外部形態が多形なヒメノキシノブとクロノキシノブ
①神社のそばにある苔むした大岩
②クロノキシノブやヒメノキシノブ、不明種などが生育する大岩
神社でノキシノブの仲間を観察しました。この神社は標高は800m程度ですが甲斐駒ヶ岳の懐に深く抱かれるようにして建立され常に冷涼な空気に包まれています。神社には石造物が多くノキシノブ類がよく生育していますが、ここで見られるものは、有性生殖種としてはヒメノキシノブとクロノキシノブのみのようです。これらの雑種が見つかるかと思い周辺を見て回りました。
一つの大きな苔むした岩上にはクロノキシノブとヒメノキシノブさらにヒメノキシノブのように小形ですが色や形態が異なる小形のヒメノキシノブ似のシダが生育していました。これはきっとクロノキシノブとの雑種ではないかと思い、胞子を観察したところすべて胞子の数・形・大きさは整い有性生殖種と推測されヒメノキシノブとするしかありませんでした。ヒメノキシノブは、葉の長さ・幅・形など外部形態が異なることが多いことがわかりました。
クロノキシノブ
①大岩に生育するクロノキシノブ
②胞子を観察したクロノキシノブの葉
④クロノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数60個程度。
⑤クロノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数61個程度。
ヒメノキシノブ
①大岩に生育するヒメノキシノブ
②胞子を観察したヒメノキシノブの葉
③ヒメノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数59個程度。
④ヒメノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数63個程度。
不明種1⇒ヒメノキシノブ
現地では雑種ではないかと思い不明種1としましたが、胞子のようすからヒメノキシノブであることがわかりました。
①大岩に生育する不明種1⇒ヒメノキシノブ
②胞子を観察した不明種1⇒ヒメノキシノブの葉
③不明種1⇒ヒメノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数60個程度。
④不明種1⇒ヒメノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数62個程度。
不明種2⇒ヒメノキシノブ
現地では雑種ではないかと思い不明種2としましたが、胞子のようすからヒメノキシノブであることがわかりました。
①大岩に生育する不明種2⇒ヒメノキシノブ
②胞子を観察した不明種2⇒ヒメノキシノブの葉
③不明種2⇒ヒメノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数60個程度。
④不明種2⇒ヒメノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数61個程度。
不明種3⇒小形のクロノキシノブ
上記の大岩のそば(2メートル程度離れている)の石につくクロノキシノブと小さく華奢で黒紫色の葉柄を持つ個体が見られた。最初に見たときクロノキシノブとヒメノキシノブの雑種ではないかと思い、胞子を観察したが、胞子は整っており残念ながらクロノキシノブであった。
①②クロノキシノブのそばに生える不明種3⇒小形のクロノキシノブ
③不明種3⇒小形のクロノキシノブ、葉身
④不明種3⇒小形のクロノキシノブ、葉柄
⑤不明種3⇒小形のクロノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数61個程度。
⑥不明種3⇒小形のクロノキシノブ、1つの胞子のうを壊したようす。胞子数63個程度。