アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)
ヒメシダ科 ヒメシダ属
生育していた環境:湧水地湿地内、周りよりも50㎝ほど高くなった水はけのよい林床。ヒノキが優勢が優勢なスギ・ヒノキ林。
観察された特徴:外観はややイワハリガネに似て華奢であるがイワハリガネワラビとは胞子の形が異なる。葉柄は淡緑色~淡褐色、直径が1㎜程度と細い。葉の大きさは35~45㎝、胞子をつけた葉では葉身と葉柄はほぼ同長。側羽片は少なく10対程度。胞子嚢群は中間~やや辺縁寄りにつく。包膜は円腎形、包膜上は小さく波打ち光沢があり、表面には腺毛とやや少なめの毛が生える。
胞子の特徴:胞子数は60個以上あり大きさ・形とも整っていて、有性生殖種。胞子はハリガネワラビに似ているが以下の点で異なる①胞子上面から見た時の襞の模様は太く見える(ハリガネワラビは襞の腺がシャープ)。②胞子表面の襞の側面には小さな穴のようなものが目立つ。③葉柄は淡緑色~淡褐色、直径が1㎜程度と細い。
生育確認数:1地点2~3株。ゆっくり探せば他にも見つかるかもしれない。
箱根中央火口丘のイワハリガネワラビらしきシダとの関係:神山山頂(現在は火山活動のため入山規制されている。2018年9月3日現在)でイワハリガネワラビを観察しているがまだ胞子を観察していない。この「葉柄の細いハリガネワラビの仲間」の可能性もあるので制限が解除されたら改めて胞子を観察してみたい。
研究者の方にお尋ねしたところ、以下のコメントを頂きました。2018年9月12日
葉の形態はイワハリガネワラビに似ていますが、包膜の毛の状態、胞子の形からハリガネワラビの範疇のシダだと思います。胞子の畝の状態が上から見ると厚く見えるなど、変異があるようですが、とりあえずは個体変異と考えます。葉が小さく、葉柄も細くて全体に華奢に見えますので、ハリガネワラビの品種のアオハリガネワラビではないでしょうか。
写真の形態のハリガネワラビは胞子の畝が必ず厚くなるなど、葉の形質と胞子の形質が必ず一致することが多数のサンプルによって明らかになれば、アオハリガネワラビは品種レベルから変種レベルにしてもよいかもしれませんし、倍数性も違う(例えばイワハリガネワラビと同じ2倍体など)ということがあれば、ハリガネワラビ、アオハリガネワラビとは別種ということも考えられます。このシダをさらに研究されるのでしたら、サンプル数を増やして葉の形質と胞子の形質を調べる必要があると思います。
(1)林床に生育するアオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)
(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、葉の大きさ
(1)(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、最下羽片
(1)(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、羽片裏側
(1)(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、葉柄
(1)(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、包膜
(1)(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、包膜拡大
(1)(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、包膜拡大
(1)(2)(3)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、1つの胞子嚢を壊したようす
(1)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子上面
(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子側面
(1)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子上面
(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子側面
(1)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子上面
(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子側面
(1)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子上面
(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子側面
(1)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子上面
(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子側面
(1)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子上面
(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子側面
(1)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子上面
(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子側面
(1)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子上面
(2)アオハリガネワラビ(葉柄の細いハリガネワラビの仲間)、胞子側面