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ツガやネジキ・ツクバネなどと共に岩壁に群生するシノブ 奥多摩 鋸山山麓 2016年9月25日 

奥多摩 鋸山山麓を歩きました。渓谷や痩せ尾根、林道沿いの崖や岩場、落葉広葉樹の森、植林地の常緑の森などさまざまな環境とそこに好んで生育するシダやそのほかの特徴的な植物を観察することができました。

イワヒバ属の仲間

切り立った岩場ではイワヒバやスギ林林床ではクラマゴケを観察しました。
クラマゴケ
クラマゴケ。鋸山山麓 2016年9月25日 クラマゴケ、明確な胞子のう穂を形成、胞子のう穂は四角柱状で同形の葉で成り立つ。鋸山山麓 2016年9月25日
クラマゴケ(上左)
クラマゴケ、胞子のう穂(上右)




ハナワラビの仲間

夏緑広葉樹林内ではフユノハナワラビやアカハナワラビが見られました。スギ植林地な林床ではナツノハナワラビやナガホノナツノハナワラビが見られました。

アカハナワラビ
夏緑広葉樹林内、木漏れ日が差し込むような明るい林床にほかの草本類と共に生育。5×5mの範囲に20株程度まとまって生育。小形のハナワラビで観察地では栄養葉の幅は8~12㎝度・胞子葉高さは地上から15~30㎝。この季節、葉はまだ紅葉せず葉の色は白くかすれた感じがあり薄い緑色。葉の先端(羽片・裂片)は尖る。

アカハナワラビ。鋸山山麓 2016年9月25日
アカハナワラビ

アカハナワラビ、栄養葉は小さく葉の大きさは8~12㎝。羽片や小羽片の先は尖る。鋸山山麓 2016年9月25日 アカハナワラビ。葉の表面が白緑色の絣模様が入る。鋸山山麓 2016年9月25日
アカハナワラビ(上左)
アカハナワラビ、葉の表面(上右)





フユノハナワラビとアカハナワラビの雑種か
フユノハナワラビかあるいはフユノハナワラビとアカハナワラビの雑種ではないかと思われます。胞子の充実はもう少し先でした。小羽片の先端は鈍頭であるところはフユノハナワラビに似ていますが、先端は細かい鋸歯が見られます。付近にはたくさんアカハナワラビが生育していましたの胞子の状態を調べる必要があると思います。

フユノハナワラビとアカハナワラビの雑種か。鋸山山麓 2016年9月25日 フユノハナワラビとアカハナワラビの雑種か、栄養葉の大きさは12㎝程度。羽片や小羽片の先は鈍頭、小羽片の辺縁は細裂する。鋸山山麓 2016年9月25日
フユノハナワラビとアカハナワラビの雑種か(上左、上右)
 




ナツノハナワラビ
地上部の共通柄は40㎝程度。栄養葉の大きさは40㎝程度あり、大きな株でした。胞子葉はすでに枯れていました。栄養葉は3~4回羽状に分かれ、中部の羽片は長楕円形。

ナツノハナワラビ。鋸山山麓 2016年9月25日 ナツノハナワラビ、3~4回羽状に分かれ、羽片は長楕円形。鋸山山麓 2016年9月25日
ナツノハナワラビ(上左)
ナツノハナワラビ、栄養葉中部羽片(上右)





ナガホノナツノハナワラビ
地上部の共通柄は30~40㎝程度。栄養葉の大きさは35~45㎝程度ありました。胞子葉は30㎝程度。まだ胞子を飛ばしていませんでした。栄養葉は2~3回羽状に分かれ、中部の羽片は線形。

ナガホノナツノハナワラビ。鋸山山麓 2016年9月25日 ナガホノナツノハナワラビ、2~3回羽状に分かれ、羽片は線形。鋸山山麓 2016年9月25日
ナガホノナツノハナワラビ(上左)
ナガホノナツノハナワラビ、栄養葉中部羽片(上右)
 
ナガホノナツノハナワラビ。鋸山山麓 2016年9月25日
ナガホノナツノハナワラビ、胞子葉、羽片




コケシノブの仲間

渓谷近くのウエットな岩場や岩壁ではコウヤコケシノブやウチワゴケが見られました。標高を上げていくとややドライな岩壁ではヒメコケシノブが見られました。

ヒメコケシノブ
やや標高の高いところ。あまりウエットではない切り立った岩壁や樹幹基部に着生。葉は小さく葉の大きさは2~4㎝。2回羽状に分かれ、中軸は無毛。小羽片の先は鈍頭・全縁。胞子のう群は葉身の先端にまとまってつく。

岩壁に群生するヒメコケシノブ。2016年9月25日 鋸山山麓 ヒメコケシノブ、側羽片は広い角度でつき、小羽片の先端は鈍頭。鋸山山麓2016年9月25日 
岩壁に群生するヒメコケシノブ(上左)
ヒメコケシノブ(上右)

ヒメコケシノブ、基部の羽片は短縮する。鋸山山麓 2016年9月25日 ヒメコケシノブ、表側では辺縁は内曲する。鋸山山麓 2016年9月25日
ヒメコケシノブ、葉身(上左) 
ヒメコケシノブ、葉身表側(上右)

ヒメコケシノブ。鋸山山麓 2016年9月25日 ヒメコケシノブ。2016年9月25日 鋸山山麓
ヒメコケシノブ、胞子のう群表側(上左) 
ヒメコケシノブ、胞子のう群裏側(上右)

ヒメコケシノブ、包膜。2016年9月25日 鋸山山麓
ヒメコケシノブ、包膜 




ウサギシダ属の仲間

エビラシダ
薄暗くウエットな林内で、岩壁や急傾斜の沢の脇などに群生していた。
エビラシダ。2016年9月25日 鋸山山麓 エビラシダ、葉柄は折れるようにして葉身につく。2016年9月25日 鋸山山麓 
エビラシダ(上左) 
エビラシダ、葉柄(上左)

沢沿いの岩壁に群生するエビラシダ。2016年9月25日 鋸山山麓 岩場に群生するエビラシダ。2016年9月25日 鋸山山麓 
沢沿いの岩壁に群生するエビラシダ(上左) 
岩場に群生するエビラシダ(上右)

エビラシダ、胞子のう群は円形~楕円形。2016年9月25日 鋸山山麓 エビラシダ、胞子のう群に包膜はない。2016年9月25日 鋸山山麓  
エビラシダ、胞子のう群(上左)(上右)




チャセンシダの仲間

・気になっていたイワトラノオの仲間を観察しました。イワトラノオとミタケトラノオと思われる個体の胞子を観察しました。

イワトラノオ
渓谷沿い。上部が樹冠に覆われ薄暗くウエットな岩壁に生育していました。葉の大きさには変化が大きく3~12㎝。2~3回羽状に分かれ、葉の色は黄緑色~鮮緑色、葉の質は薄く柔らかい。羽片は楕円形で裂片の先は鈍頭。胞子のう群は小羽軸に接するようにしてつき、短い線形。胞子数は60以上確認でき有性生殖種。

イワトラノオ。2016年9月25日 鋸山山麓 イワトラノオ、胞子数は60以上確認でき、胞子はすべて充実している。有性生殖種と言える。愛宕山 2016年9月25日
イワトラノオ(上左)
イワトラノオ、胞子数(上右)

イワトラノオ、胞子の上面のようす。2016年9月25日 鋸山山麓 イワトラノオ、胞子の側面のようす。2016年9月25日 鋸山山麓 
イワトラノオ、胞子:上面から見たようす(上左)
イワトラノオ、胞子:側面のようす(上左)

イワトラノオ、胞子の上面のようす。2016年9月25日 鋸山山麓 イワトラノオ、胞子の側面のようす。2016年9月25日 鋸山山麓 
イワトラノオ、胞子:上面から見たようす(上左)
イワトラノオ、胞子:側面のようす(上左)

イワトラノオ、胞子の上面のようす。2016年9月25日 鋸山山麓 イワトラノオ、胞子の側面のようす。2016年9月25日 鋸山山麓 
イワトラノオ、胞子:上面から見たようす(上左)
イワトラノオ、胞子:側面のようす(上左)





ミタケトラノオか(コバノヒノキシダ×イワトラノオ)
ミタケトラノオはコバノヒノキシダとイワトラノオの雑種と推定される。樹冠に覆われた林内を走る林道沿いの石垣に生育。付近にはコバノヒノキシダ、イワトラノオ、クモノスシダ、イセザキトラノオなどが生育。葉の大きさは12~18㎝。羽片が三角形、コバノヒノキシダに似て葉の色は濃緑色。葉の質もイワトラノオよりも厚い。

※画像を撮影していません。改めて生態写真および胞子の画像を掲載したいと思います。





クモノスシダ
樹冠に覆われた林内を走る林道沿いの石垣、石垣はセメントで隙間を固められている。クモノスシダが点々と生育。葉の大きさは8~20㎝。長く伸びた葉身の先端には無性芽ができている。
クモノスシダ、付近にはイセザキトラノオとコバノヒノキシダが生育。2016年9月25日 鋸山山麓 クモノスシダ、長く伸びた葉身の先端には無性芽がつく。2016年9月25日 鋸山山麓
クモノスシダ(上左)
クモノスシダ、無性芽(上右)





イセサキトラノオ(コバノヒノキシダ×クモノスシダ)
コバノヒノキシダとクモノスシダの雑種と推定される。スギ林内ウエットな林道沿いの4~5mはあるセメントで固められた高い石垣にイワトラノオの仲間やコバノヒノキシダやクモノスシダ、イセサキトラノオが見られました。イセサキトラノオはその付近を捜すと5~6株観察することができました。葉の大きさは8~15㎝。羽片はへら形~チャセンシダ形で葉身先端はクモノスシダ似にて細長く伸びることがある。

イセサキトラノオ、クモノスシダとコバノヒノキシダが見られるところに生育。2016年9月25日 鋸山山麓 イセサキトラノオ、クモノスシダとコバノヒノキシダが見られるところに生育。2016年9月25日 鋸山山麓
イセサキトラノオ(上左、上右)

イセサキトラノオ、葉身先端はクモノスシダのように細長く伸びることがある。2016年9月25日 鋸山山麓
イセサキトラノオ、葉身先端




ハリガネワラビの仲間

夏緑広葉樹林林床ではハリガネワラビは普通に見られ、切り立った岩場ではアイハリガネワラビが見られました。イワハリガネワラビは生育を確認することはできませんでした。

アイハリガネワラビ(ハリガネワラビ×イワハリガネワラビ)

観察会ではイワハリガネワラビとお話ししましたが、アイハリガネワラビに訂正いたします。胞子をいくつ観察しても形や大きさが乱れ雑種であることが分かりました。考えられるのはアイハリガネワラビでハリガネワラビとイワハリガネワラビの雑種と推定します。
生育していた岩壁はほぼ垂直であまりウエットではありませんでした。時間の関係で周辺をくまなく探す時間はありませんでしたが観察地の岩壁には成株が1と未成株が2株しか確認できませんでした。岩壁の下部の林床にはハリガネワラビが普通に生えていました。
観察された個体の葉の大きさは20~30㎝。葉の形や質はハリガネワラビとイワハリガネワラビの中間的。①葉柄は細く直径は1~1.5mm、わら色~黄緑色。②胞子のう群は中間につく。③包膜上には長い毛と短い突起状の毛とが混ざる。④胞子については数は55~60程度確認できるが胞子の大きさや形が乱れている。
アイハリガネワラビ(ハリガネワラビ×イワハリガネワラビ)2016年9月25日 鋸山山麓 

アイハリガネワラビ、葉柄はわら色~黄緑色で濃褐色の鱗片がまばらにつく。2016年9月25日 鋸山山麓 アイハリガネワラビ、葉柄はわら色~黄緑色で濃褐色の鱗片がまばらにつく。2016年9月25日 鋸山山麓 
アイハリガネワラビ、葉柄基部(上左)
アイハリガネワラビ、葉柄(上右)

アイハリガネワラビ、胞子のう群は中間につく。2016年9月25日 鋸山山麓 アイハリガネワラビ、胞子のう群は中間につく。2016年9月25日 鋸山山麓 
アイハリガネワラビ、胞子のう群(上左、上右)

アイハリガネワラビ、包膜上には長い毛と短い突起状の毛とが混ざる。2016年9月25日 鋸山山麓 
アイハリガネワラビ、包膜

アイハリガネワラビ、胞子数は55~60程度確認できる。2016年9月25日 鋸山山麓 アイハリガネワラビ、胞子数は55~60程度確認できる。2016年9月25日 鋸山山麓 
アイハリガネワラビ、胞子数(上左、上右)

アイハリガネワラビ、胞子数は55~60程度確認できる。2016年9月25日 鋸山山麓 アイハリガネワラビ、胞子数は55~60程度確認できる。2016年9月25日 鋸山山麓
アイハリガネワラビ、胞子数、左右の画像は同じ検体を撮影(上左、上右)

アイハリガネワラビ、半数程度小さきいびつな胞子が混ざる。2016年9月25日 鋸山山麓 アイハリガネワラビ、半数程度小さきいびつな胞子が混ざる。2016年9月25日 鋸山山麓 
アイハリガネワラビ、胞子の形(上左、上右)  

アイハリガネワラビ、半数程度小さきいびつな胞子が混ざる。2016年9月25日 鋸山山麓 アイハリガネワラビ、半数程度小さきいびつな胞子が混ざる。2016年9月25日 鋸山山麓 
アイハリガネワラビ、胞子の形(上左、上右)  




ヤブソテツ属の仲間

ツヤナシヤマヤブソテツ、テリハヤマヤブソテツ、テリハヤブソテツが見られました。

テリハヤマヤブソテツ
ウエットなスギ林内では葉の大きい(10㎝×4㎝)テリハヤマヤブソテツが見られました。
テリハヤマヤブソテツ。2016年9月25日 鋸山山麓 テリハヤマヤブソテツ。2016年9月25日 鋸山山麓
テリハヤマヤブソテツ(上左、上右) 




イノデ属の仲間

スギ林内ではイノデ゙・アイアスカイノデ・イノデモドキ・サイゴクイノデ・ツヤナシイノデ・カタイノデなどが点々とあるいはまとまって群生していました。その中では雑種も見られタカオイノデとアカメイノデが見られました。
ツヤナシイノデ。2016年9月25日 鋸山山麓 サイゴクイノデ。2016年9月25日 鋸山山麓 カタイノデ。2016年9月25日 鋸山山麓
ツヤナシイノデ(上左)
サイゴクイノデ(上中)
カタイノデ(上右)





アカメイノデ(ツヤナシイノデ×カタイノデ)
アカメイノデはツヤナシイノデとカタイノデの雑種と推定されます。観察された個体は大きくはの長さは80~100㎝。特徴は①葉身の色や形のにはカタイノデの面影がありカタイノデの黒味がかった黄緑色に濃緑色を加えた感じ。②まわりのカタイノデよりも大きい個体が見られる。③葉柄下部の鱗片はやや幅の広い卵状披針形で、中央に濃い栗色が入ったり鱗片全体が濃い栗色であったりする。④胞子のう群は中間につく。
アカメイノデ。2016年9月25日 鋸山山麓 アカメイノデ。2016年9月25日 鋸山山麓
アカメイノデ(上左、上右)

アカメイノデ、葉柄基部の鱗片。2016年9月25日 鋸山山麓 アカメイノデ、葉柄基部の鱗片。2016年9月25日 鋸山山麓 
アカメイノデ、葉柄基部(上左、上右)

アカメイノデ、羽片は艶が無く、色はカタイノデよりも濃緑色。2016年9月25日 鋸山山麓 アカメイノデ、胞子のう群は中間につく。2016年9月25日 鋸山山麓 
アカメイノデ、羽片(上左)
アカメイノデ、胞子のう群(上右)

アカメイノデ、胞子のうははじけず、胞子のう群は固まる。2016年9月25日 鋸山山麓 アカメイノデ、胞子のうははじけず、胞子のう群は固まる。2016年9月25日 鋸山山麓 
アカメイノデ、胞子のう群(上左、上右)





タカオイノデ(ツヤナシイノデ×アイアスカイノデ)
タカオイノデはツヤナシイノデとアイアスカイノデの雑種と推定され、特徴は①葉身の色は鮮緑色~濃緑色。①葉柄下部にはツヤナシイノデ似の幅の広い鱗片をつける。②葉柄下部の鱗片にはアイアスカイノデに似て中央に栗色が入る鱗片が混ざる。③胞子のう群はアイアスカイノデに似てやや辺縁寄りにつく。
タカオイノデ。2016年9月25日 鋸山山麓 
タカオイノデ

タカオイノデ、葉柄。2016年9月25日 鋸山山麓 タカオイノデ、葉身。2016年9月25日 鋸山山麓 
タカオイノデ、葉柄(上左) 
タカオイノデ、葉身(上右)

タカオイノデ、葉柄基部には栗色が入った広卵形で大きな鱗片が混ざる。2016年9月25日 鋸山山麓 タカオイノデ、葉柄基部には栗色が入った広卵形で大きな鱗片が混ざる。2016年9月25日 鋸山山麓 タカオイノデ、葉柄基部には栗色が入った広卵形で大きな鱗片が混ざる。2016年9月25日 鋸山山麓 
タカオイノデ、葉柄基部(上左、上中、上右)

タカオイノデ、胞子のう群はアイアスカイノデに似てやや辺縁寄りにつく。2016年9月25日 鋸山山麓 タカオイノデ、胞子のう群はアイアスカイノデに似てやや辺縁寄りにつく。2016年9月25日 鋸山山麓 
タカオイノデ、胞子のう群(上左、上右)

タカオイノデ、胞子のうははじけず、胞子のう群は固まる。2016年9月25日 鋸山山麓 タカオイノデ、胞子のうははじけず、胞子のう群は固まる。2016年9月25日 鋸山山麓 
タカオイノデ、胞子のう群(上左、上右)



カナワラビ属の仲間

岩場ではハカタシダ、ナンゴクイナライシダ。スギ林などではリョウメンシダが見られました。




オシダ属の仲間

岩場の山地ではヤマイタチシダ、ミサキカグマ、リョウトウイタチシダ、オオベニシダ、エンシュウベニシダ、クマワラビなどが見られました。シギなどの植林地ではベニシダやオクマワラビ、アイノコクマワラビなどが見られた。

リョウトウイタチシダ
乾燥気味の岩が露出する急傾斜地に生育。
リョウトウイタチシダ。2016年9月25日 鋸山山麓 リョウトウイタチシダ、葉柄下部の鱗片は黒褐色、辺縁が淡く縁どられるものもある。2016年9月25日 鋸山山麓
リョウトウイタチシダ(上左)
リョウトウイタチシダ、葉柄下部の鱗片(上右) 





マルバヌカイタチシダモドキエンシュウベニシダ
※再度、現地を訪れ、エンシュウベニシダではなくマルバヌカイタチシダモドキであることを確認し、訂正いたしました。2022年5月28日
胞子は飛んでいました。葉身を立ち上げ、葉柄下部の鱗片は濃褐色披針形でまっすぐ~多少纏わりつくようにやや湾曲してつく。小羽片の幅は広く先端は円頭~鈍頭、辺縁にははっきりとした鋸歯がり、上部の小羽片はマルバベニシダに似る。胞子のう群はやや中肋寄りにつく(ベニシダ程度)。
急傾斜の岩山に生育するマルバヌカイタチシダモドキ<del>エンシュウベニシダ</del>。2016年9月25日 鋸山山麓 マルバヌカイタチシダモドキ<del>エンシュウベニシダ</del>、小羽片は大きく辺縁には明瞭な鋸歯がある。2016年9月25日 鋸山山麓 
マルバヌカイタチシダモドキエンシュウベニシダ(上左)
マルバヌカイタチシダモドキエンシュウベニシダ、最下羽片(上右) 

マルバヌカイタチシダモドキ<del>エンシュウベニシダ</del>、葉柄下部には濃褐色・披針形・まっすぐな鱗片をつける。2016年9月25日 鋸山山麓 マルバヌカイタチシダモドキ<del>エンシュウベニシダ</del>、葉柄下部の鱗片は農褐色披針形で葉柄にやや纏わりつくようにやや湾曲してつく。2016年9月25日 鋸山山麓 
マルバヌカイタチシダモドキエンシュウベニシダ、葉柄下部の鱗片(上左、上右)

マルバヌカイタチシダモドキ<del>エンシュウベニシダ</del>、小羽片には鋸歯がある。2016年9月25日 鋸山山麓 マルバヌカイタチシダモドキ<del>エンシュウベニシダ</del>、胞子のう群はやや中肋寄りにつく。2016年9月25日 鋸山山麓
マルバヌカイタチシダモドキエンシュウベニシダ、羽片(上左)
マルバヌカイタチシダモドキエンシュウベニシダ、羽片裏側(上右)

マルバヌカイタチシダモドキ<del>エンシュウベニシダ</del>、胞子のう群はやや中肋寄りにつく。葉身上部ではマルバベニシダに似る。2016年9月25日 鋸山山麓
マルバヌカイタチシダモドキエンシュウベニシダ、葉身上部の胞子のう群 





アイノコクマワラビ(クマワラビ×オクマワラビ)
クマワラビとオクマワラビの雑種と推定される。スギ林林床で見られました。観察された個体は大きく葉身の大きさは70~80㎝。小羽片の先はやや尖り、葉の表面では葉脈に沿って窪む。胞子のう群は葉身の上から2/3程度までつき、胞子のう群をつけた羽片は短縮せず早く枯れることは無い。
アイノコクマワラビ、薄暗いスギ植林林床に生育。大きな株ではの大きさは70~80㎝。2016年9月25日 鋸山山麓 アイノコクマワラビ、クマワラビに似て葉の表面は葉脈に沿って窪む。2016年9月25日 鋸山山麓  
アイノコクマワラビ(上左)
アイノコクマワラビ、葉の表面(上右)

アイノコクマワラビ、胞子をつけた葉身の上方は短縮しない。2016年9月25日 鋸山山麓 アイノコクマワラビ、胞子のう群は葉身の上から2/3程度つけていた。2016年9月25日 鋸山山麓  
アイノコクマワラビ、胞子をつけた葉身の先(上左)
アイノコクマワラビ、胞子をつけた葉身の裏側(上右) 




ウラボシ科の仲間

樹幹や崖の岩の上ではマメヅタ、ミツデウラボシ、ノキシノブ、ヒメノキシノブ、ミヤマノキシノブ、渓谷の水辺ではカラクサシダが見られました。

ヒメノキシノブ
ノキシノブよりも標高の高いところで見られることが多いです。樹幹や岩上に生育。
ヒメノキシノブ。2016年9月25日 鋸山山麓 ヒメノキシノブ、胞子のう群は葉身の先端付近につける。2016年9月25日 鋸山山麓
ヒメノキシノブ(上左、上右)





ミヤマノキシノブ
一般に標高の高いところで生育しています。観察された個体の葉の大きさは5~10㎝と小さく、胞子のう群は確認できませんでした。有柄で葉の表面は光沢のないマット状。
岩上に地衣類などと共に群生するミヤマノキシノブ。2016年9月25日 鋸山山麓 ミヤマノキシノブ、有柄で葉の表面は光沢がない。2016年9月25日 鋸山山麓
ミヤマノキシノブ(上左、上右)





カラクサシダ
水しぶきが飛び散る段差のある渓谷内でウエットな空気に包まれた中、大きな転石の上に一緒に生育するコケ類の上に立ち上がるような形で群生していました。
カラクサシダ。2016年9月25日 鋸山山麓
カラクサシダ

カラクサシダ、葉の表側は有毛。2016年9月25日 鋸山山麓 カラクサシダ、胞子のう群は葉裏全体につく。2016年9月25日 鋸山山麓
カラクサシダ、葉身(上左)
カラクサシダ、胞子のう群(上右)





ビロードシダ
渓谷沿いの日陰の岩壁に20枚程度の葉を垂下させた小さな群落で生育。




コケの仲間

ギンゴケ。コンクリートの擁壁のすき間で。2016年9月25日 鋸山山麓 ギンゴケ。2016年9月25日 鋸山山麓
ギンゴケ(上左、上右)

ヒダゴケの仲間。稜線沿いの岩山で。2016年9月25日 鋸山山麓 ヒダゴケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓
ウロコゴケの仲間(上左、上右)

ツクシハリガネゴケの仲間。稜線沿いの岩山の崖の上で。2016年9月25日 鋸山山麓 ツクシハリガネゴケの仲間。稜線沿いの岩山の崖の上で。2016年9月25日 鋸山山麓
ツクシハリガネゴケ(上左、上右)

ツクシハリガネゴケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓 ツクシハリガネゴケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓
ツクシハリガネゴケ(上左、上右)

オオトラノオゴケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓
オオトラノオゴケ

カヤラんと共に生育するホウオウゴケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓 ホウオウゴケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓
ホウオウゴケの仲間(上左、上右)




地衣

・ハナゴケの仲間
明るい林縁の岩上に生育するハナゴケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓 ハナゴケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓 ハナゴケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓 
ハナゴケの仲間(上左、上中、上右)




シアノバクテリア

石上にコケと共に生育するイシクラゲの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓 イシクラゲの仲間、色は透明に近くあまり緑色を帯びていない。2016年9月25日 鋸山山麓
イシクラゲの仲間(上左、上右)




キノコ

ベニタケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓 キイボカサタケ。2016年9月25日 鋸山山麓 
ベニタケの仲間(上左)
キイボカサタケ(上右)

クサウラベニタケ。2016年9月25日 鋸山山麓 クサウラベニタケ。2016年9月25日 鋸山山麓
クサウラベニタケ(上左、上右)

ムラサキシメジの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓 ムラサキシメジの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓
ムラサキシメジの仲間(上左、上右)

ヌメリイグチ。2016年9月25日 鋸山山麓 ヌメリイグチ。2016年9月25日 鋸山山麓
ヌメリイグチ(上左、上右)

モミジタケの仲間?。2016年9月25日 鋸山山麓 モミジタケの仲間?。2016年9月25日 鋸山山麓
モミジタケの仲間?(上左、上右)

キホウキタケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓 ウスタケの仲間。2016年9月25日 鋸山山麓
キホウキタケの仲間(上左、上右)
ウスタケの仲間(上左、上右)




伐採跡地などを好むアフリカ原産のベニバナボロギク。2016年9月25日 鋸山山麓 花がたくさん咲いているヤブコウジ。2016年9月25日 鋸山山麓
ベニバナボロギク(上左)
ヤブコウジ(上右)

フクオウソウ、夏緑広葉樹林下で。2016年9月25日 鋸山山麓 フクオウソウ、葉柄基部の葉。2016年9月25日 鋸山山麓 フクオウソウ、花をつける葉柄の葉。2016年9月25日 鋸山山麓
フクオウソウ(上左、上中、上右)

ヒナノキンチャク。陽当たりのよい草原で。2016年9月25日 鋸山山麓 ヒナノキンチャク。陽当たりのよい草原で。2016年9月25日 鋸山山麓 ヒナノキンチャク。陽当たりのよい草原で。2016年9月25日 鋸山山麓
ヒナノキンチャク

ヒナノキンチャク。巾着のような果実。2016年9月25日 鋸山山麓 ヒナノキンチャク。巾着のような果実。2016年9月25日 鋸山山麓 
ヒナノキンチャク、果実

切り立った岩壁に咲くイワギボシ。花は白~淡い藤色。 2016年9月25日 鋸山山麓 イワギボシ。葉柄にはえんじ色の細かい斑点がはいる。2016年9月25日 鋸山山麓
岩壁に着生するイワギボシ(上左)
イワギボシ、葉柄(上右)