側面
(1)イヌイワイタチシダ、胞子上面
(2)イヌイワイタチシダ、胞子 側面
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